前々からこの作家の本には、興味をそそられてはいたのだけど、小難しいんじゃないかなあ、、、とエンタメ読者な自分は腰が引けていたもの。いつも利用している中央区民センター図書室の蔵書には、新刊についている帯を表紙裏に貼り付けてあるので、本選びの参考にしているのね。で、この本の帯のあおり文には、「とことん面白く、たっぷり読みごたえ!」とあって、「とことん」や「たっぷり」が好きな自分(笑)、ついに手に取ったという訳。

大正解ニコニコ


心配していた文体はとても平易で、登場人物たちのキャラはたち、主人公の弁護士フランソワに感情移入もしやすくて、またルイ12世統治下のフランス、そして汚水垂れ流しの臭いセーヌ川が流れるパリ、カルチェラタンの描写も生き生きとして、とても楽しめた。


ルイ12世から離婚の訴訟を起こされた、王妃ジャンヌ・ド・フランスは徹底抗戦の構えだったが、王を恐れる弁護士や証人たちのために、たった一人で戦う事態。さる人物の介入で、フランソワ・ベトゥーラスに弁護の依頼があり、ジャンヌ王妃の父、ルイ11世に私怨のあるフランソワは逡巡するも結局弁護を引き受けた。


胸のすくようなフランソワの鮮やかな弁護が、実に面白い。こんな法廷があるのなら、傍聴してみたいもの。現実の法廷はどんな感じか、一度傍聴に出掛けてみようかなとフト思ったほど。裁判員制度も始まるし、裁判を見学してみるのも、いいかもしれないな。


若い頃に別れたベリンダとのことを、ひきずっているフランソワやベリンダの弟、王妃ジャンヌ、それぞれの過去の清算と、再生が心地よいラスト。最後に明かされた、フランソワの驚愕(マジ、うわぁ~叫びと思ってしまった)の不幸な過去。確かにたっぷりな読みごたえで、他の著書にもチャレンジしたい。



試飲:Nuits-St-George 1er cru 2001 Antoine Chatelet
nuit-st-george あまやかな果実味がとても心地よい。すいすいと飲み過ぎてしまいそう(笑)