村上 龍
半島を出よ (上)

分類がSFというのもどーかと思うが、近未来小説なので便宜上、ここに。

この本を読み始めたら、たまたま忙しくなり3行読んで本を閉じたりしてなかなか進まず難義した。後半のクライマックスに入ると、仕事もヒマになってきて没頭。北朝鮮に占拠された福岡にいる自分と現実の自宅や仕事場にいる自分と、二つの世界で生きてた気分(笑)

大変面白い小説だった。今年読んだ本の中で今の所一番かも知れない。あんまり面白いから、内容について書いてしまうと、これから読む方に本当に悪いと思うので、なかなか感想を書くのも難しい所。なので、少しだけにしておこう。

北朝鮮からやってきた9人のコマンドが福岡ドームに侵入し、30000人の観客を人質に要求を通して、後続部隊とともにシーホークホテルを占拠してしまう。といった導入部は誰でも知っている事だから、このくらいはOKかな?このとんでもなくも、あの国ならやれるかも、というスリリングな設定には誰しも好奇心を掻きたてられてしまうだろう。

で、日本政府はやっぱりオタオタして何をどうしてよいか分からないまま、ひたすら会議が紛糾する。このあたりを読んでいると、現実の有事の際に、我が政府はちゃんと対応できるのかな?と考えてしまうが、あんまり信頼できないような(^_^; 

何か事が起こった時に、冷静に状況を判断して、的確な言動を取れるような人間になりたいものだが、きっと自分はダメだろうな。北朝鮮のコマンド達はそういう人間の集団で、日本人はなかなかたちうち出来ない。この小説は北朝鮮のコマンド達の側からも、語られているので、つい彼らに感情移入することもあるが、収容所での拷問のシーンなどが出てくると、やはり理解できない集団だとすーっと冷める。こんなしたたかで恐怖で人を支配できる彼らに立ち向かえるのは、どんな人間だろうか。さあ、後は読んでのお楽しみ(笑)


読み終わり、「あー、面白かった」とつぶやきながら、目をしばしばさせて(ちょっと涙が(^_^;)、自分にも何か特技(サバイバルに役立つような何かの技術)があったらなあと思ったことであった。



夕食:平目のグラタン、キンキのポワレ、ウズラのグリエ、サラダ

飲物:Aligote Jayer Gilles, Ch.Grand Corbin 1999 Sait-Emillion

反省:有能な人物を見ながら、絶対自分はその他大勢だなと自覚するのも淋しいコト(笑)