まず第一に孫子の兵法は、実力の差がさほどない複数の競争相手がいる場合に使用する、短期決戦型の戦術書と書いてありました。この点から会社内の人間関係や長期的なスパンでの関係は一切述べていませんでした。


実社会においても長期的に見たらWIN-WINの関係を築く事が出来れば一番良いのですが、全ての関係においてWIN-WINの関係を築くのは不可能なのでこの戦術書を読んでみようと思いました。


この本で最も優先されているのは、国益でした。国益を優先するので、勝ち負けの勝敗にこだわらないという考え方です。


勝負は相手と自分との間で行われるので、勝利は相手の状況によって変化するので自分自身ではコントロールできない点が挙げられています。


だから、負けないという考え方が重要になってきます、負けないためには相手をよく知り、自分をコントロールし主導権を握ることであると述べています。


では、相手を知るにはどうしたら良いのかは、諜報活動を行い、相手の動きを理解する事です。相手の動きは相手と同一化することで理解しやすいです。


優秀な弁護士は、状況を理解するために証拠を収集し自分の主張を書く前に、相手の弁護士の立場から見た主張分を書いてみるという点からも実際に相手の立場を考えるだけでなく、相手の立場に立ってみる方がより一層理解出来るものなのではないでしょうか。


また、競合相手が競合先に述べた心情というのは、逆を指している場合が多く。競合相手が自分の部下に漏らした心情は、そのまま素で有ることが多いということも、競合相手を知る上で興味深い結果でありました。


相手を知ったうえで勝てないと判断した場合は、戦わない事です。引くことはプラスでもマイナスでもありません。


次に戦術としては、実力よりも弱く見せたり、自分の意図していることと違う事を意図していると思わせ油断したりします。このような事は先入観を捨て水のように変化出来る人格が必要であると言っています。


また、相手と戦う場合、正・奇の戦術があり正は正当な戦い方であり低リスク低リターンであるために、相手を知らなくても使用できます、しかし奇は不意を突くので高リターンではあるのですが高リスクであるために相手を十分に知っている状態で使用しなければなりません、また相手に知られてはいけず、相手がピンチであると感じない行為は奇であるといえません。


最後に上に立つ人としてふさわしいのは、知謀、勇気、信義、仁慈、威厳であると述べています。


知謀、勇気は敵に勝つための資質とされており、敵を騙しきるだけの狡猾さ、ここぞというチャンスを逃さず決断する、優秀なギャンブラーのような勘が必要であり。


信義、仁慈、威厳は、組織をまとめる資質であり、言ったことは守る信頼感、部下への細やかな思いやりが必要であるために、この二つの要素はかたや外交的かつ常識すら踏み越えた臨機応変さが要求され、かたや内向的で規則やモラル尊重の精神であるために、この二つが一人の中に矛盾なく共存するのは難しいと言われています。だから組織をコンビで築きあげていく企業が多いみたいです。


今回この戦術書を読んで、より一層このような短期的な戦術を用いないためにも普段から信頼関係を築きなるべくWIN-WINの関係を築いていくのが好ましいと感じました。