察知力 / 中村 俊輔
中村俊輔はKYである。
もちろん、俊輔は「空気を読まない」ではなく「空気を読む」人です(笑)
タイトルにもなっている「察知力」は、シンプルに言えば「空気を読む」こと。
ただ「KY」が流行った2007年は、当然スコットランドにいるわけなので、俊輔本人は「あとがき」で軽く触れる程度の認識のようです。
「察知力」は俊輔の自伝的内容であると共に、俊輔の考え方・生き方をも包含した内容です。
以前、藤沼正明氏に話を聞く機会がありまして(1対1ではなく、講義みたいな形で)、予習がてらに↓を読みました。
こちらも「俊輔のサッカー人生を振り返る」という半自伝的内容です。プロのライターである藤沼氏による描写には、さすがに本職ではない俊輔が譲るところが多々あります。
しかし「察知力」では「ワールドカップ・フランス大会本メンバー落選」「レッジーナでの戦いの日々」「チャンピオンズリーグ、マンチェスター・ユナイテッドとの戦い」など、その時の心境が詳しく綴られています。ここは本人による執筆でしか分からない部分が、今回明らかにされています。
「学生時代」、プロになってからは仕事場である「ピッチ上」「ロッカールーム」など様々な場面で、察知力は求められます。先生の言うこと、同僚の言うこと、監督の指示――。求められるものを敏感に「察知」して、自分がやらなければいけないことや課題を「察知」する。
読んでみれば、そしてこう書いてみれば「当然至極」であり「当たり前」のことですが、世の中にどれだけ俊輔のレベルでストイックに「察知力」を遂行できている選手、いや選手に限らず人間がいるでしょうか。
出来ている人こそが、今の世の中で「成功している人」なのかもしれませんね。
2006-07シーズン、スコティッシュ・プレミアリーグMVPを受賞した時、俊輔は「(喜びなどで)笑えなかった」と振り返っています。その真意は?
高校生や大学生、またビジネスマンにも読んでほしい「気軽に読める処世術」が書かれた本です。