日経マネー 2011年06月号 に、地震保険の特集がありました。


「地震に備える保障については、共済は金額が小さい。保険を検討するのが基本」という論調であり、共済に対して厳しい論調で、保険を持ち上げていました。


しかし、記事の中では触れられていない重要な違いがあります。地震保険の支払いは、建物の「時価」であり、時価に応じて支払われます。


これに対して、共済(自然災害共済)は「再取得価格」であり、建物の時価が低くても、再取得価格に応じて支払われます。


したがって、新築物件では保険も共済もあまり差はないと思いますが、築10年以上の物件だと、共済に大きなメリットが出てくると思います。


例えば、私の実家は約築30年の一軒家ですが、地震保険だと、時価が非常に低く見積もられてしまうおそれがありますが、共済だと再取得価格なので、そのような問題はありません。したがって、私の実家は自然災害共済に加入しているみたいです。



雑誌の記事中では、単純に支払い金額と保障金額で比較されていましたが、この点に触れていないのは、ミスリーディングだと思います。

ファイナンシャルプランナーが、この点を知らなかったとは考え難いですし、もし知らなかったとしたらFP失格でしょう。


やはり保険会社は、マネー雑誌やファイナンシャルプランナーの絶大なるお得意先なので、共済に対しては厳しい論調なのでしょうか。




■また、共済には「利用分量割戻金」という制度があり、共済が上げた利益は、利用者にキャッシュバックされます。この点も触れられていません。


保険会社と共済の大きな違いは、「利益が誰のものになるのか」という点にあります。


保険会社の利益は会社と株主に帰属して、利用者に返ってきません。保険会社に内部留保され、残りは株主に分配されます。


保険会社のオーナーは株主であり、利用者の保険料から上げた利益は、株主のものです。


これに対して、共済の場合は法令上は「利用者=オーナー」であり、利用者の掛金から上がった利益は、利用者に「割戻金」としてキャッシュバックされます。


相互会社形態の保険会社は契約者がオーナーという建前となっていますが、収益は会社の自由裁量であり、共済のようにキャッシュバックするのが基本ではありません。

例えるなら、相互会社形態の保険会社と共済の違いは、不動産会社の配当とJ-REITの分配金のようなイメージだと思います。


一定程度の事故が発生しても保険会社(共済)の経営が大丈夫なように、ある程度のバッファーをもって保険料は設定されていると思います。

しかし、共済の場合は、全体で利益が出た場合は利用者にキャッシュバックされるので、掛金の支払いはそれ程気になりません。この共済のシステムは、個人的には気に入っています。




■共済ってどれくらいメジャーなのかと思い、加入者数を調べてみると、共済四天王(全労済、都道府県民共済、コープ共済、JA共済)の加入者は、3年前のデータだと、約5090万人でした。


日本共済協会の安田会長の話によると、日本の共済事業の契約者は、約7309万人のようです。


複数の共済に加入している重複契約があるでしょうが、大雑把には、国民の2人に1人は共済に入っていることになるかと思います。


共済はマスメディアへの露出が少ないため、あまり目立ちませんが、加入者数を見ると、結構メジャーなんですね。





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