The Goal(before 12.3.27)

某機関投資家で働く会社員のブログです。本ブログは移転しました→http://thegoalnext.blog.fc2.com/


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■MRI投資についてどう思います?というコメントを頂きましたので、本エントリで取り上げたいと思います。


MRIインターナショナルという会社で、「MRIシリーズ・セレクトA」というクローズドタイプの金融商品が売り出されています。


http://www.mrius.com/



ドル建てと円建ての二つ。円建て6%~9.6%、ドル建て6.5~10.32%の利回りを謳っています。


同社の説明によると、アメリカのMARS(診療報酬請求債権)をビジネスにしている会社(MRI)が、その債権を投資商品化したそうです。


アメリカでは公的健康保険がありませんので、日本では考えられませんが、アメリカの医療機関は、一定の基準以上の費用が発生する治療は、事前に保険会社に許可を得る必要があるそうです。


ここからは私の推測ですが、生きるか死ぬかの瀬戸際で、一分一秒を争う患者を目の前にして、保険会社の許可が下りる前に治療行為を行ってしまう良心的医療機関もあると思われます。


このようなケースで不良債権化したMARSを安価で買い取り、法的手段を駆使しながら、保険会社などへ支払いを請求して収益を上げるビジネスがあるのでしょうか??自分は知りません。



MRI社の説明が事実だとしても、「MRI InternationalのMARSに基づいた、エスクロー管理下のロックボックス・アカウントで保全されたビジネスです!」などと横文字を連発して格好良く見せていますが、要は債権回収業者です。消費者金融の不良債権を買い取り、取立てるのと本質的なビジネスモデルは大差ありません




■これまで設定された商品は償還されているようですが、ざっくり見ただけでも下記の疑問点が残ります。


なぜアメリカ国内で普通に資金調達しない?

米国では、歴史的低金利の状況です。優良企業なら短期プライムで非常に低金利で資金調達できる状況です。このような高金利での資金調達を必要としているのなら、同社の信用力はその程度ということでしょう。


同社が提供している高利回りは、ジャンクポンド以下の信用力か。


たかだか従業員300名程度のアメリカの中小企業が、遠い異国である日本で、わざわざコストをかけて資金調達する合理的理由は見当たりません。


本当にそのビジネスモデルが魅力的なら、銀行や機関投資家がいくらでもお金を出すと思われます。機関投資家が合理的な利回りでお金を出さないからこそ、わざわざ日本まで来て、個人向けに売りつけていると思われます。


固定の確定高金利が保証されるほど魅力的な投資であれば、投資会社が自己勘定でやるでしょうし、子会社を作ってそのビジネスそのものに乗り出すかもしれません。


投資ファンドや投資銀行の強欲さを侮ってはいけない気がします。彼らが手を出さずに、個人に回ってくる金融商品は、債券や株式などの伝統的アセットミックスを除くとたかがしれている気がします。



②なぜ円建て?

たかだか従業員300名程度のアメリカの中小企業が、わざわざ全く取る必要のない為替リスクを背負ってまで、円建てで資金調達する理由が謎です。


為替ヘッジをすればいいかもしれませんが、相応のコストがかかります。

最近は日米の金利格差が縮小しているので、為替ヘッジコストも低いですが、2008年上半期までは相当の金利差があったので、為替ヘッジをしていたら、かなりの負担となっていたはずです。


仮に為替ヘッジをしていなかったとしたら、ドル安円高が進んだここ1~2年で相当ダメージを受けているのではないでしょうか。


現在は為替ヘッジコストが低下しましたが、その分金利差が縮小しているので、わざわざ日本で資金調達する理由はより一層なくなりました。LIBOR金利は、逆転現象が生じたほどです。


私がその会社の経営者なら、利益が確実であれば、円建てにはせずに必ずドル建てで資金調達します。円建ての商品とドル建ての商品の利率差が0.5%しかないのも謎です。




アメリカでは、MARS関連の金融商品は売り出されていない?

ざっくりアメリカの検索サイトで探してみましたが、アメリカでMARS関連のリテールファンドが売り出されている例を見つけられませんでした。米国のS&Pやモーニングスターにも、MARS関連の商品の情報がありません。


自分が見つけられなかっただけかもしれませんが、アメリカでもメジャーではない金融商品のような気がします。




④○○○商法の香りも漂っている。

MRI社の説明によると、満期償還を選択したのは5%で、95%が再投資を希望したそうです。


これが事実だとすると、MRI社が支払ったのは配当のみであり、本体の返還は5%足らず。この程度であれば、新規の資金流入があれば、その資金を投資家への利払いと5%の償還に回して、成り立たせることが可能です。何も実際のビジネスを行っていなくても回せます。


同社の巧妙な点は、もっともらしい説明をして日本人の欧米コンプレックスを巧みに刺激しているところかと思います。


※もちろん、実際は全うなビジネスを行っている可能性もあります。



■まだまだツッコミどころはあるのですが、この辺にしておきます。


この世の中にフリーランチはなく、長期金利より高い確定利回りには、必ず何らかの理由や裏やリスクがあります。


MRIに投資を考えるのであれば、少なくとも下記3点について調査し、納得いく答えを得ることが必要でしょう。



アメリカの医療費、MARS売買価格、MARSの市場流出量についての現状と今後の見通し


アメリカの医療保険制度、エスクロー制度・ロックボックスアカウントなどの法規制についての現状と今後の見通し


MRIインターナショナル社の信用、債権の請求先の保険会社の信用



そのためには、最低限以下2点の調査はした方がいいと思います。


①MARSの法制度、米国で流通しているMARS関連の投資商品とそのリターン


②MRIインターナショナル社のB/SとP/L、保有債権の保険会社程度のディスクローズを要求し、精査。もっとも、出されたものの信用性は、「信じる」しかありません。。。




個人的には、1円たりとも出せません。アイフル社債の方がマシですし、ソフトバンクの個人向け社債(5.1%)の方がはるかに魅力的です。


内容はよく理解できないが、最高に儲かるかもしれない金融商品と、セカンドベストかもしれないが、内容をよく理解できる金融商品では、後者の方に投資するのがセオリーかと思います。



この点、ジョン太郎さんのブログ で、非常に参考になる記述があります。左記リンク先の下の方にある「◆ルールがきちんと整備されている・情報開示のレベルが高い」です。


そのエントリから、今回のテーマに沿う部分をまとめました。


以下、ジョン太郎さんのブログから引用。下線は私がつけました。

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ホテルファンドや、REIT以外の不動産ファンド、商品ファンド、ゲームファンド、映画ファンド、アイドルファンド、の類はほぼ全て商法や民法にある「匿名組合」か「任意組合」の形で作られています(もちろんこれらにも当てはまらない非合法なものや出資法違反なものまで存在してます)。


そもそも匿名組合や任意組合は、規定している法律の条文も数百文字程度しかありません。最初作る時に調べてびっくりしたのですが、え?これだけ?という感じです。


まず投資するものが「有価証券」なのか有価証券でないのかを調べてみるのが手っ取り早いです。「有価証券」であれば、それは証券取引法に基づいていますので、その時点で証券取引法という厳しいルールに基づいて作られているということがわかります。


そうでない場合、おそらくは匿名組合型か任意組合型のものだと思いますが、そのどちらかであるか、あるいはどちらでもないか、が分かったところではまだ何もわからないので、個別の商品の中身をよく調べる必要があります。


企画した人が持ち逃げできない仕組みになっていないかとか、ちゃんとした会社が企画した商品かとか、どの程度の頻度で解約できるのかとか、価格はどのくらいの頻度で発表されるのかとか、ちゃんと毎年決算をして鑑査を受けるのかとか、関係している会社の1社が倒産した場合にどうなるのか、とかを調べればよろしいかと思います。


投資信託がわりと安心して選べるのは、投資信託は証券取引法に基づいた有価証券だからです。私だったら投資信託であれば何も法律を調べずに買えますが、投資信託以外なら法律から契約書から何から何まで物凄く調べないと投資できません

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また、MRIインターナショナルそのものについては、以下のエントリが参考になります。


MARS(米国の医療保険請求権)投資について


【続】MARS(米国の医療保険請求権)投資について




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