ニュースで振り返る2012年の家庭用ADV | アドベンチャーゲーム研究処

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アドベンチャーゲーム(AVG・ADV)の旧作から新作まで、レビュー+紹介を主として取り上げるブログ。(更新は不定期)
取り上げる範囲は家庭用のみです。

【年末更新】

ニュースで振り返る2012年の家庭用ADV

- 1月 -

『逆転裁判5』の制作発表。

恐らくADV関係では2012年内最大のニュース。
逆転裁判シリーズ10周年イベント内で告知がなされた。
ただし、概要、対応ハード、発売時期、どれも未定という状況で、
当時のスタッフの発言から見ても、
決まったのは「制作が決まったこと」くらいのものだったかと思われる。

- 2月 -

極限脱出ADV 善人シボウデス

『極限脱出ADV 善人シボウデス』が発売。

忘れられがちだが、合併の関係で単独としてはチュンソフト最後の作品。
ハード黎明期でプロモーションもニーズの少ないオタク方向に寄っていたため注目度は低く、
マルチ化が目立った悪所を作り、ストーリーも続編前提の内容だったことから、
国内では芳しいセールス・評価は得られなかったが、個人的には高評価している。
10月に海外で発売され好評を博していたが、海外のインタビューを翻訳機にかけて読む限り
反響にセールスが伴っていない旨が語られていたようなので、続編が出るか心配。

映画『逆転裁判』が公開。興行的には微妙に終わる。

興行的には微妙(なにが微妙かって、言い回しが微妙)だったが、
出来は「石を投げれば映画未満に当たる」という状況のADV原作映画内だと、だいぶまともな部類。
しかして、本作の存在が『レイトン教授VS逆転裁判』のキャスティングに
影響して来るのだから、その功罪は大きい。
いや、アレは『レイトン教授』のキャスティング方針に合わせた結果です。(セルフツッコミ)

- 3月 -



『Robotics;Notes』がノイタミナ枠でアニメ化決定。

ゲームを原作と位置づけていた5pb.としては、ゲーム発売前からのアニメ化決定は珍しかった。
そのプロジェクトの巨大化が原作にどう影響を与えたか…
というのは、まあ今のゲームの評価を見れば一目瞭然か。
ハイリスクハイリターンと言われるアニメ化のハイリターン側が
PSP移植で第二次ブームを巻き起こした『Steins;Gate』なら、
ハイなリスクとは何ぞやというのを、この『Robotics;Notes』が示してくれたのかも知れない。

製品版の1/4を収録した『ルートダブル』の体験版が配信に。

効果的な話題作りになったのでは。

ゲームアーカイブスにて『探偵神宮寺三郎』シリーズの配信が全作停止。

突如としてワークジャム配信の作品が全作停止してしまい、
ワークジャムと『探偵 神宮寺三郎』シリーズの先行きが危ぶまれるが、
翌週に3DSで新作の『探偵 神宮寺三郎 復讐の輪舞』が発表され騒ぎは終息。
一安心か…と思ったら。顛末は11月あたりに書いてある。

『風ノ旅ビト』が海外で大ヒット。

現在、GameSpotやIGNなど大手サイトでGame of the Yearにノミネート中。
国内でもゲームデザイナー大賞をもらっていたが、覚えている方はいるだろうか。

- 4月 -

CONCEPTION 俺の子供を産んでくれ!

スパイクとチュンソフトが合併しスパイクチュンソフトに。

といっても、親会社は同じで情報も2011年末に出回っていたので話題にはならなかったが。
ちなみにスパイクチュンソフトとしての第一弾は、
過激なタイトルで話題になった『CONCEPTION 俺の子供を産んでくれ!』。

キャスト募集から「流行り神 警視庁怪異ファイル」の映画化が発覚。

そして制作元の破産という形で無期延期。
かなり黒い噂(株式会社ミュージックシネマズジャパンで検索すれば直ぐ出ます)が
流れており、都市伝説を取り扱った原作らしい頓挫の仕方というか。なんというか。

- 5月 -

GUILD01 (ギルドゼロワン)

『GUILD01』が発売。その前週に続編の『GUILD02』も発表に。

発売直前での第二弾発表(次報は未だにない)するほか、
同月に発売日が決定した『タイムトラベラーズ』の体験版を付属するも
それが逆に『タイムトラベラーズ』の体験版配信を遅くしてしまったり、
最終的に、「コンパクトな作品をワンパッケージにした短編集。」
というコンセプトをスポイルする個別DL配信をしてしまう体たらくで、
レベルファイブの迷走を印象づけるソフトとなってしまった。

- 6月 -



『Heavy Rain』のQuanticdream開発による新作『BEYOND TWO SOULS』が発表。

海外は日本以上にADVが死に体ジャンルとあって
毎年話題がほぼないE3では数少ないアドベンチャー系の発表。
早々に日本向けのローカライズも決定しており、
この調子なら『God of War』『アンチャーテッド』的な海外の有名枠になりそう。

6~8月にかけてアドベンチャーの発売ラッシュ。

オリジナルADVだけでも

6月:『ルートダブル』『探偵 神宮寺三郎 復讐の輪舞』『Robotics;Notes』
7月:『タイムトラベラーズ』『スーパーダンガンロンパ2』
8月:『特殊報道部』

という感じで毎月なにかしらのシリーズ作が登場する過密スケジュールだった。
ただし、商業・評価的に見て成功水準まで持って来れた作品は…というと、
『スーパーダンガンロンパ2』くらいしかないのが、今のADVの苦境を表している。

- 7月 -

タイムトラベラーズスーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園 (通常版)

『タイムトラベラーズ』不発に終わる。

悲しいことだがセールス面は不発で、反響も『428』『金八』ほどのものには至らなかった。
プラットフォーム、ゲームへの印象、発売日、プロモーション、
どれも何かしらがブレていたのでこの際もう商業的なものは仕方ないとして、
内容面も一人相撲に終わった感が強いのは期待していた身としては悲しいし、
オリジナルADVがますます難しくなってしまうのではと心配にもなる。
スタッフ陣は実績も地力もあるのだから、次回作では取り戻してもらいたい。

『スーパーダンガンロンパ2』が発売。スマッシュヒット。

商業・内容的に全く明るい話題のなかったADVラッシュでは、
唯一ヒット水準に持って来れたのが、これ。『スーパーダンガンロンパ2』。
ことADVは、なまじ絶賛された前作を持つと続編のハードルが上がりすぎ
次回作で期待に応えられず株を大きく下げてしまう…というケースが散見され、
ADVシリーズが短命に終わってしまう原因はこれが大きかったわけだが、
『スーパーダンガンロンパ2』はシナリオベースとして見て前作を上回るものがあり、
何より『ダンガンロンパ』たるスタイルを確立した点で、かなり貴重なタイプの続編と言える。
商業的に成功したこともあって、シリーズ化の軌道に乗ったと見て問題ないだろう。

科学ADVシリーズの新作が電撃発表に。

『Robotics;Notes』発売翌月での発表とあって、インパクトはあったニュース。
ただし、「渋谷が舞台のサイコサスペンス」というのを除けばほぼ情報公開されず
1月時点の『逆転裁判5』と同じく、「作ってますよ」という告知以上の意味はなかった。
来年春には『Steins;Gate』の新作も予定されるので、まあ次報はそれの発売後くらいか。

『ルートダブル』のPC移植がスピード決定。

オリジナル版発売から1ヶ月半での移植劇だったが、
発表時のインタビューで経緯をはっちゃけて語ったことから、まあそんなに騒ぎになることもなく。
(去年の『インスタントブレイン』もそうだが)中小メーカーが据え置きADVを、
狭いパイに狙いすまして振り抜く難しさを感じさせるニュースではあった。

- 8月 -

レイトン教授と迷いの森 (てんとう虫コミックススペシャル)

『レイトン教授と教授と超文明Aの遺産』が発表に。

存在自体は『奇跡の仮面』が「以下、次回に続く」的な終わり方だったので予定調和なものの、
(事前に告知されたとは言え)シリーズ完結編というのを大々的に押し出しての
NintendoDirect内での電撃発表だったため、それなりに話題になったニュース。

『MISSING PARTS ザ・探偵ストーリー コンプリート』のPSP移植が決定。

Twitter上で仮発表しちゃう。そんな移植。

角川ゲームスとSCEの共同企画「Project Discovery」が始動

初報は、あまりにも肩透かしな内容からネットで阿鼻叫喚の大騒ぎを巻き起こし、
後にSCEからイベントの失敗を認めるコメントまで公開された3月開催の「ゲーム天国」だったが、
角川ゲームスとSCEによる同人素材の募集プロジェクトだったのを公表されたのはこの時期。
期間が空きすぎて存在自体を忘れられかけている現状から鑑みると、
このプロジェクトも「ゲーム天国」の被害者と言えなくもない。

- 9月 -



『逆転裁判5』の詳細が発表。主人公は再び成歩堂龍一に。

主人公が成歩堂龍一が復帰、ビジュアルは全面フル3D、
ストーリーは『4』後、新システムの存在などがTGSと同時に公開され、
実質的な第一報という感じで、大いに盛り上がった。
ちなみに、スタッフ的には『逆転裁判』よりも『逆転検事』と重複しており、
本格的にこのシリーズが巧舟の手から離れたことを印象づけるニュースでもあった。

発表から足掛け3年、『レイトンブラザーズ・ミステリールーム』が突如配信される。

しかし完結せず。追加シナリオは告知されているが、今現在まで放置プレイ。
『ミステリールーム』そのものは、まだまだ続きそうだ。

- 10月 -

STEINS;GATE

『Steins;Gate』『比翼恋理のだーりん』のPSV移植が電撃発表。

映画版とあわせて受注を取り、出荷したらそこで試合終了。的なアレ。
この時期はTGS明けで本当にニュースがなかったのだけは覚えている。

延期続きだったXBOX360版『Phantom PHANTOM OF INFERNO』が発売。

これも年単位で延期していた作品だが、発売されるころには誰もが忘れていたパターン。
国内XBOX360は同じ美少女ゲームでも、さらに独自進化しちゃった感を強める話題ではあった。

TVアニメ『Robotics;Notes』が放送開始。

放送中です。

- 11月 -

レイトン教授VS逆転裁判おさわり探偵 なめこ大繁殖 (特典 オリジナルステッカー 同梱) 数量限定特典 オリジナル携帯ゲームポーチ 付

3DS『レイトン教授VS逆転裁判』が発売。

初出が2010年10月開催のレベルファイブビジョンなので、
実に2年越しのソフトだったが、逆にそれが注目度を引き下げてしまったのか、
それとも明らかにゲームルールや世界観に共通性のない企画が拒否されたのか、
商業的に成功しているかと言うと、厳しそうなのが現状。
レベルファイブは昨年からジブリ、ガンダム、逆転裁判と
他社の有名ブランドとタッグを組んだ作品での失敗が続いており、
少なくともコア寄りなユーザー間でのイメージを大きく落としてしまった感が。

PS3・XBOX360向けに『STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム』が電撃発表。

7月に発表された新作とは別に、『Steins;Gate』の新作として発表。
多数のゲスト執筆陣を招いたのが売りの立ち位置としてはファンディスクで、
『Robotics;Notes』と新作の間に挟むよう展開していることから
「もしもの時の保険」という意味合いの強い作品な印象だが、
これでこのシリーズが『Steins;Gate』のみ独立した存在になっちゃったようにも映り、
“科学シリーズ”としてのフットワークが鈍る結果にならないか、少し心配。

『おさわり探偵』シリーズが『おさわり探偵 なめこ大繁殖』として3DSに上陸。

んふんふ(しかし主役は「なめこ」。)
んふんふ(あのパッケージデザインでも「なめこ」なんです。)

『探偵 神宮寺三郎』シリーズの開発元であるワークジャム公式サイトが消滅。

家庭用のパイが狭まり、少なくとも中小メーカーには厳しい昨今を象徴するように
暗いニュースが多かった今年でも群を抜いてショッキングだったのがこれ。
公式HPが閉鎖しただけなので、まだワークジャムが存続している可能性はあるが
公式HPが維持できないなんて状況で普通の企業活動ができるとは思えない。
何度も終焉の危機に陥ったシリーズなだけに、不死鳥の如く蘇ってくれるその日を信じたいが…。

- 12月 -

コレクピ スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園 ピンジャックマスコット モノクマ

『ダンガンロンパ』のTVアニメ化が決定。

今年最後ののビッグニュースはこれ。
『Steins;Gate』『うたの☆プリンスさまっ♪』『ペルソナ4』など
アニメ化で大きく客層が拡大したケースは近年でも枚挙に暇がなく、
下地になる人気も根強い『ダンガンロンパ』のアニメ化なら、
まあ百発百中とまでは行かないものの、少なくとも話題にはなるはず。
ただ注目度も上がるぶん、水物度も増していく諸刃の剣でもあるので、
これまで以上に慎重な続編展開を必要としそうな雲行きではある。
現状15~20万本程度が天井のシリーズなだけに、
これをキッカケに更なるブランドの成長を期待しておこう。

ブーストオンが『TENEBRAE』シリーズの発売中止を発表。

気づかぬうちに予定表から姿を消す…というのはよくある話だが、
これが凄いのは1作目(全4作を予定していた)を発売した上で中止してしまった点で、
その破天荒っぷりから、発売元のブーストオンは今後ADVを展開をするか疑わしい状況に。
ついでに『TENEBRAE』の出来自体は、続編を惜しまれるほどのものではない。

【コメント】
ネガティブに書くつもりはなかったんですが、
今年は内容的に不作だったので厳しいコメントが多くなってしまった感が。
まあ、来年はミステリADVの大物『逆転裁判5』が投入されるので
家庭用のアドベンチャーが再び盛り上がってくれると信じよう。

※かなり厳しい言い回しになっていたので、一部を書き直ししました。



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