平成22年の11回表 1球目 | アドベンチャーゲーム研究処

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アドベンチャーゲーム(AVG・ADV)の旧作から新作まで、レビュー+紹介を主として取り上げるブログ。(更新は不定期)
取り上げる範囲は家庭用のみです。

【平成22年の11回表】

『かまいたちの夜』『えどたん』などがAndroid向けに配信開始。

かまいたち (新潮文庫)

先月頭にゲームズアリーナからのモバイル事業譲受をしていた、
チュンソフトより『かまいたちの夜』(例によってシナリオによってのばら売り)が、
カプコンからはケータイ版『逆転裁判』とも言うべき企画の『えどたん』が配信開始。
画質は信じられないくらい良いが、これがアプリの基準になるとすれば、
移植が容易で市場さえあるなら3DSiwareとのマルチということもありえるのだろうか。
アプリ市場はアドベンチャーの普及率が家庭用と比べて高いわけで、
粗製品も多い反面、日の目を見てもらいたいアプリ(例えば『永劫会事件』とか)もあるし、
その盛況さを家庭用のDL市場に持ち込んで欲しいという下心もあったりで。
ダウンロード商売で一番結果を出しているのは間違いなくケータイアプリなので、
次世代携帯機ではこことの繋がりをどうにか作ってもらいたいが…。
噂が聞こえては消えるPS Phoneもそういう狙いがあるのかなぁとも思ったりもする。

野沢那智さん追悼

ということで、野沢那智さんの追悼で関わった作品にちょっとだけ触れていく。

コブラ スペースパイレート Blu-ray BOX
ANIME『SPACE ADVENTURE COBRA』
放送局 フジテレビ 放送時期 1982年10月7日~1983年5月19日
制作元 東京ムービー新社 監督 出崎統・竹内啓雄

全盛期の東京ムービーを代表する作品の一つ。
主演したアニメにおける野沢那智さんの代表作でもある。
当初はコブラ役に『ルパン三世』の山田康夫氏を起用する話もあったが、
イメージの重複を恐れ那智さんが起用されたのはそこそこ有名な話。
この経緯もあってPCEで発売された『コブラ 黒竜王の伝説』『II 伝説の男』では、
『COBRA』の原作者でありゲームの原画・脚本を担当した
寺沢武一先生の要望もあって山田康夫氏が起用されている。
山田康夫氏が没後の作品は『ザ・サイコガン』『ギャラクシーナイツ』
(同名のアドベンチャーがワークジャムより配信されているが、これは単なる原作被り)
そして『ザ・アーケード』を、那智さんがアテレコを行っているが、
前者2作はプレイステーションコミックというゲーム性がないシリーズで、
後者は『タイムクライシス』の派生で発売された関係で家庭用では未発売。

アニメ板については出崎統がチーフディレクターとして参加したこともあって、
メリハリの利いた演出、やたら挿入される一枚絵と繰り返しのショットなど、
出崎色の強い作品ではあるが、役職はチーフディレクターなため劇場版より関わり薄く、
出崎好きにはちょっと甘口、テレビアニメとしては濃い目といった立ち位置。
ただまあ、那智さんの三枚目な演技を筆頭に実力派声優の参加したこともあって、
このTV版の方がスカッと観れるエンターテイメントであることは間違いない。
余談ではあるが、本来は半年で終わる予定だったのだが、
人気を博したためワンクール延長し、後半になるほど出崎テイストがかなり薄くなっている。


『劇場版コブラ』…監督出崎統、作画杉野昭夫という時点で、アニメファンの多くは察しているだろうが原作ほぼ無視の出崎版『コブラ』とも言うべきラブとマッチョのスペースオペラアニメ。その是非についてはDVDを観て貰うとして、コブラの声優は主題歌を歌う松崎しげるが起用されているのはそこそこ有名(劇場版の方が先に公開)。その結果がこれである。動画は無関係。

EVE burst error
GAME『EVE』シリーズ
販売元 ゲームビレッジ 参加期間 1997年1月24日 ~ 2006年8月31日
制作元 C's Ware 監督 剣乃ゆきひろ

野沢那智さんのゲームにおける仕事で恐らく最も有名なのが
『EVE』シリーズの名物キャラクターである本部長こと「甲野三郎」役。
職場に浮気相手を囲い、上層部にも楯突き、保身にも興味を持たないと言う、
剣乃キャラクターの中でもジゴロ成分は高めな登場人物ではあるのだが、
初期はどちらかと言うとオカマキャラクター系の演技だった気もスル。
その後は『EVE the lost one』ファンディスクのインタビューにて、
甲野の「中間管理職の悲哀」が解ってきた的なコメントをしたこともあってなのか、
『EVE ZERO』ぐらいからは普通のオジさん風の演技で定着し、
最後の出演となった『EVE new generation』に至るまで変化は無かった。

那智さんと言えば他にも『サクラ大戦2』にも出演しているものの、
オリジナルゲームでレギュラー出演をしていたのは『EVE』と『KINGDOM HEARTS』くらい。
大作で声優陣に拘った『KINGDOM HEARTS』はともかくとして、
『EVE』の様な普通のアドベンチャーに出演しているのはかなりの少数例かと思われるが、
このシリーズは、納谷悟郎さん(銭形警部等)や池田昌子さん(お蝶婦人等)など、
ゲームでの仕事をあまりしない大物声優を起用(つまり声優への予算が潤沢)しているため、
これがギャランティーの高かったと言われる那智さんの
数少ないゲームでのレギュラー出演シリーズになった要因かと思われる。


『EVE new generation』…EVE新生を謳い文句に発売されたコマンド選択っぽいノベルゲーム。「見る」「聞く」などのコマンドをコントローラーのボタン4つに別けてダイレクトに選択できるよう進化したシステム…っぽいようで、実はただ単に各ボタン連打でどうにかなるという本末転倒なゲームデザインとなっていた。ついでに脚本は『Ever17』で有名な打越鋼太郎さんが起用されている。

【コメント】
洋画編が書きたかったが、時間が。