前回は「売れるキャッチコピーの書き方」のお話でした。
今回は「売上を増やす声のかけ方」のお話です。
ある時、知人と昼食時に歩いていました。
「腹減ったねえ。お昼食べる？」
「うん、そうだね。今日はスパゲティーを食べたいなあ・・。」
そこで２人で地下街のレストラン街に行きました。
１軒目のスパゲティー屋さんの前で足を止め、ショーウィンドウを眺めていました。
すると中から
「いらっしゃいませ～！どうぞ！ランチいかがですかぁ。」
と、呼び込みの声がかかります。
もう少し歩き、ちょっと先にある２軒目のスパゲティー屋さんの前でも足を止め、ショーウィンドウを眺めていました。
中から店員さんが出てきてこう言いました。
「ご利用はお二人さまですか？」
１軒目と２軒目の店員さんの呼び込みの違い分かりますか？
１軒目の店員さんの呼び込みの声には「あなたは当店を利用しますか？利用しませんか？」という選択肢があり、その選択権はお客さんの側にあることになります。
一方２軒目の店員さんの呼び込みには「あなたは当店を利用しますか？利用しませんか？」という選択肢はありません。
既に「当店を利用すること」を前提にした呼び込みです。
２軒目の店員さんの呼び込みは保険のベテランセールスマン等が利用する「買うか、買わないかの選択肢のあるトーク」ではなく、「買うこと」を前提にしたセールストークテクニックです。
「いかがですか？ご契約されませんか？」
というセールスではなく、
「どちらの保険プランにされますか？」
とセールスするあのテクニックです。
結局、私たちは２軒目のお店に入りました。私は１軒目、２軒目の両方で食事をしたことがありますが、味の違いはあまり分かりません。お店の雰囲気は１軒目の方が良いです。でも、２軒目のお店の方がいつも繁盛しています。
呼び込みをしていた店員さんは２０代前半のまだ若い女性でしたが、彼女は他のお客さんにも同様の声掛をしていましたからこの呼び込みのテクニックは意図的に行なっているはずです。
ショーウィンドウを覗いている人は間違いなく自社の商品（スパゲティ）に興味のある見込み客である可能性が高いはずです。時間がお昼であれば間違いなくランチを食べるお店を探しています。だとすればショーウィンドウを覗いている人に向かって「ランチいかがですか？」という声掛けは不要であると言えます。
ランチを食べるお店をさがしていて、しかも、スパゲティのショーウィンドウを覗いているのですから、
「ご利用はお二人さまですか？今なら空いているのでゆっくりお座りいただけますし、すぐに料理もお持ちできます。」
と誘導した方が来店誘導率（成約率）は上がるはずです。
これが毎日、毎日の積み重ねですから年間を通して考えると大きな収益の差になります。
もちろん、全てのお客さまにとってこのような呼びかけが効果を発揮するわけではありません。
でも、たとえば「今週はこういう呼びかけでお店に誘導してみよう」と決めて、来店率をチェックする。
翌週には別の呼びかけを行なって、来店率をチェックする、翌々週にはさらに別の呼びかけを行なって、来店率をチェックする、これを１ヶ月ほど繰り返して、最も来店率の高かった呼びかけを再度試してみます。
それで、やはり来店率が高い場合にはその呼びかけは自社の見込み客にとって効果がある呼びかけのセリフであるということができます。
この考え方が理解できれば、お客さまを席に案内して「どんなセリフでメニューを勧めると反応が良いのか」「どんなセリフでサイドメニューを勧めるとオーダー率が増えるのか」といった試行錯誤もできるようになります。
「効果の高い呼び込みのセリフ」「効果の高いメニューの勧め方」「効果の高いサイドメニューの勧め方」さらには「効果の高い再来店促進のセリフ」と全て組み合わせると、先ほど述べた「毎日、毎日の積み重ねですから年間を通して考えると大きな収益の差になる」ということの意味がよく分かるはずです。
飲食店の呼び込みのセリフに限らず、新規営業時のセールストークに磨きをかけたり、ネットでの申し込み率の高いセールスレターの文章を作成する時も考え方は同じです。
小さな会社やお店では広告宣伝費にお金をかければ売上げが上がるわけではありません。
販促活動にコストをかけさえすれば売上げが上がるのでもありません。
小さな会社やお店は適切なターゲットに、適切な商品を、適切な方法で訴求することができれば、お金をかけた広告、販促展開を行なわなくても、新規のお客さんを獲得することが可能です。
そして、そのためのヒントはあなたの身の周りにたくさんあります。
あなたが日常生活の中でふと見たお店のＰＯＰやメニュー、ふと耳にしたセールストーク、毎日目にするチラシやポスターには儲けのアイデアとヒントがたくさん存在しています。
「印刷会社や制作会社、そして広告代理店はプロだからお金を払えばちゃんと集客してくれて、売上げが上がり、儲かるだろう。」
・・・といった幻想にいつまでも捕らわれていてはいけません。
小さな会社やお店では経営資源が限られています。だから、まずは上記で紹介したようなすぐにコストをかけずにできる集客方法や客単価アップ、来店や再購入を促進するアイデアをあなたが自ら実行して、お客さんの反応を感じて、テストを繰り返して、マーケティングセンスと広告販促の経験値を積み上げていきましょう。
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酒井とし夫
プロ講演家（累計講演回数１，０００回超）／コンサルタント／コーチ／ランチェスター経営認定講師／米国NLP心理学協会認定ビジネスマスター／米国NLP心理学協会認定プラクティショナー・全米NLP協会認定プラクティショナー／米国NLP心理学協会認定コーチ／GCSコーチングコーチ／コミュニケーション心理学マスター／LABプロ・プラクティショナー
略歴
１９６２年４月１０日生まれ。新潟在住。ファーストアドバンテージ（有）代表取締役。立教大学社会学部卒業後、中堅広告代理店勤務。２８歳で広告制作会社を設立。以降、広告制作、モデル派遣事業、撮影ディレクション、アイデア商品販売、キャラクターグッズ販売、露天商、パソコン家庭教師派遣事業、パソコン・スクール事業、トレーディング・インストラクション事業、インターネット通販、コンサルティング事業等数々のビジネスを立ち上げる。
ビジネスに関するE-BookやCD、セミナーDVDを５年間で１万３９００本以上販売した情報起業家として、小さな会社の経営者や起業志望者を応援するコンサルタントとして大いに注目されている。現在、日本全国の商工会議所、商工会、商工会連合会、行政団体、企業から年間１００回以上の講演依頼を受ける人気講師としても活躍中。
メルマガ「商売心理学！小さな会社やお店の集客・広告宣伝・販促」は読者数２万１千人（を超え、日本一のメルマガ配信スタンドまぐまぐに殿堂入りメルマガとして認定。フェイスブックのファン数は８，７００人超えて個人ページとしては日本トップクラス。
最先端心理学とも呼ばれる米国NLP心理学協会認定ビジネスマスター資格、米国NLP心理学協会認定コーチング資格も有し、ビジネスでのセールス、交渉、コミュニケーション、に活かすビジネス心理学を講演・研修が好評。雑誌「プレジデント」やフジテレビ「とくダネ」で商売心理学・広告宣伝の専門家として紹介されている。
出版書籍「心理マーケティング100の法則」は新宿紀伊國屋書店週間ランキング第３位獲得、「予算ゼロでも効果がすぐ出る 売り上げが３倍上がる！販促のコツ４８」、「小さな会社が低予算ですぐにできる広告宣伝心理術」、「売れるキャッチコピーがスラスラ書ける本」は世界一のアマゾン書店でマーケティング部門第１位獲得。
▼ビジネス講演会詳細
https://ssl.middleage.jp/kouenkoushi/
▼マスコミ履歴
フジテレビ「情報プレゼンター とくダネ！」、雑誌プレジデント、エスカイヤクラブ会報誌「esquirwe news」、大塚商会月刊誌「ニッポンの元気人」、ラジオ「うっらじ」、ＪＡグループ月刊誌「地上 GOOD EARTH」、熊野新聞社、SBS静岡放送ラジオ、財団法人新潟経済リサーチセンター「にいがたの現在・未来」、東洋医療専門学校学校案内、富山県魚津市ケーブルテレビ、財団法人にいがた産業創造機構、熊本日日新聞、朝日新聞デジタル、商経アドバイス、週刊トラベルジャーナル、日本経済新聞 他多数
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