ギャラクティカ【前編】アンドルー・プロバート〈その1〉 | アディクトリポート

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ここ(【予告篇】アンドルー・プロバート/フェイズ2のエンタープライズ〈その4〉)
で予告した本編で、
プロバートが改装型エンプラ、
pppp
俗に言う映画版エンプラのデザイナーに起用されるまでの経緯を追う、
連載企画の、本編第1回。

今回は、プロバートの映画業界入りのきっかけについて。

なので、テーマは、まだ行き着かない「スタートレック」でなく、
きっかけとなった、「スター・ウォーズ」です。

1977年のこと、
プロバートはパサデナ(Pasadena)にある、
アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン
(Art Center College of Design)
という、
日本なら総合美術大学(美大)にあたる学校に通っていた。

ほどなく映画『スター・ウォーズ』が公開され(5月25日)、空前の大ヒット。
雑誌には特集記事があふれ、
映画のスチルと共に、
ラルフ・マクォーリーのプロダクションペインティング(設定画)も、
多数紹介されていた。

みっつ

プロバートは幼少期に、
母親が辞書の前後に製版の都合で差し挟まれる、
白紙のページを切り取って渡してくれたのをノートやスケッチブック代わりに、
覚えている限り最初に描いたのが、
イナズマ模様のフラッシュゴードンの宇宙船だったという、
筋金入りの宇宙船マニア、SFマニアだっただけに、
マクォーリーのイラストにすっかり心酔。
この人に会ってみたいと考えた。

するとマクォーリーは、“ロスを拠点とするアーティスト”と記されている。

とろん

オタク心を抑えきれないプロバートが地元の電話帳で探してみると、
あっさりとマクォーリーの電話番号が見つかった。
臆せずにさっそくかけてみるのが、オタクの度胸とでも言おうか…。

プロバート「もしもし」
「はい」
プロバート「あの…ラルフ・マクォーリーさんのお宅ですか?」
「そうだよ、私だが」
プロバート「えっと…アンドルー・プロバートと申します。うちの大学の新聞でインタビューしたいんですけど」
マクォーリー「どこの大学だい?」
プロバート「アートセンターです。パサデナの」
マクォーリー「ほう、私も昔、あそこの学生だったんだよ。だったらうちにいらっしゃい」

若きマクォーリーは朝鮮戦争に出兵。
彼を見下ろす朝鮮兵に銃口を向けられるも、
なぜかその兵士は引き金を引かずに立ち去って命拾いした。

生き延びたことをムダにしないように、
絵がうまいという自分の才能を生かすべく、
パサデナのアートセンターに入学。

↓さかのぼれる、最も若いラルフ・マクォーリーの近影。
kuako
↑若き日のシド・ミード。どちらもアートセンター時代のものではない。


同じ時期に4歳年下のシド・ミードも在籍していて、
当時からバツグンの才能を発揮していたと、
作品集DVDのインタビューで、マクォーリー本人が語っていた。

さら
↑新国立競技場の案ではなく、シド・ミードの宇宙船案です。


こうしてプロバートはマクォーリーと知りあい、
自己紹介を兼ねて自分の作品を見せ、
きちんとインタビューして、
それは学校新聞の記事にまとまった。

1977年末から78年の年明けの頃。
プロバート「冬休みに働きたいんですけど、デザインの仕事、ありませんか」
マクォーリー「ちょうど今、『スターワールド』っていう企画が進んでて、ヘルメットのデザイナーを探してるよ」

プロバートはマクォーリーの推薦で、
当時のILMの主任、ジョン・ダイクストラの面接を経て、
ダイクストラ+ギャラ
ヘルメットのデザインを提出。

ジョー・ジョンストンの案とのコンペになった。
↓フィルム缶を3つ並べて芯にした宇宙船、リヴァリー(Livery)の原型を手にするジョンストン。
jones
↑この宇宙船は、鉱石運搬船、ミネラルシップと設定された。


脚本では、主役と敵側は宇宙の各地を転々とし、
様々な星と交流するので、
すでに確定していた
↓主役側のヘルメットデザインが、
けぶと
↑地球のエジプト文明に影響を与え、
↓敵側のデザインは、
じじ
↑ギリシャ文明に影響を与えたと仮定して、
トサカのあるデザインを描いた。

スリット状のバイザーが、ヘルメットの端から端まで広がっているのは、
teppa
劇中に登場する、ロンパリの爬虫類風エイリアンが、かぶるんだろうと想定していたため。
とにかくプロバートは、
↓メットのデザインを完成させ、
みっつ
一方、
↓ジョンストンのデザインは、
っっっkl
↑日本の足軽鉄砲兵や、忍者みたいなものだった。

『スターワールド』のプロデューサー、
グレン・ラーソンの息子(まだ子供)が選んだのは、
プロバートの案だった。

こうしてアンドルー・プロバートは、
ILMに在籍することになり、
きっs
「スターワールド」から「バトルスター・ギャラクティカ」に改題された企画に、本格的に関わることになる。

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スターワールドという仮題は、
「ギャラクティカ」のパイロットエピソード、
“Saga of a Star World”(星の世界の伝説)に、痕跡をとどめている。

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また当初は、
「バック・ロジャーズ」と並行して企画が進んでいた。

続きはまた今度。