『2199』第１話の感想

やっと公開されたので、

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ようやく第１話の感想を書きます。

しょうじき、あまり感心しませんでした。

理由は以下の通り。

『ヤマト』オリジナル版（1974）の成功要因は、

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＊それまでになかった全く新しい話を、
＊視聴者を突き放すことなく、わかりやすく伝えたこと
だと思う。

しかし40年近くが経って、誰もがツッコミ役に回りがちなため、
『2199』はツッコミ対策なのでしょうか、
それはもうていねいにていねいに、
まるで腫れ物にでも触るかのように、
１カット１カットに気を遣いながら作ってはいるんだけど、
こちらを修繕すれば、あちらから水漏れし、
それを直すとまた別のところから水漏れするといった感じで、
どんどん袋小路におちいって、
気がつけば、なんだかいびつな仕上がりになっている。

しょせんは人間のやること。
あちらに気を配ればこちらがおろそかになるのはしかたないんで、
まずはとにかく、何を伝えたいのかを第一義に置くべきでしょうね。

以下ネタバレ

たとえば今回の冥王星海戦は、

実はあらかじめ予告されていた、

イスカンダルの宇宙船の、

火星到達を助けるための陽動作戦に変更されたが、
そうなるとますます、（その作戦を知らされていようがいまいが）古代守（兄）のとどまる理由に説得力がない。

そのため悲壮感もなければ、突然の合唱も珍妙。

地球防衛軍の制服や艦内装備、果ては用語（「みぎ舷」「ひだり舷」等）まで、海上自衛隊のそれを模してるらしいが、


分厚いディスプレイや、

↑こんな感じ。

光学式風の、のぞき込み型スコープなど、

↑当たらずとも遠からずと言った風情。
とても22世紀末とは思えぬアナクロさ。
今（21世紀初頭）の家電売場の方が、

よっぽど未来してると感じる。

作戦名や暗号は、（すっかりアメリカナイズされた21世紀初頭の）現代の日本人でも使わない古い日本語のオンパレードで、
だったら復古調のナショナリズムが徹底してるのかと言えば、
加藤三郎のクルージャケットの背には、COSMO FALCONと英字のエンブレム。
ここは一つ、暴走族みたいに、漢字の「隼」の刺繍で夜露四苦！



１話前半の海戦では、オリジナルどおり地球艦艇は、

ガミラス艦に対してまるで無力。


なのに８年前の火星域での初戦で、
多くの犠牲を伴いながらも、どうにかガミラス艦隊を退けたという地球の艦艇類は、
いつから、なんのために準備されていて、どう戦ったら強敵を食い止められたのか？

今回の戦いまで、艦隊を編成できるだけの隻数を、

どうやって温存できたのかも謎。

８年前の2191年まで、他星の侵略が一切なかったのに、
沖田とか土方とか山南（漢字が違うらしいが、それはともかく）とか、今や老人が所属していた地球防衛軍って、いつから、そもそも何のために存在してたわけ？

と言った具合に、オリジナルの矛盾点を理路整然と直せば直すだけ、
それがまた新たな疑問や矛盾を生んでしまい、キリがなくなってしまう。
だけでなく、気持ちが過去へ過去へとさかのぼってしまって、
話の先に、ついて行きたくなくなる。

いや、１話だけで全てを説明はムリだから、そこまで要求するのは酷だってのはわかってますけど、気持ちが前を向かないってことは事実なわけで。

説明しないで更地のままにしとけば、そういうもんだろうと疑問を抱かないところをわざわざ掘り起こしちゃうから、寝た子を起こすことになってしまう。

このようにディテールや裏設定にこってるわりに、ストーリーはアバウトで、
森雪と南部が会話している中身、古代進が欲しくてたまらないそのものズバリの情報を、

絶妙なタイミングでキャッチできたり、
不時着したコスモゼロから出た古代が、なぜ断崖を登ったのかも

動機が不明と、
ところどころで、けっこー雑。

ネタバレおわり

つまり、気を遣ってていねいに押さえるべきところと、
おかまいなしにすっ飛ばしても、本筋に影響を与えないところがあべこべの扱いで、
「そこ？」と感じてしまうこと多し。

面白みのない優等生の模範解答みたいで、
私は魅力を感じませんでした。

そこで冒頭に立ち返り、最初のヤマトの最大の魅力であり成功要因、
＊それまでになかった全く新しい話を、
＊視聴者を突き放すことなく、わかりやすく伝えたこと
とは真逆の方向性（それがリメイクの避けられぬ宿命なのかもしれないが）にも？が浮かびます。

まあ作り手の熱意と愛情、まじめさとていねいさには感服しますし、
監督のヤマトとの関わり方や、別作品での業績まで考え併せると、
これがベストアンサー、まさに自分がこうしたかった、自分の見たかったヤマトなんだから、
自信もおありでしょうし、「どうだ！」って気分なのもわかるんだけど、
作品やドラマは、何より根幹のストーリーが最重要ですから、
その点での視聴者への配慮が欠けている感は否めない。

本筋語りに脇目もふらないという意味では、
「ニュータイプエース」で、

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先月（３月10日発売）号から連載開始の、
むらかわみちお氏のマンガ版の方が、

ずっと出来が良く、
すんなりとドラマが頭に入ってきますよ。

以下妄想

じゃあ、お前がもっとましにできんのか？
と問われれば、ゴメンなさいと白旗を揚げますけどね。

なにせヤマトは魔物ですから。

私だったら、勝ち目のないリメイクなんかやらないで、
「2191 ヤマトへの道」をやりたいですよ。

遊星爆弾の攻撃で、地球はヤバイとなって、
各国の裁量で、国ごとの地球脱出船を建造する。
遺伝子を遺すべき人材の選定は、一般庶民には知らされず、
金持ちや、容姿や頭脳が優秀な者だけが脱出するという、かなりヤバイ、超極秘選民計画。

で、アメリカだったらエンタープライズとか、その国が誇る船名で建造するけど、

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これみよがしの造船施設は、遊星爆弾の恰好の標的になって、次々に破壊されてしまう。

結局、旧戦艦大和の残骸をカバーに、
その下で建造してた日本のヤマトだけが生き残り、
当初から設計と建造に関わった人が、
イスカンダルに旅立つ姿を見届けながら、
「行け！　ヤマトよ。お前は私の息子だ」
と言って死んでいくところで終わり。

の方が、おもしろいと思いますけど？

妄想終わり

実写版が樋口監督候補だった時も、ヤマト建造秘話的なストーリーだったそうですよ。

そうそう、それで思い出しましたが、「2199」は、11日にTBSで放送される、お笑い実写版

よりは、一千億倍くらい素晴らしいですけどね。

あ、ゼロは何倍してもゼロだから、一兆倍しても足りませんけど。