ザ・ウルトラマンへの道(1)/内山まもるのウルトラマン(21) | アディクトリポート

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体裁としては、一応これの続き。

小学館の学年誌の、怪獣人気に後押しされて復活した、テレビの第2ウルトラシリーズは、4作目の「レオ」終了で幕を閉じた。
これが1975年の3月。

だから当然、内山まもるのウルトラマン学年誌連載も、「レオ」で終わりだと思われた。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-332

しかし「小学三年生」だけはその限りではなく、どうやら内山ウルトラの同誌での延長継続は、その2ヶ月前には決定していたようだ。

「小三」の「レオ」最終2話では、翌年度の内山ウルトラ新シリーズの実験的な物語が展開する。
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↑11話のトビラ絵では、謎の星人の黒いシルエットと、倒されているエースの衝撃ビジュアルが!

$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-303
↑そしてそのトビラ絵どおり、まずはエースが倒れる。
↓続いて、新マンが。
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エースと新マンは、ウルトラの国での永久凍結が決定。
↓そのかりそめの葬儀には、なぜかレオがちゃっかり列席。
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「小三」版「レオ」では、モロボシダンは、この時点で健在。

結局、地球にとどまっているタロウ(東光太郎)とダン(セブン)に警告するためにやってきた初代マンも倒れる。
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↑葬儀から戻ったレオがやればいいのに、どうして初代マンがこの任を?
それはもちろん、倒されるためにだけ!

一応この物語の前哨として、東光太郎が6話に登場。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-uiui
タロウに変身して、レオの危機を救っている。
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テレビの「タロウ」では、東光太郎はウルトラマンタロウを封印して、人間としての光太郎の人生を歩んだが、このマンガでは変身能力を内包したままになっている。
(別に間違いではなく、当時はこうした解釈もありだった)

最終12話では、トビラで謎の刺客がナックル星人だったことを宣言。
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前号のエース、新マン、初代マンに続き、タロウ、アストラも倒れ、
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最後はゾフィーがナックル星人と道連れになる。
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こうして「小三」のレオは、セブンとレオだけが生き延びたと言及されはするが、どうしてモロボシダンが出てこずじまいなのかわからないままに、唐突に幕を閉じてしまう。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-reoloiu

「小三」版レオは、構成を野辺地健が担当し、内山はこのシナリオにしたがって、まずは「小三レオ」を執筆。
その後に自分の独自路線で、「小三」版のグレードダウン的な「小二レオ」を執筆したと推測される。
「小二版内山ウルトラ」は、前年の「タロウ」では構成を田口成光が担当していたが、「レオ」ではノンクレジットなので、おそらく内山独自のストーリーなのだろう。

とにかく「小三野辺地版レオ」の最後に、ウルトラ兄弟がほぼ全滅してしまうのは、当時の「小三」読者は次号から「小学四年生」に進級してしまうから、いさぎよく「ウルトラ(シリーズ)」の息の根を止めて、そうした読者たちに後腐れのないように(後を引かないように)との配慮だったのかも知れない。

その一方で、「小二」版「レオ」は12話でも完結せず、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-saigo
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-guuuu
↑読者が進級する先の「小学三年生」の翌月号に続く、と告知されている。

↓「レオ」最終12話までの前段として、前11話で(テレビでは円盤生物の襲撃で行方知れずになった)モロボシダンは、レオがもたらした修理されたウルトラアイでセブンに変身。
MACのミサイルを背中に背負って敵に特攻し、ここで死んだことになっている。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-きういう

だからウルトラ兄弟は、セブン以外は全員健在。
12話ではハヤタ、郷秀樹、北斗星児、東光太郎、そしてゾフィーの人間体が勢揃いして、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-shuugou
タロウまであわせてレオに加勢し、共同で勝利を収めている。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-reoreo
アストラもレオの両親も健在。
というわけで、セブン以外のウルトラファミリーは、全員生き残っている。

で、この内山ウルトラ独自展開というのは、元を正せば「小二」連載の「タロウ」あたりから、構想ができはじめたのではないかと思われる。

思えば「帰ってきたウルトラマン」も「エース」の最終回も、「小二」版はテレビにはさっぱり準じていない。
「タロウ」の途中からは最終回だけでなく、途中のエピソードでも、テレビ本編からはかけ離れてしまった。(ゾフィーの客演がやたらと多い)
「レオ」のテレビはシリーズ終焉でしょぼかったこともあり、「小二」「小三」ともに、ますますマンガ独自展開がきわまっていく。

そんなこんなで、テレビだと予算がかさんで実現不可能な、怪獣やウルトラマンの大量出演や、舞台を地球に限定せずに広大な宇宙で展開することが、描いてしまえば可能になるマンガの特性を利用して実現することを心得た内山まもると、第2シリーズ最終番組だけで絆が芽生えた「小学三年生」編集部が力を合わせ、1975年の4月号からは、マンガだけのウルトラワールドが展開していくことになる。

それについては、この次に。

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