さて今回は、ウルトラ兄弟の長兄にして、宇宙警備隊長のゾフィー。
初期は公式名がオトビキ(ー)のない、ゾフィだった。
ゾフィ(当時表記)は、ウルトラマンの最終回「さらばウルトラマン」で、宇宙恐竜ゼットンに敗れたウルトラマンを、故郷の光の国に召還するためにやってきた。
……のだが、ビデオもない時代。
最終回の急転直下の展開には、子供だけでなく大人もついて行けず、おまけに番組終了作品は宣伝にならないから雑誌でもフォローされず。
そんなこんなで、後年の図鑑でも、
「宇宙恐竜ゼットンは、ゾーフィに操られ」云々の記述があった。
↑実際にゼットン(左)を操っていたのは、ゼットン星人(右)。
単に背広を着たケムール人というウワサも……
だけどツッコめないね。
ゾフィとマンの対話で、「ゾフィ」と呼びかける声がこだまし、
ゾフィゾフィゾフィゾフィゾフィ
と聞こえるんだけど、なにせ「ゾフィ」という言葉に聞き覚えがないから、ゼットンにカラータイマーを破壊された瀕死のウルトラマンが、その激しい動悸を、
ドキドキドキドキドキ
と表現してるのかなと思ってた。(初放映当時6歳)
それにしても、自分の心臓の鼓動をどうして口マネするのか、カッコ悪いなあと感じていたことは秘密だ。
それで第2期ウルトラシリーズの雑誌掲載権は、第1期の講談社から小学館に移り、小学館には「帰りマン」以降の資料写真は円谷プロから当然提供されても、それ以前の第1シリーズの、(しかも資料写真が撮影されず、本編フィルムにしかその姿がとどめられていない)ゾフィの画像は、提供不可能だった。
そのため、学年誌では、ゾフィの姿は、
「初代マンの模様に、帰ってきたウルトラマンのように縁取りの二重線があって、胸にボタンがついている」という情報だけを頼りに、想像で描かれた。
↑「小学二年生」昭和46年8月号「なぜなにウルトラマンじてん」
そのためか、1971~72年の「帰ってきたウルトラマン」の「小二」連載中のマンガでは、内山まもるはゾフィーはおろか、初代マンもセブンも描きこんでいない。
↑ベムスター(テレビではセブン登場回の怪獣)やナックル星人やブラックキング(初代マンとセブン登場回の怪獣・宇宙人)が出てきても、ウルトラ兄弟の客演はなし。
ということが、この本で確認できました。
……ヘンだなあ。
たしかウルトラ兄弟の概念を提唱したのは、テレビより学年誌の方が早かった気が……
と思ったら、「小二」通常号でなく、増刊でした。
↑「小学二年生 夏の増刊号」(1971年9月10日発行)
↑余談だが、この頃(帰ってきたウルトラマン・1971~72)の内山まもるの理想のウルトラマン像(中央)って、手袋とブーツが目立って、ボディラインに抑揚もない新マン(右)ではなく、初代マンのAタイプ(左)だったんじゃないの?
口元のやわらかさとかまで含めて、直線的な仮面よりも人間の顔の延長って感じで。
↑模様は正確でないが、しっかりウルトラマンしている内山ゾフィの最初期バージョン。
で、↓これが3兄弟が登場する、主だったコマ。
↑最後のコマは、マンとゾフィーを描き間違えているそうです。
テレビでは「帰ってきたウルトラマン」が終わり、
「ウルトラマンA」第1話「輝け!ウルトラ5兄弟」で、
5年ぶりにゾフィが再登場となり、その姿が確定したが、
内山まんがのゾフィーは、「小二増刊」と同じ模様のままだった。
テレビの「エース」第1話に登場したゾフィは、新マンのスーツをリペイントしてボタンを加えただけで、
↑縁取り線の箇所が、オリジナルとはあちこち異なり、模様のカーブも直線的。
細部が初代マン最終話に登場したものとはずいぶん異なるが、
↑「マン」最終話のゾフィは、マンCタイプのマスク(目に覗き穴がなく、トサカを黒く塗装)と、使用済みのマンAタイプのボディを組み合わせたものだった。
とにかくめでたくゾフィーのスタイルが判明、確定したので、これ以降の内山マンガには、ゾフィーの客演が増えていく。
テレビでは「エース」にゾフィは、1・5・13・14・23・26・27・35話の8回も登場。
↑第13話「死刑! ウルトラ5兄弟」
↑23話「逆転! ゾフィ只今参上」(2枚とも)
全52話だから、約15パーセントの登場率。
またまた余談だが、ゾフィの必殺技、M「87」光線は、M「78」星雲出身なのにヘンじゃないかとよくいわれ、言い訳の設定は、
「光の国公認宇宙記録の87万度を達成した奇跡 (Miracle) の熱線」の意味
となっている。
だけどホントは、14話「銀河に散った5つの星」で、脚本の市川森一がこの回だけ「M87星雲」にしちゃって、たまたま同じ回に登場した光線技だから、M87光線になっちゃったんだよね~。
一方まんがは、1話・4話・7話と全11話中の3話に登場で、27パーセントの高登場率。
↑4話。他の兄弟が身長40メートルなのに、ゾフィーだけ45メートルなのを、しっかり描き分けている。
↑7話。
さらに通常連載とは別に、前年を踏襲した「小二」72年9月増刊号にも、もちろん登場。
副題は「ウルトラ5兄弟たいヤプール人」
↑ウルトラまんがを担当して、わずか1年半足らずでこの安定感と風格。
隙のないタイトでスタイリッシュな絵柄に、ほれぼれ!
なんと「小二増刊」は冬休みの1月号にも。
副題は「怪獣はか場のけっとう」
次の「タロウ」では、テレビでは1・18・19・25・33・34・40話の7回登場で全体の約13パーセント。
テレビ「タロウ」の問題は、それまで乳白色だったマンやゾフィの目の色を、25話からエースに合わせてのきなみ黄色にそろえちゃったこと。
ホントにガッカリしたよ!
ダメだこりゃ!
↑第25話「燃えろ! ウルトラ6兄弟」
↑第34話「ウルトラ6兄弟最後の日!」
一方、「小二」のマンガ「タロウ」では、なんと12話中6話、つまり半分もにゾフィーが登場。
その他のウルトラ家族の客演まで含めると、ないのはたったの3話しかなく、この時期いかに、ウルトラファミリーという設定に依存していたかがわかる。
テレビではウルトラファミリー登場はそれなりに余計な出費だけど、マンガは描けばいいだけってのもあったと思う。
そのためゾフィーの登場は乱発気味で、あまり必然性が感じられなかったり、はっきり言ってこじつけ気味なことも多かった。
↓頭に火がついたことで有名なバードン戦(テレビ18話)
のマンガ化(第6話)ならいざ知らず、
アリンドウの回は、それまで無関係に展開していた地球の事件を、なぜか光の国のゾフィーが予見、モニターしていて、おせっかいにも助けにまで来る。
他の回も、これに似た感じで、かなり強引。
恒例になった「小二増刊」は、9月号(夏休み号)の「かがやけウルトラの星」
↑とびらは写真
↑増刊といえば見開きのパノラマ画!
「レオ」に至っては、テレビには38・39話の2回しか出てこなかった(4パーセント弱)のに、マンガは「小二」が6・10・12話の3回。(25パーセント=1/4)
「小三」が3・10・11・12話の4回(33パーセント=1/3)と、かなりの高率。
これが翌75年の「小三」誌上の「さよならウルトラ兄弟」(後の「ザ・ウルトラマン」)につながっていく。
さて、ゾフィーといえば、実物は初代マンに準拠しているから首は赤いはずなのに、内山版のゾフィは、なぜか新マンと同様に、白く描かれることが多かった。
↑左から新マン、ゾフィー(胸のボタン描き忘れ)、初代マン、セブン
「小二 夏の増刊号」1972年「ウルトラ5兄弟たいヤプール人」より。
一応、可能性として、「エース」1話のゾフィ(新マン用スーツのリサイクル・リペイント)の首が、あごのあたりで、赤を塗り残してるってえのもあるんだけど、
↑ドンピシャリの写真に行き着きませんでした。
それを参考にしたのかどうかはともかく、内山まもるのゾフィは、白首になったり、赤首(白黒マンガだから黒首)になったりを繰り返す。
「エース」の「小二9月増刊」では白首、通常第7話でも白首、
しかし「1月増刊号」で黒首に。
「タロウ」では、バードン戦(マンガ第6話)から首を赤く(黒く)するまで、ずっと白首だった。
↑バードン戦の一話前の5話でも、白首。
せっかく正しくなっても(6・10話)、
最終12話でまた白首に逆戻り。
これが「レオ」では一貫して黒首になり、
↑「小二」6話
↑「小二」10話
↑「小三」11話
以後は黒首が踏襲される。
というわけで、次回はたぶん、初代ウルトラマン。
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