トイレベンチャー〈その1〉 | アディクトリポート

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2010年、アディクトがご紹介する最初の小説は、ビジネス/青春小説で、上和住明正の「トイレベンチャー」です。
毎晩深夜12時更新予定です。

本日は第1回、序章部分です。

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序章

社会問題への取り組み

 どんな時代、どんな社会にだって、解決すべき問題はある。
 あるいは問題があるからこそ、それを解決しようとする力が、世の中を進歩させ、良い方向へと動かしていく。

 問題を解決するのは、その時代を生きている人でしかありえないから、誰だって問題を解決する当人になりうるはずなのに、大半の人は、自分がその問題の当事者だとは夢にも思っていない。

 傍観者を決め込む大多数の人たちは、問題を解決するのには、何か特別な組織があったり、それにあたる専門の人がどこかにきっといて、取り組み続けてくれているのだろうと、根拠のない勝手な思いこみをしている。

 しかしどのような問題でも、それが気づかれ始めた当初には、解決のための専門家や専門組織など、あるわけがない。
 問題が生じて初めて、それを解決する手だてが、後を追う形で次第に整えられていくことになる。

 解決の当事者になる人も、傍観者を決め込む人も同じ人間なのだから、能力に決定的な違いがあるわけではない。
 つまりどこにでもいて、誰とでも変わらない人の中から、問題を解決する人が出てくるわけだが、当初は本人にすら、その自覚がない場合が多い。

 これは、ある社会問題に対して、傍観者から当事者に転じた人たちの過程を記録した物語である。

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