復活篇ヤマト分析〈その2〉 | アディクトリポート

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『宇宙戦艦ヤマト復活篇』本編鑑賞記は、こちら

前回は、初代宇宙戦艦ヤマトの、後方俯瞰図の存在について触れたが、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-かんぱん
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-kannpann2
この2枚はどこからパクったかと言うと、
ひおあきらのマンガからである。

知ってる人は知ってる、
ひおあきら版の「宇宙戦艦ヤマト」では、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-mabha
↑3巻目の表紙で、ヤバさの片鱗がかいま見えるが……

松本零士のマンガ版に描かれた、
なんとな~く変形した、かわいらしいヤマトとも、
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-1やま
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-2やま
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-やまと3
↑いかに原作者といえども、最初の頃のヤマトの絵柄はこんなもの

アニメ版とも似ても似つかない
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-しらと
↑原画は白戸武と推測
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-みくいう
作画は(日本初のメカ作監とも呼ぶべき)泉口薫?


こんなトンデモヤマトを描いたことで有名である。
オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-imo

だけど、ひおあきらも、最初から飛行船かサツマイモみたいなヤマトを描いてたわけではない。
たとえば最初の見開き(88~89ページ)では、こんなにスマートだった。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-みぎらき
それがわずか5ページ後の93ページでは、早くも「症状」が出始め、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-93
時折正気に返ったように、松本零士風のヤマトを2回ほど差し挟みつつ、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-252
252ページ
終盤(394~395ページ)を経て、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-zaeaeaew
最終見開きページ(620~621)では、こうなっている。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-yamiouiu
そのため、一番上に掲げたような後方俯瞰図など望むべくもなく、ご覧のような姿が……
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ふかん
208~209ページ
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-hukann2
367ページ

ひおあきらの「宇宙戦艦ヤマト」は、『復活篇』公開にタイミングを合わせ、現在コンビニで2巻まで発売中。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-やまちお

いちおう弁護でもないが、かなり細長いはずのヤマトが、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-sokumenn
松本零士やひおあきらのマンガでも、テレビアニメでも寸詰まり気味に描かれたのには、どちらの画面フォーマットもワイド(横長)ではなかった、っていうのも原因として挙げられると思う。

さて、では、こんなひおあきらが、何がどうすると、他のどこでも見かけない、「まともなヤマト」を描くことになったのか?
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-ふたつ
↑下の方の絵は、『さらば宇宙戦艦ヤマト』(1978)のコミック版に描かれた。
ひおあきらの1作目のコミック化は、1974年から1975年にかけて行われ、再放送人気でヤマトのテレビシリーズが人気を博するのに伴い、ひおあきらの肥満体ヤマトも、マニアやファンの話題に上った。

そこでひおが4年ぶりに再びヤマトに取り組む際に、描き慣れるうちにどんどん原型から遠ざかるのを阻止する手立てとして、ヤマトの各方向からの代表絵柄を1枚ずつ用意して、これをコピペで切り抜けることにした。
だから見開きで(正面方向から見た)ヤマトが画面全体を占めるのは、「さらば」では、この84~85ページだけ。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-だいひょう

それ以外は、細長く変貌を遂げたヤマトが、見開きページの上か下に配置されたり、コマ割が入ったりという画面構成になっている。

この代表ヤマトの絵柄は大変慎重に作画されていて、設定資料に初期版(パイロットフィルム用)と本編版が混在しているのをしっかりと見分け、正しい形にきちんとアップデートされている。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-yokogao
↑側面図の艦長室(左)は、パイロット版でホバーパイルダーみたいな流線形。
ひおあきらの「さらば」版(右)は、ここがきちんと修正されている!

つまり、ただ闇雲に資料を引き写したわけではないということ。

それで、こうした代表絵柄の大半は、下図や元絵にカンタンに行き着くものの、
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-だいcあhん」
↑上がひお版、下がその原図になった1作目の設定資料。

中には、それらしきものにたどりつけないものも何点かあって、
これだとか
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-tate2
はたまたこれだとか
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-urert
ここらへんだとか
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-usiro
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-uioiui
は、そのものズバリの設定資料に行き当たらない。


そういう中に、この後方俯瞰図も含まれていて、どうやら強化の目的で追加されたらしく、初出は全600ページ中、410~411ページと、かなり終盤。
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-kannpann2
これに類するアニメ用の下絵や原図が出てこないので、これもひおあきらが、三面図を元に自分でがんばって慎重に作図したのだろう。
1作目のマンガとは雲泥の差だが、4年の歳月は漫画家の作画力を向上させることだし(これはアニメーターも同様)。



さてさて、今回は「この記事のどこが復活篇ヤマトやねん!」でしたが、
つまりは世間での、ひおあきらの評価といえば、
ひたすら「1作目の寸胴ヤマト」に終わってしまい、
せっかく「さらば」でまともなヤマト図案を多数描いたにもかかわらず、
さらに原作者の松本零士の「宇宙戦艦ヤマト」マンガ版が、はなはだ不完全かつ未完だったのに比して、ひおあきら版は、
* 宇宙戦艦ヤマト
* さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち
* 宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち
* ヤマトよ永遠に
* 宇宙戦艦ヤマト 完結編
と、最長不倒記録を保持しながら、世間的にはまったく顧みられなかったために、
せっかく正しい後方甲板やカタパルトの構造が図示されながら、
小林誠にもTTBにも参考にされなかった結果が、
このお粗末な
$オレたちがやる! 作家集団Addictoeデビュープロジェクト-kannpannzusikizu
復活篇ヤマトの後部甲板まわりの設定に帰結してしまった、
ということが言いたかったわけなのです。

長いよ!

復活篇ヤマトについては、蛇行しながらもう少し続きます。
次回更新は、翌々日のお昼12時の予定。

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