唐突にガンダムネタですが、一応理由めいたものがあります。
*SW元ネタシリーズが好評だった。
*ざっとネットで「ザク」「バーバレラ」で検索したら、正しい情報に行き当たらなかった。
*形状の類似、一致に関する検分こそ自分のライフワークで、それはSWに限定されるものではない。
*自分が知ってることは他の人も当然知っていると思ったが、30年も前の作品だと、今時の若い世代にはそういう情報に触れる機会がなく、したがって知っているはずがないことに気がついた。
といったところ。
ガンダムのメカデザイナー、大河原邦男氏は、
↑2002年撮影
ザクは『バーバレラ』(1968)を参考にしたといっている。
どこでそういったか、たしかアニメ誌のどれかだったと記憶してるが、ネットでその情報を確認したら、とりあえず行き当たった情報は間違っていた。
というより、大河原氏が当時言ったことが、正確に伝わっていない。
ネット情報では、劇中後半の緑のバーバレラ(ジェーン・フォンダ)のコスチュームが、ザクの参考だと書いてある。
これ↓から、
これ↓へ?
かろうじて、太ももの丸みを帯びた感じと、腰蓑(こしみの)風の処理ぐらいに、無理矢理類似点を見いだせないこともない、といった程度で、バーバレラがザクの元ネタだとは思えない。
というよりも、もしもバーバレラの緑のコスチュームからザクをデザインしたのなら、大河原邦男は別の意味で天才だと思う。
さて、本当にザクの参考にされたのは、ブラックガードと呼ばれ、字幕では「黒衛兵」となっている、こいつらである。
しかし、またしても、それほどザクには似ていない。
実は、大河原邦男が参考にしたのは、映画『バーバレラ』本編ではない。
ビデオソフトが普及していなかった時代、参考にするのはたいていは印刷物だった。
氏が参考にしたのは、バーバレラのポスターだった。
しかし、ポスターといっても、
初公開時の日本版ポスターでもなければ、
1968年のオリジナル版でもない。
1977年にボリス・ヴァレホ(ペルー出身なので「ヴァレジョー」ではない)が描き直した、
再公開用ポスターの絵柄である。
このアートは大好評で、LDのジャケットから、
現在DVDのパッケージまで、オリジナル版はみかけず、のきなみボリス版が使われている。
このアートは、スターログ日本語版創刊号(1978)のボリス特集で紹介された。
しかたない?ので、9/21に池袋の古書店で、現物を2100円で買ってきましたよ!
これが掲載ページ全体。
これが掲載部分。
「機動戦士ガンダム」は、1979年4月放送開始だったから、大河原邦男はこのスターログ創刊号を参考にしている(海外での『バーバレラ』再公開版ポスターの存在を知らなかった)と見て間違いない。
これがブラックガードの整列部分。
これを左右反転してザクと対比させると、明らかに参考にしたことが見て取れる。
決定稿でもじゅうぶんに元ネタの影響が見て取れるが、準備稿のデザインは----
----もっと元ネタに忠実だった。
右手のムチは、ザクの後継機のグフのヒートロッドに生かされた。
さて、本来はここまでで大体説明が終わり、ガンダムネタは単発……のつもりだったが、新たにガンダム自体の元ネタが見つかったので、次回はたぶんその話。
機動隊の装備、あの盾以外に、ガンダムの基本スタイルの元ネタを、あなたはご存じでしたか?
私も、つい最近まで知りませんでした。
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