ダークナイトIMAX版 | アディクトリポート

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というわけで(どういうわけだ?)、上映日をあと4日残すところで、ようやく念願の『ダークナイト』IMAX版を観ました。
↓画面はイメージです。
本当に飛び出すわけではありません。(2D上映)
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-フェイク
↓IMAXカメラで撮影された冒頭の部分。
(ただしこれがIMAX画像とは限りません。ブルーレイキャプチャかも)
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ビル
↓これこそが一番、IMAX感を伝える画像ではないでしょうか!
$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-一デカ
↓通常版(上)とIMAX(下)の画角の比較です。
例であり、実際とは異なる場合がありますが、
IMAX版は「四角い」のがわかりますね。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-IMAx対比
↓ここから下は、比較的「四角い」スチルを並べただけで、
IMAX画面とは限りません。
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-ポッド
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-小画面2
オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-小画面


では感想です。

あまり多くの人が観られないものを観ただけで、これみよがしに「すごい!」とかいうのは好きじゃないです。
2008年に幕張でドルビー社がデモした、『エピソード2 クローンの攻撃』の3D版の2分くらいのデモとか、相手が期日中に行けないと知るやたちまち「すごかった!」とか言う人いましたけど、2DのDLP版と、見た目は同じなんですよ。
ただ飛び出すか飛び出さないかってだけで。
その意味では、ちっともすごくなかったです。
「ああ、こうやれるんだ」って程度の感想。

それで、正直いえば、IMAXにする意味のない映画もあります(「ナイトミュージアム2」とか)。
単に35ミリをDMRで引き延ばしただけじゃあ、通常版と印象がそれほど変わらないのも当たり前。

だけど、「ダークナイト」は何カ所かIMAXカメラで撮影された最初の劇映画で、だからこそまさにIMAX版がデフォルトで、それ以外はDLP版(昨年の日本では1館もなく、全てフィルム上映)もブルーレイもDVDも、「二次的なもの」「仮のあてがわれもの」「非純正」って気がしてしまう。

クリストファー・ノーラン監督が、IMAXで観てほしかったのが、よくわかりましたよ。
IMAXでこそ、伝わることってあるわけですね。

冒頭のワーナーロゴの光ってるエッジの斜め線にギザっぽさがあって若干不安でしたが、ビル街を中心に空撮は基本的にIMAX撮影、画面の上下いっぱいまで映写されると、高さや上下がよく表現できて、高所恐怖症の人にはキツイ画面も何カ所かありました。

通常版だとわかりにくい、動きとか細部がハッキリクッキリで、何度目かの作品鑑賞ということもあってか、とても「わかりやすい」作品になってました。

香港のくだりは不必要では?的な意見がありましたけど(そして通常版だとそういう気もしないではない)、IMAX版であのシーンがなかったら、大変な損失。つまりIMAX版では、香港は絶対にありなんです!

音が暴力的な迫力で、これも手伝い、「鑑賞」というよりは、まさに「体験」でした。
あの音量は、35ミリ版では出せないです。
「トランスフォーマーリベンジ」「ハリポ謎プリ」両IMAX版と比しても、数段迫力の音でした。
近くで雷鳴が、延々と轟き続けてる感じなんです!!!

途中から感じたのは、「ダークナイト」は、脚本、撮影、編集、音楽と、ことごとくが現代映画の最先端表現の頂点をきわめてて、公開から1年経っても、まだ他作品でここに追いついたり、ましてや越えたものはないってことで、それがIMAX版になってよけいに際立つんです。

この映画のラストって、いかにもドラマチックな盛り上げっていうより、なんだかあわてて話をまとめたみたいな雰囲気なのに、それがかえって感動につながるんで、今回は通常版の初回鑑賞よりも感涙でしたが、「こういう革新性に気づいいてる人がどれだけいるのか」「ひょっとして自分だけ勘違いしてるのか」って、若干の不安も抱きながら観てたんです。

知り合いでご覧になった方々の感想も「映像より音」程度が3人くらいだったし。

そういえば去年の通常版の時なんか、本作の評価はもっとひどかった!
「そんなによくない」
「レッドクリフの方がおもろい」
「バットマン・リターンズは超えられなかった」等々……。
「創作者の琴線にビンビン響くんですよ」といったら、頭が筋肉の人に「はあ?」と返された。
こういう人たちは、IMAX版「ダークナイト」を観ても、まだそんなことが言えるんだろうか。

そしたら、IMAX版上映後に、満足げに劇場を後にする若い女性の会話を偶然耳にする。
「クオリティの差が歴然!! これを日本じゃ、(今まで)観られなかったんだからねえ」
「スタッフの意気込みがビンビン響いてきて、せつないぐらいだった」

ちゃんとわかってる人がいるじゃんか~!

というわけで、今年何か1本観るなら、最優先順位はこれだと思います。
あと3日(水・木・金)しかチャンスはありませんけど!
私だって、帰ってきたら所持金あっとビックリ60円ですからね。
それでも観ましたよ!!

2000円の価値十分にあり!

*以下はIMAX映画の歴史と現況について

さて、IMAXについては3回にわたって解説してきたが、
これまでの説明では、2002年末には2時間が限界だったはずの劇場用IMAX映画。

ところが(新宿タカシマヤが通常館になってしまい)都内唯一となった品川メルシャンIMAXシアターで観た映画でも、軽く2時間を超えるものが増えてきた。
以下に、同館が2006年末に閉館するまでに、実際に鑑賞した作品の上映時間を書き出してみよう。

ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密(2003年7月4日 45分
マトリックス・レボリューションズ(2003年11月5日〈日米同日公開〉 125分/通常版129分)
スパイダーマン2(2004年7月10日  127分
↑これのみ、軽井沢のメルシャンシアターで鑑賞。
ポーラー・エクスプレス3D(2004年11月27日 99分
チャーリーとチョコレート工場(2005年9月10日 115分
V・フォー・ベンデッタ(2006年3月17日 132分
スーパーマン・リターンズ(一部3D・2006年8月19日 154分
オープン・シーズン3D(2006年9月29日 86分


*「マトリックス・レボリューションズ」は、エンドクレジットのスタッフロールを小さな文字で大画面にぎゅうぎゅうに詰めて最後を短縮したかもしれないが、本編のカットには気づかなかった。
*「スーパーマン・リターンズ」はエンドクレジットを大幅に省略。おそらく150分以内に納めるため。

自分が見逃した作品でも、上映時間が長めのものをチェックしてみると、

マトリックス・リローデッド(2003年5月5日 134分
ハリー・ポッターと炎のゴブレット(2005年11月18日 150分

となり、最長150分までが2Dの上映限界。一部3Dなら片側のフィルムは全長分は必要ないので、「スーパーマン・リターンズ」のように150分も可能だが、フル3Dの「ポーラー・エクスプレス」や「オープン・シーズン」だと、90分から100分くらいが限界となる。

というわけで、2003年以降は2D上映、あるいは一部3Dなら、IMAXでも150分の上映が物理的には可能だった。
それなのにアメリカはともかく、日本ではどうして2006年末で品川メルシャンシアターが閉館し、長編を上映できる唯一のIMAX館、サントリー天保山(なんと今年末で閉館らしい!)は、まるでその動きがなかったのか?
(『ダークナイト』の時は、わざわざクリストファー・ノーラン監督がIMAXフィルムを持参して、天保山で一部マスコミにIMAX版の迫力を披露した)

それはひとえに、フィルムのプリント代が膨大だったからである。
プリント料金は通常の35ミリ作品で40万円~60万円といわれる。
40万円が90分作品なら、60万円は2時間15分となる。

フイルム面積が単純計算で、通常の35ミリの10倍以上、70ミリの3倍以上のIMAXとなれば、これまた単純計算で、1本の映画のプリント代が、90分作品で400万円、2時間越えの作品で500万円から600万円もしてしまうことになる。

シネコンだったら、入りの悪い作品のプリント代を補填してくれるヒット作があるだろうけど、IMAX(以前はシネコン併設でなく、単館営業だった)は、一定期間に1作品しか上映できない。
というわけで、タカシマヤタイムズスクエアも、品川メルシャンシアターも、営業を続ければ続けるほど、赤字が累積していった。

とにかくお客さんに入ってもらわないと困るんで、敷居を低くして映画の日は1000円。水曜日は女性は1000円だった。
品川には別経営のシネコンがあって、そこのスペシャルシートは映画の日でも割引なし。ってことで、「スーパーマンリターンズ」なんて、通常版が2300円だか取られるのに、(どう考えてもそっちより上級な)IMAX版が、1000円でみられる日もあったんですよ!

こういう「弱点」克服のため、2009年に2年ぶりに登場した、109シネマズの新生IMAX3館は、全てデジタル方式なっていて、(後述するようにフィルムより安上がりのくせに)映画の日だろうがレイトだろうがレディスデーだろうが2000円は絶対に取る!3D版だったら2200円も取る!
デジタルIMAXはつまり、通常館のデジタル(DLP)上映と原理は同じで、フィルムを使わずデータを再生する方式。
IMAXが通常の35ミリ作品を拡大する新技術DMRで生成したデジタルデータを、フィルムに焼き付けないで、そのまま再生するというわけ。

デジタルならバカ高いプリント料を払わないで済むし、柔軟な上映スケジュールに対応できる。
プリントを作ってしまったら、今回の「ダークナイト」のような、1週間限定なんてかたちの、元が取れない興行は組めっこない。

フィルムを使わなければ、バカでかい映写設備やフィルム巻き取りスペースも不用。
データは何回再生しても傷まないから、上映初日と最終日で画質が全く変わらない。
3D上映でも、右目用と左目用の画像をデジタル映写機2台で同時にダブらせて投影できるので、150分のはじめから終わりまでフル3Dの作品だって上映可能だ。
$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-デュアル

実際に、109シネマズで上映された作品は、
トランスフォーマー・リベンジ 2009年6月24日 150分
ハリーポッターと謎のプリンス(一部3D) 2009年7月29日 154分
ナイトミュージアム2 2009年8月12日 105分
ダークナイト 2009年9月12日 142分/通常版152分
と、IMAX上映限界に迫る上映時間のものが多い。

それから字幕・吹き替えで別々にフィルムを用意する必要もなくなった。同じ画像データを再生し、音声と字幕表示だけを切り替えればそれで済む。
(フィルム版の音声は専用DVDの同調再生)

というわけでデジタルIMAXは、DLPの超上位互換モデルといえる、究極のデジタル上映なわけである。
↓デジタルIMAX館では、本編上映前にこのように必ずこのロゴが出る。
ってことは、これまたDLP上映の一方式だってこと。

$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-DLP

IMAX体験は、いくら金持ちがホームシアターを持っていても、ブルーレイDVDでも再現は不可能だから、通常版が劇場公開が終了したり、すでにDVDが発売された作品でも勝負できる。
実際に現時点、9月の中旬でも、アメリカでは5月初旬に公開された「スター・トレック」(2009)のIMAX興行を再び行っているIMAX館は多いのだ。
↓9/14時点でのIMAXサイトのメインページ。
$オレにやらせろ! 作家浪人Addicto救出プロジェクト-世テック

そんなこんなで、またIMAX作品の目玉がない谷間の時期には、「ダークナイト」の出番があるかも知れませんが(いわゆる急遽のリバイバル公開)、まずはあと3日、お見逃しなく!←くどいよ!

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