読む年表 中国の歴史(岡田英弘著)読了 | 52歳で実践アーリーリタイア

52歳で実践アーリーリタイア

52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

岡田史観を年表に基づいて整理した書籍。日本びいきのフィルターのせいでアヘン戦争以後の解釈はあまり説得力がないが、アヘン戦争以前については、グローバルな視点で説得力があります。


岡田さんの中国史に対するスタンスは、他の著作や、奥さんの宮脇淳子さんの著作でも同じですが、モンゴル人や満州人・日本人など、中国からみての蛮族(東夷、西戎、南蛮、北狄)を主語にした視点で読み替える点にあります。

日本においても、かつての「コロンブスのアメリカ大陸発見」が「コロンブスのアメリカ大陸到達」になったように、発見ではなくなっている。リンカーンの有名な演説「人民による・・・」も黒人奴隷解放とはいえ「人民」に黒人は入っていないだろう。

こうやって中国をみると新たな中国像がみえてきます。そもそも、中国という地域は、支配者が漢族含め、あらゆる民族がとっかえひっかえ変わってきた歴史で、様々な支配層の文化や文明を吸収しながら雑種的に成り立ってきた地域ということでしょう。清朝を作った女真族(満州人)の後は、もしかしたら、日本朝やロシア朝になっていたかもしれません。そして今は毛沢東率いる中国共産党が中国を新たに統一したということ。日本朝になっていたら、中国人が弁髪からちょんまげに男性の髪型が変わってしまったなんてことがあってもおかしくなかったでしょう。

以下、中国大陸を統一的に支配した人・集団の移り変わりをみると一目瞭然です。
秦(西戎の一民族)⇒漢(漢族=古い中国人)⇒ 随(鮮卑人) ⇒唐(鮮卑人) ⇒宋(北方遊牧民族系の中国人)⇒元(モンゴル人)⇒明(漢族)⇒清(満州人)⇒中国共産党(漢族など)

そもそも近代国家という概念が始まる前は、国民意識や民族意識などはなかったということですから、当時の一般人たちは、支配されるか、されないか?支配されれば安心して農作業ができるかどうか?など、現代人とは違った意識を支配者層に対して持っていたのではないでしょうか?

つまり、今の日中関係の険悪さも、近代国家の概念が生まれ、ナショナリズムという新たな概念な生まれたことによって起きた極めて現代的な事象と言えるのではないでしょうか?