「関家一馬氏」記事を読んで思った社会主義国家と民間企業の類似性 | 52歳で実践アーリーリタイア

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52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

半導体向け精密加工装置を製造するメーカー株式会社 関家一馬社長のインタビュー記事を日経ビジネスで読んだ。

彼のやり方は、稲盛さんのアメーバ経営の現代版みたいなイメージですね。そもそもシェア70%を持つという独占的技術を持った企業なので、もともと安定し利益が将来に渡って稼げる基盤はあるということではあるが、その管理会計が面白い。

しかもそれを導入したのが、企業に民主主義の考えを導入したかったからというのも面白い。

つまり、企業というのは、私の勤める会社もそうだが、社会主義的体制に似ている。

基本的には、トップの独裁、または役員によるグループ統治で、権力は彼らが握っており、しかも選挙や国民投票などで権力者が選ばれるわけではない。しかし業績が悪くなれば、投資家や従業員からの批判は高まり、交代せざるを得ない状況となってくる。

例えば、中国共産党なども、組織内で実績(省のGDPアップなど)をあげることで出世し、チャイナナインと言われる常務委員まで昇りつめる。習近平主席も太子党だとはいっても圧倒的な能力があるから、主席になっているわけであって、実力本位だ。

これは、統治機構的な類似性だが、関家さんが言ってるのは、毛沢東時代の中国や旧ソ連のように計画経済下における社会主義的システムのことをもって会社に似ていると言ったのであろう。

つまり、トップダウンで経営計画が決まり、その計画に基づいて経営資源(リソース)を各部署に分配し、現場はそれを粛々とこなしていくというシステム。

彼に言わせれば、これはコストがかかるシステムだという。それは部門間の経費や収益のやり取り
に対して競争原理が働かず、余計なコストがかかっていてしかも従業員たちの損得にリンクしていないから。

これをアメーバ経営のように数値化し見える化して、それを「痛み課金」「WILL報奨」という形でやり取りしたり、人事異動を完全自由選択制にしたり、オークション制にするなどして、民主的に仕事ができるシステムを取り入れた。

しかもアメーバ経営の先をいっているのは、これをグループではなく、個人にまで落とし込んでいること。つまり社員一人一人の収支ががガラス張りになっていること。

(日経ビジネス編集長も指摘している通り)更にすごいのは、これを突き詰めると息苦しい風土になるはずですが、オークション制度などのイベントにすることでゲームの要素を取り入れ、社内がギスギスしないよう配慮もしていること。

これはITシステムの柔軟性がないとできないわけだが、すべてシステムは基幹システム含めて内製化しているからできる。こんなことができるパッケージなんて世の中にないですから。さすがです。

つまり社員の納得性をベースに社内体制を組むことで、社長がいなくても会社が廻る状況を作りたいということ。

彼の言葉でいえば「理想は社長が寝ていても勝つこと」。もしこれが本当に具現化できているのなら、私の会社組織の理想に近く、羨ましい限りです。