今日は乳腺外科医のY先生の診察日。今回は話すことが多くて時間オーバー。まず子宮全摘したこと。これはカルテにも書いてあるから先生はすでに知っている。そしてうつ病になり会社を辞めたこと。先生は、うつ病は頑張りすぎる人がなる、スーパーマンじゃないから限界がある、ガス抜きしなきゃダメ、体はサインを出しているから気付ければいいのだが、とのこと。でもどうやって?それに答を出すのはもちろん自分であるが、「手伝ってくれる先生がいるから会ってみる?」と言う。


Y先生は乳がん患者のメンタルケアに関して危機感を抱いていたらしく、院内でカンファレンスを開き、乳腺外科の課題や精神科・心療内科や緩和ケアの先生たちの意見も取り入れた医療者向けのブックレットをまとめている。がん患者の30-40%は何らかの精神疾患を合併すると言われているが、Y先生も短時間で膨大な診療をこなしながら診療の質を保つためには、これらの患者のメンタル面をケアするチーム医療がますます必要だという。そして新しく登場したのが、サイコオンコロジー(精神腫瘍)の先生による診療である。


話は飛ぶが、うつ病患者も薬物療法があるため、乳がんの治療薬との併用の可否についても記載されている。乳がんホルモン療法に使用しているタモキシフェン(ノルバデックス)は主に2D6という代謝酵素で代謝される。しかしある種の抗うつ剤も同じ2D6で代謝され、影響が大きい場合はタモキシフェンの作用を弱める。先生は「医療者向けだけど、勉強熱心だからこれあげる」とブックレットをくださり、私の摂取している抗うつ剤は4月に発売開始になったばかりの新薬なので今ざっと調べたところでは影響はなさそうだが、心療内科の先生ともう一度相談して、影響がないかどうか調べてくること、という宿題を与えられた。
【続く】