土曜日に横浜で開催された「乳がんシンポジウム」に参加した。NYUのシュナベル先生という乳腺外科医の先生の基調講演と、日本の乳腺外科医達によるパネルディスカッションや、テイラーメード治療や代替治療の話まで、盛りだくさんだった。


今回のテーマは、医師と患者のコミュニケーションをどのように向上させたらよいかということだった。シュナベル先生によると、USではインフォームド・コンセントが確立されているので、医師は治療から受けられる恩恵やリスク、治療に関する詳細な情報を患者に知らせ、また患者はそれを知る権利がある。これは法的義務でもあり、倫理的道義的な義務でもある。


USでも”Don’t tell mom”(母には(本当のことを)知らせないでください)という状況はあるが、シュナベル先生によると、黙っていてもたいていの患者は状態を理解しており、嘘をつくことで医師と患者との信頼関係が保てないし、隠し続けるストレスも関係者にとって計り知れなく重いものになる。患者は疑いを持ち、現実より悲惨な結果を妄想したりする。患者が無知でいることは「至福の喜び」ではなく、信頼を裏切ることだ。


医師から患者へのコミュニケーションは、明確で、正直で、現実的で、そして何より患者を勇気づけるものである必要がある。このように正しくコミュニケーションされた患者の方が、副作用を上手に管理していくことができるとも言われていた。臨床試験で行われている患者への詳細な説明と同意書の取り方が、通常の治療の現場でも実現されるべきだろう。


最後にアメリカでは患者団体が医師と患者の重要な橋渡し役を果たしているようで、患者の意見が医師に取り込まれる仕組みができているということだ。
【続く】