私の場合は病名に「巨大」がつくほど筋腫が大きく、それでも筋腫だけを摘出する筋腫核出を希望していたので、K先生は術後出血をひどく心配していた。メロン大の筋腫を子宮から引っぺがして摘出するが、筋腫にも血管も通っているから出血は必須と思われた。また筋腫を摘出すると子宮が収縮し、糸が緩んで出血することもある。そのような理由で私は事前に800mlの自己血貯蔵を予定していたが、貧血のため400mlしか貯蔵できなかった。それが最後に私の背中をひと押しし、子宮全摘を決断させた。全摘ならばそんなに出血しない。


人体の血液総量は約4-5L(体重の8%)で、1L以上の出血があれば輸血を開始するらしい。今回の私の出血量は110ml、だから術中の輸血なし。乳がんで胸を切ったときには、貯血すらなし。胸の脂肪を切ったところで、出血はほとんどしない。術中に出血したら、指やガーゼで押さえて止血したり、結紮したり(糸で縛る)、電気メスを使用して凝固させたり、止血剤(血液を凝固させる血漿中の成分、ウィルス感染の可能性があるので、やはり特定生物由来製品の使用の同意書を取る)を使ったりするらしいけど、出血が少ない手術ほどいいに決まってる。そういう意味では、私の先生たち、ブラボー!


貯血した血液の賞味期限は約一カ月。出番まで、冷蔵庫で保管されている。私はヘモグロビン値がなかなか回復しなかったので返血したが、点滴台に引っかけた血液の袋とともにカラカラと中庭に散歩に出たら、遊んでいた子供たちがギョッとして遠巻きに私から逃げて行った。チョコレートを点滴してるんじゃない、ってこと、子供でも一目でわかるんだねー。