永田クリニックに入院中の子供たちにとって、
「回診」とは儀式のようなものである。
クリニックには常時、小耳症の子供たちが10人以上入院しているが、
子供たちのお母さんやお父さん達は、
我が子の出来上がった耳を・・・人目見ようと楽しみにし、
子供たちは子供たちで、
今までの “はしゃぎっぷり” が嘘のようにじっとしているのだ。
泣く子も1人もいない。
交換の順番は
ネットを外し、ガーゼをとって、
永田先生のかけ声と共に、
「はい、形成セッシ」
「はい、イソジン」
「はい、ハイポ」
「はい、オキシドール」って具合に進んでいく。
子供たちの中には・・・
そんな、かけ声を毎日聞いているせいか・・・
先生が言う前に、
「ハイ、いそじん」
「ハイ、はいぽ」
「ハイ、おきしど~る」
って真似して言っている。
もう、腰が抜けそうだ・・・
お母さんやお父さんはクスクス笑っているし・・・
永田クリニックの「回診」って
子供達にとっては楽しみの時間なのかもしれない。