アースルーリンドの騎士外伝。『幼い頃』冒険の旅 48 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

王冠2 登場人物紹介


 食後酒が配られた頃、皆は食事という戦争の後で満腹の腹を抱え、ぐったりしていた。
ウェラハスの向ける視線にアイリスが、気づく。
「どの道を通って、『神聖神殿』へ行くつもりだ?
話では既に、メーダフォーテが街道全てに、手を回しているようだが」
アイリスはグラスを揺らす。
皆の視線が彼に吸い寄せられる中、アイリスは静かにつぶやく。
「地下道を、通るつもりです」
神聖騎士達が、吐息吐く。
「迷わず辿り着く自信があるのか?」
ホールーンの厳しい声に、ローフィスが肩をすくめた。
「王宮の地下を抜ける主要道路は三本。
馬で通れる場所は限られてる」
ウェラハスが吐息を吐き、テーブルの上で組む両手を持ち上げ、顎の下に置く。
「だが、少しでも間違えれば、狭い岩の割れ目に吸い込まれたり、地下水路に迷い込む」
アイリスはにっこり笑った。
「メーダフォーテはそれでも多分どこかで気づいて、たった三本しかない道路のどこかに山程人員を配置するでしょうから、我々は一番南寄りの、忘れられた地下道を通るつもりです」
ローフィスの目が見開かれ、そう言ったアイリスを凝視したし、ゼイブンも本気か?と顔を揺らす。
シェイルも、ローフィスでさえ驚愕するから、どれだけ困難な道だろう。とアイリスを見つめる。
ウェラハスは、ほっ。と吐息を付く。
「それだと出口は『神聖神殿』では無く、『光の里』に出るな」
アイリスはにっこり笑う。
「『光の里』を通って『神聖神殿』に着けるし、人間の入り込めない『光の里』にはさすがのメーダフォーテも人員を配置出来ない」
ウェラハスは、頷いたが言った。
「確かに君は敵の裏を書き、上を行って彼らを出し抜ける。
けれどそれは、無事地下道を通り抜けて『光の里』に、辿り着いたらの話だ」
オーガスタスの顔が引き締まる。
「そんなに困難な場所なのか?」
ホールーンが俯き、ささやく。
「地下道の中では一番距離も短く、最短で着ける道だが…」
ムアールも俯く。
「あそこは神聖神殿隊付き連隊でさえ、滅多に見回らない忘れられ、荒れた場所だろう?
もし、『影の民』の障気に侵された夜盗の群れに出くわしたらどうする?」
ドロレスも警告した。
「『光の王』が没して以来、『影の民』の活動は活発化し、頻繁に機会を狙って封印を幾度も揺さぶって来ている。
だが次の王の降臨はまだ先だろう?
あの地下道は、見回った直後ですら奴らは取って返し、障気を送り、巣喰い、罠を張る厄介な場所だ」
アーチェラスも頷く。
「この西領地[シュテインザイン]のどれだけの人間に、隠れた障気が巣喰っているか、解っているのか?
我々は現在、臨戦態勢で事に当たってる」
ムアールが付け足す。
「だからエイリルのような素人も、仲間に入れないと追いつかない。
普段ならもっと鍛えてからの入団なのに」
エイリルが途端に顔を下げた。
ウェラハスが、そっとささやく。
「エイリルは十分資質を備えている。
補うのは君達の役割だ」
エイリルはウェラハスをじっとその薄茶の瞳で見つめ、庇ってくれる一番の実力者に告げた。
「資質では不十分だ。
経験は今直ぐ積めない。
俺が劣っているのは、事実だ」
だがムアールが口を挟む。
「意気込みだけは、一人前だ。
格好付けて無いで、もっと仲間の“気"を読め」
エイリルがムアールを、戸惑いげに見つめる。
が、ドロレスが睨む。
「人間界では読むのは無礼だが、仲間内で相手を素早く読めないなら、対処が遅れて死活問題だ」
ホールーンがそっと告げる。
「我々は皆で一つだ。
そう、言ったろう?」
エイリルは吐息を、吐いた。
ウェラハスはエイリルを見つめ、庇うように言い諭す。
「誰の中にも秘密は無く、皆が全てを共有する。
それが出来なければ、どれ程優秀でも、危険で命を落とす。
信頼しろ。
自分の全てを仲間に、明け渡せ」
その声音が優しくて、テテュスはウェラハスのその思いの深さに、感動した。



つづく。

宝石赤宝石緑 この連載を、始めから読む星


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 『野獣の初な恋心』『幼い頃』
の2008/6/11から
宝石赤

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