次週は20日が休場で、初っ端の火曜日は、麻生首相による衆議院解散が予定されている。しかし、市場は冷徹に先を見通しているようだ。ある市場関係者は「すでに民主党を中心とする非自民政権の発足を念頭に入れたテーマ設定と銘柄選択が始まっている」と解説する。15日公表した民主党の政権公約(マニフェスト)の概要では、(1)子供手当・高校無償化、(2)医療改革・雇用政策、(3)高速道路無料化・ガソリン暫定税率廃止、(4)農業戸別所得補償、(5)地球温暖化対策―がテーマ分類できる。17日は(1)に関連する西松屋チェーンは終値が前日比11・5%上昇し、ピジョンとスタジオアリスもそろって同9・9%上昇した。
先週は、世界有数の米国企業の好決算発表で久々の戻りに沸いたが、中小企業破綻による雇用悪化が想定されており、引き続き慎重な姿勢で相場に臨みたい。来る四半期決算発表で、業績予想が弱気とみる銘柄は、NY株価が反落し、円高歩調になれば、戻り待ちの売りが出るとみるのが自然だろう。
それでも世界景気は、中国GDP伸び率をみても、最悪期を脱しており、半年前の悲観相場に戻ると考える向きは少ない。実際、大幅に調整した新興国関連銘柄の多くは、突っ込み買いされて勢いよく値を戻している。
このように、相場は総選挙まで、個別物色のサマーラリーが展開されるだろう。ただ、資源関連株のカギを握る国際商品市況は、7月31日発表予定の米国4~6月期GDP速報を見極めるまで上げ幅は限定的かもしれない。
ところで最近、市場関係者が、足元相場との比較論でよく持ち出すのが、93年8月6日の細川連立政権発足前後の株価推移だ。当時は、7月18日衆議院選の前の1カ月程度にわたって下値を試す展開もあったが、選挙の前と後を通じて一時的には戻す場面があった。
選挙後も、上昇の勢いが持続したものの、6月3日の高値を抜けると一服。結局は新政権への失望が期待を上回って、発足1カ月後からは軟調となった。
よって、今回も8月30日の投開票と、新内閣の誕生というフシ目が来る9月相場は、戻り相場が継続という可能性がある。ただし、選挙前に政局が混迷するようだと、外国人投資家などの投げ売りで大幅反落し、下値での調整が長びく公算はある。