5月最終週は、景気底入れへの先行期待が相場を支えた。週末29日は、ドル買い戻しによる円安進行と、お化粧買いで一段高し、日経平均株価は昨年11月5日につけた戻り高値9521円を1円上回って引けた。
週明け1日は、円安進行と商品市況高を支えに、昨年10月15日の日経平均終値9547円抜けを試すことになる。この際、主力株が利益確定売りをこなしながら買い上がる力強い相場の復活が必要条件となる。東証1部の出来高・売買代金が活況を取り戻せば、昨年10月7日以来半年間遠ざかっている「日経平均1万円乗せ」への待望論が高まるだろう。
たが、週明け相場がこの好地合いを継続できるかどうか、予断は持たないほうがよさそうだ。まず、最大のリスクは、自動車大手GMが破産法の適用申請をした場合、国内の自動車関連メーカーの債権保全がきっちりと果たされるのかどうかだ。米国政府の救済プランの文言が、この点で流動的な要素を残したら、GMに未収債権がある国内主要メーカーの業績不安が高まるからだ。連鎖倒産の拡大も関連メーカーにとって債権回収リスクの拡散につながるので要注意だ。
加えて、報道によると、破産したGMに代わる新会社に対して、政府が7割強、組合が2割強出資して存続させるという。もし、米国政府がGMを一時的にせよ国有化すると表明した時、これをNYマーケットがどのように受け止めるかも気になるところだ。GM傘下のドイツメーカー、オペル売却の行方も欧州市場で特に気掛かりな点である。幸いにして、GM破綻後の政府救済プランが、NY現地市場で歓迎された場合は、東京株式相場もひと安心で上昇基調が続くだろう。
しかし、それでも6月の月間見通しは慎重なほうがよいだろう。5月の東京市場は、GM破綻をNY株式市場は織り込んでいるとの楽観シナリオに基づいていた。しかし、本国NYの市場関係者が、AIGに次ぐ巨額の救済劇のマイナス要因に気づいて、財政負担増による長期金利や為替に対する悪影響を懸念視すれば、見方は一変するかもしれない。米国では週末5日、5月雇用統計の発表がある。「景況感は持ち直しても雇用は悪化の一途で、GM再建の行方は不安」となれば、金融危機以来ささやかれた悲観論が台頭するきっかけとなる。自動車の次は大手銀行の再建問題が待ち構える。現地8日は、米国銀行の資本増強計画の策定期限だからだ。
物色は、全体相場の上値余地が限られる中で、チャートの位置が高値警戒ゾーンにない銘柄が無難だ。5月月間や最終週の騰落率などを総合的に見比べると、好業績見通しながらも上昇しなかった銘柄はある。こうした出遅れ修正期待で反発する相場は期待が持てるので、下値は狙い目だろう。