この時期、晩秋になると気になるのが紅葉狩り。
今年の紅葉を旬に生で体感すると、なんだか得したようなありがたい気分になるのである。
幸い都内で13番目の高さを誇る(?)われらの高尾山は紅葉シーズンが開幕したばかりで、色付きもちらほらといった奥ゆかしい秋化粧。
昨日15日男女四人で高尾山(599m)へ紅葉狩りに行ってきました。
平日の水曜日にも関わらず好天に恵まれて頂上も大勢の観光客でごった返していました。
久々の高尾山なので攻略法を思い出すために前日ネットで基本情報(路線情報、コースマップ等)をピックアップ後、現地に向かう列車内で互いにコース検討し、京王線高尾山口駅に降り立ちました。
駅を出て正面のマップ看板を見て右に多少上ると、ケーブルカー清滝駅が見えてきました。が、登りは足腰を鍛えるために歩かしてもらいます。この清滝駅の手前を右折して坂道を上ります。
今回は初めての高尾山というメンバーもいらっしゃったので、コース取りはやや混むが無難な1号路から上り、猿園を過ぎたあたりの分岐点を右に迂回して4号路の目玉である、つり橋を目指しました。
先ず1号路では前日の雨にも関わらずコンクリなどの舗装が施されていたため、地面がぬかるんでいなかったので滑ることもなく比較的楽な山登りでした。途中吾々を追い越して行ったやたら陽気にはしゃいでいた十代らしき三人の女子会も予期しなかったのか急なつづら折りが幾重にもあり足に負担がかかったのか、鍛え方が足りなかったのか並んでハアハアゼーゼー青息吐息で息急き切って休んでいました。いい人生勉強にもなる高尾山登山。
吾々も途中こまめに休憩を取りながら無理なく森林浴や山道歩きをたのしみました。4号路に入ると島崎藤村の「夜明け前」に出てくる木曽路のような辺り一帯大杉林で空気までが入れ替わったかのようで神秘的な空間に。
するとメンバーの女性が「そう、これこれ。こんな山道がそれらしくていいのよ」と弾んだ声で目を輝かせて躍動感を現わしていたアンタは妖精ティンカーベルか森の精霊タイターニアのようでした(笑)。こういうのがパワースポットなのかも知れんな。
このように樹木の根っこや落葉を五感で踏破し、自然の匂いや触覚をリアル体感できるのは人工媒体では無理なこと。マジ汗もかきます。
さて、そうこうすると、4号路名物のつり橋が見えてきました。
この辺は暖かいのか未だ紅葉が進んでいませんね。つり橋の上で記念写真を撮りたいと思ってもこれがまたやっかいで、両方の往来が過ぎるのを、橋の端っこで多少ブラブラ揺られながら待ちながら。こんにちは。と挨拶を交わす。
そうしてようやく4号路を上がりきったと思ったら頂上はまだ先の方で、もうひと踏ん張り。
展望台の表示板が見えてきたところにクレヨンしんちゃん、じゃない黄色い帽子を被った幼稚園児の一団がお手手つないでぞろぞろやってくるではないか。でかい水筒にふらふらとした足取りで。なんとも微笑ましい遠足も足腰の鍛錬か。
幼稚園児でも登れる高尾山599m。
そうして一際人だかりのする頂上付近。
景色もきれいだが空気も美味い。
山頂の紅葉とススキと
これも高尾山、山頂のグラデーション効用紅葉
おめでとうございます。今回同行された御三方。達成感が漲っています。
頂上付近でシートを敷いて、紅葉を見ながら四人でお弁当を食べました。
そして下山ルートは1号路から今度はケーブルカーで。ということになり、しゅっぱぁーつ。
途中にありました。和合歓喜天。とあります。よろこばしいことのようですが何なのでしょう。
うーん、これも良く分かりません。が、珍しい建築物のように見えます。
この先に天狗のブロンズ像がありましたが、天狗から想像されるのは鞍馬天狗とか藤沢周平さんの小説「春秋山伏記」ですが、あちらは羽黒山の山伏という独特の世界観を味わえました。
何を凝視しているのでしょう。
これですか?
それともこれですか?
ケーブルカーの山上駅です1両編成で定員135人なので2、30分待ちかな。
これは高尾山の中腹付近。
で、これが山麓の清滝に近い地点。
これは麓付近です。
やはり、紅葉が進んでいるでしょう。
ということは、600m級の山では山頂と山麓が低温で中腹は熱が溜まって暖かいのかな。
言い換えれば、山頂は上空からの寒気、冷気を受けやすく、上中腹からの風、下降流が麓に降りて寒気、冷気を下に運び溜めるので麓近辺は紅葉化が進み、高尾山の中腹つまり高尾山駅やつり橋付近は山中が暖かく紅葉が進みにくい。ということが推測できるのではないでしょうか。
いや、これだけで判断するのはどうかな。植生図とか例年の紅葉情報や山の地形などあらゆる角度からの客観的データを基に綿密に検討しなければ。
さて、今回の高尾山でこころ温まる光景がありましたのでここにご紹介しましょう。
ケーブルカーで最後尾に立っている私の近くに寄ってくる、なにやら思いつめたようなおっかない形相の一人の老人が、うわっポケットから何か取り出さんとしています。
何だろうこのお爺さん、変だな。と思ってこっちも一生懸命こわそうな顔をして睨み返しました。お爺さんそんな私に目もくれず、ポケットから小型デジカメを取り出して私の横を掠めてじーと紅葉を収めんと必死にシャッターを切ろうとしていました。
よく見るとそのお爺さんの腰の後ろを両手で必死に支えている初老の品のいいご婦人の手が、そして顔がありました。お爺さんの想いを叶えようと。
そのお二人の真剣さに圧倒され、そして瞬時に悟っていました。
あゝ、この高尾山の紅葉で二人は結ばれ、永遠の愛に生きている千年の契り杉の化身ではないか。と。
私はできるだけスペースを開けてナイスショットを提供しようとする。ちょっときついけどここは我慢だ。時間が止まる。
-----カシャ-----
ふぅ~。
いいシャシンが撮れたのでしょう、ご婦人がしきりに私に感謝するではありませんか。
その献身の笑顔も Nice Age!
また来年も会えるといいですね。
あの笑顔ではきっと素晴らしいシャシンが撮れたことでしょうね。ホントに良かった。
高尾山ですれ違ったりお会いした皆さん、お疲れ様でした。 (吟)
(注釈:「千年の契杉というのは杉の巨木で幹回り7.8m、樹高約45mで二本の幹が成長していく過程で再び癒合して『H』の形に繋がりながらさらに成長を続けているその姿はとても神秘的です」(あきる野市観光協会「秋川渓谷」~)とある。