アノニマ・スタジオのBOOK Market で購入した一冊。


久しぶりに、咀嚼した言葉ひとつひとつが身になる感覚を味わいました。


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畳、簾戸、二月堂、香、扇子 ・・・


日本の気候・風土で育まれた和の文化。


ややもすると、風情や情緒で括られがちなこれらを、丹念に分析しつつ

著者である長町さんの味わい深いエピソードを交えて綴られたエッセイ。


文体は柔らかいのに理論的。
これこれ!こういうのが読みたかったのです~!


「さまざまに使い回しがきく、ぱたぱたと形が変化する
入れ替えて使える、畳める、丸められる、重ねられる・・・
日本の住まいや道具には、コンパクトに暮らしを納める知恵が
たくさん詰まっている・・・」 (あとがきより抜粋)


日本のデザインの原点は、暮らしの知恵なんだなぁと再確認。

そこに美しさや季節感を感じ取る日本人の感性、やっぱり日本に生まれてよかったな。



それにしても、長町さんの教養力には感嘆のため息を付くばかり。


お勉強として体系的に学んだことは単なる「知識」でしかなく、
知識を自分の内側に引き寄せ、自分のフィルターを通して表現できてこそ
「教養」となり得るわけで・・・。


うーん、奥が深い。
素敵なものを見聞きして、自分と内面と語り合っていくことは
生涯の課題なのですー。