アメブロはいい加減タイトルの文字制限を撤廃して欲しい。別に何文字でもいいじゃねえか!ということで、タイトルの「ナイトメア~」はティム・バートン&ヘンリー・セレックの人形アニメ映画の傑作中の傑作「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」です。

ナイトメア・ビフォア・クリスマス
ジャックぐうかわ


「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」は、ハロウィンを司る「ハロウィンタウン」の”カボチャの王様”ジャック・スケリントンが、毎年同じことを繰り返すだけのマンネリ化したハロウィンに嫌気がさし、偶然迷い込んだ「クリスマス・タウン」に影響され自分たちもクリスマスをやろうと思い立つファンタジー作品です。しかしクリスマスの知識がまるで無いハロウィンタウンの住人達が作る「クリスマス」は奇妙なものばかり。暴走するジャックと共に事態はどんどんおかしな方向へと進み、遂にクリスマスイブは阿鼻叫喚の大騒動となってしまいます。説明するのも野暮なくらいハロウィン~クリスマスシーズンのド定番映画ですね。あとハロウィンとクリスマスの双方をモチーフにしているので秋冬通して売ることができ、ビジネス的に美味しい作品です。

まあストーリーもキャラクターもかわいい作品なので特に何も考えずに見ても十分楽しめるのですが、大人になってから改めて見ると皮肉と教訓が盛り込まれている作品であることに気付きます。特にハロウィンを真面目に考えているのがハロウィンタウンの中で実はジャックしかいないというのが痛々しい。他の住人はマンネリ化したハロウィンに何の問題意識も持っておらず、思考停止状態でただ毎年同じことを繰り返す現状に全く疑問を抱いていません。ハロウィンタウンの市長(メイヤー)ですらあたふたと表情を変えるだけで主体性が無い。そしてみんなの足引っぱりをする悪党のウギー・ブギー……この構図、まるで過疎化した日本の地方自治体のようです。ハロウィンタウンを地方自治体に、ジャックを「町興しに一人奮闘し熱意はあるものの空回りしがちなイベンター」に例えると、とても痛々しくて見ていられなくなります。住人の主体性と問題意識の無さも田吾作そのものだし、ウギー・ブギーは何かっつーと足を引っぱる老害に相当するでしょうか。本作もまたクソ田舎あるあるですよ。

ナイトメア・ビフォア・クリスマス
新たな世界を知り暴走するイベンターの図

現実に於いても、新たな世界を知り、それに魅了されて視野狭窄になり、周囲の人々を巻き込んで暴走し、その結果時間と労力と予算を使っただけで空回りしまくって骨折り損のくたびれ儲けでした…なんて事態はよくあることです。ところが本作の場合、大失敗をしたことでジャックは翌年のハロウィンに対する新たな意欲を取り戻し、身近にいる大切な人に気付くという「救い」が示されています。新しい世界を知るのはいいけど暴走するのはよくない、でももし失敗してもそれは無駄ではない…といったように。原作者のティム・バートンのやさしさが感じられます。ちなみに本作のビデオが発売された際、秋田県の地方紙「秋田魁新報」になぜかレビュー記事が掲載されたのですが、その見出しが「回り道だよ人生は」だったことをここに書いておきます。なんだその浪花節的なタイトルは!でも秋田県なんてクソ田舎で「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」に目を付けるなんてなかなかのセンスです。どんなライターが書いたんでしょうか?友達になりたいくらいです。

そんなわけで、地方のイベンターは自身の戒めとして定期的に見ることをオススメします。

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