ちょっと前にTwitterでバズった「月給20万円で働く日本人、月給2万円で働くアジアの人々。」と「日本企業の人に知ってほしい、外資系に見るグローバリゼーションの現実」、実は似たようなことが私の実家周辺でも起こっていたりします。

私の実家及びその周辺はりんご栽培を行っている山間部の農村なのですが、収穫時期で忙しく手が足りない時は農協が調達してきた人足を雇います。これまでそうした人足は何らかの事情により金に困っている「日本人」でした。しかしここ数年、徐々に中国人の出稼ぎ人足が混ざり出し、年を追うごとにその人数が増えてきたそうです。

これは母が他家で聞いた話。ある時母はこれまで見たことのない若者が畑でりんごもぎをしているのを見かけたそうです。雇っている家の人曰く中国人の出稼ぎとのこと。で、この人がシャレにならないほどよく働く。一休みなんか一切しない。雨が降っても合羽も着ずに作業を続けるし、昼飯時になっても魚肉ソーセージ一本かじりながら作業する。しかもムチャクチャ頭が良い。なんと英語ができるらしいのです。今調べてみたら中国は小学校3年生から英語が必修科目で週4コマ授業があるとのこと。そのうえ3~4日もしたら簡単な日本語も覚えてしまう。どうやらこの中国の出稼ぎ人足も本国では農民だそうで、家計を助けるためにたまに日本に出稼ぎに来ているそうです。でも払う日当は日本人よりもずっと少額。それでも喜んで働く。ちなみにこの人だけが特別なのではなく、中国人の出稼ぎはみんなこんな感じらしいのです。なので一度中国人を雇った家の人は皆「日本人よりよく働いて頭も良く文句も言わず安く雇えるなら日本人より中国人を雇った方がずっといい」と言っているそうです。

一方、町の方に行くと様々な種類の工業がありますが、そこにはフィリピンから出稼ぎに来た女性達がたくさんいるそうです。こちらもこれまた文句一つ言わずによく働く。また彼女達は底抜けに陽気で、よく笑い、人の悪口を言ったり誰かをいじめたりということを絶対にしません。そしてフィリピン人は元々母国語のタガログ語と英語、スペイン語の3ヶ国語が操れる。そんな人材でも日本人よりもずっと少ない時給で雇えます。一方日本人のパートは何かというと仲の良い者同士で派閥を作って集まっては不平不満や他者の悪口を言ったり、いじめたりする。はたして経営者にとってどちらか良い労働者でしょうか?

私が思うに、「言われたとおりに働く」「同じことを同じように繰り返して働く」だけの「ただの労働者」は日本ではもう生きていけないのではないでしょうか?仕事にせよ、自分自身にせよ、とにかく「付加価値」を付けて差別化しなければ生き残れない。上記のとおり、ただ働くだけの人材としては日本人にはもはや勝ち目はありません。中国では農民すら英語ができる。フィリピン人に至ってはトライリンガル。それでも日本人より安い給料で雇える。一方日本ではそこそこの収入があるホワイトカラーですら英語ができる人は少数です。それどころか私の実家周辺の人々は標準語だってまともにできるかどうか。そして最も恐ろしいのは、この事実そのものではなく、あまりにも状況の変化が早過ぎて日本人の誰もがそれに対処できていないということです。行政も企業も個人もこのスピードの速さについていけていない。そして危機感も持っていない。

こうなると、もう個人個人が危機感を持って生き残る術を探るしかありません。