アリストクライシI for Elise (ファミ通文庫)/綾里けいし
¥651Amazon.co.jp

【生きたまま埋葬された青年を掘り出したのは、一人の美しい少女だった。
心を持たないからと、人間から忌み嫌われ『名前のない化け物』と呼ばれた彼に、少女エリーゼは微笑み手を差しのべ、告げる「私はずっと、貴方を探していたのかもしれませんね」。
彼女もまた『穴蔵の悪魔』と呼ばれる別種の化け物だった。
だが彼女は、一族を激しく憎み『穴蔵の悪魔』を殺すためだけに生きていた――儚く哀しい化け物達の闘争を描いたダーク・ファンタジー開幕。 】
(アマゾンから引用)

ばけものどうしのふたりたび

■ 感想とかネタバレとか


可愛かったー!

棺の中、墓の下に埋められた不死身の「名前のない化け物(グラウエン)」
南部地方に伝わる伝説の化け物は、名前がなく、感情がなく、家がない
名前のない化け物と呼ばれた彼は、舌を切っても再生し、埋められて尚生き続けていたところを、銀髪の少女に掘り出される
穴蔵の悪魔(アリストクライシ)は、北部地方に伝わる伝説の、実在する化け物
「賜り物」を頂き「領地」を構え「入口」を定め自分の欲に従い従えられる

穴蔵の悪魔は同じ穴蔵の悪魔に復讐をするために
グランと名付けられた青年は自分を掘り出した彼女と共に
訪れたのは、いつの間にか人が消えて、そして戻って来る街

エリーゼは、棺の中、墓の下にいた彼をグランと名付けた
そのエリーゼが彼を「化け物ではない」と言い、「(村人たちを)殺したのではないと信じる」のならば、「グラン」はしてないんだよ
語らず、見せず、読めないのならば、知らないものに有無や真偽の判断はできない
わたしはあなたの、グランがグランになる前の、名前のない化け物が名前のない化け物になる前のことなど、知らんのだな!
「たった一言でいい」んだ、一言だけ、事実を言え。
これが使えるのは多分限られてくるけど。冗談が多かったり悪意のない嘘を言ったりちゃんと言葉を使わない人には使えない。


エリーゼ可愛かった、あの子が特に可愛かったのは事情聴取のために訪れた洋裁屋さん(洋服屋さん)で捕獲・連行され強制ファッションショーになっているとき、かなり必死でグランの名前を呼んだから(笑)
幾つか、理由はあるし、「銀髪」の女の子が「墓を掘る」のも大好きです、あんまり追求しないグラン相手に時々階段一歩踏み外したみたいなボタンかけ間違えたときみたいな、あれ? があって可愛い。

しかし銀髪悪魔少女の呼び方に困る
「エリーゼ・ベロー」は「家族からの呼ばれ方」だと彼女自身が言っていたし、「エレイン・フォン・アリストクライシ」と呼ばれると負の感情しかあらわにしない。
グランは「名前のない化け物」でもよいのだがな。「名無し」はこの作品でひとりしかいないから。引きこもりの悪魔達は何人か出てきている。


泣き虫のニーナ・ローズ、淋しがり屋の女の子
人間だった女の子は悪魔の元へ追いやられ、領地で過ごす
化け物が化け物になる前の話、唯一の理解者と共にいたときの
姉が理解者だったと、エリーゼとグランの元凶たる引きこもりの悪魔が言っていたけど、あれは、理解者だったか? あれが? と思ってるのであんまり。
それでもグランになる前のアレクが、彼女がいるから生きて来れたと、生きていたというのなら、そうなんだろう。

「エリーゼの為に」をやりたかったのか!? と思った、可愛かったからそれでよし
グランとエリーゼの出会いを、もう一度エリーゼ視点で入れたのもよかった
「待ち人は、ここにいた」んだろうなあ、可愛いな!
元凶悪魔の賜り物は「記憶」かな、グランがエリーゼのことを、エリーゼがグランのことを忘れると、ちょっと「えっ」てなるのではやく思い出せてよかった!

人に寄り添えず、同族を殺す目的で旅をする北部地方に伝わる悪魔が、感情をあまり表に出さない無口な南部の化け物と旅をするお話
左手には父親を撃ち殺した銃を、右手には母が四肢を切断された剣を。


イラストレーターはるろおさん!
好き!
しかしエリーゼ可愛い