永遠をさがしに/原田 マハ
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【世界的な指揮者の父が海外赴任となり、ひとり日本に残った女子高生、和音。
そこへ突然新しい母がやってきた。
型破りの彼女には秘めた過去があり 。
母と娘、音楽。女性たちの再生物語。 】
(アマゾンから引用)

永遠は、それを信じた瞬間にある、

■ 感想とか色々


再生の物語って、そのフレーズを聞いただけで、笑いながら大嫌いって言えるんだけど(同じカテゴリで「純愛」も)、本当これ徹頭徹尾女性陣の話だったな!
お父さんも娘さんのこと心配してるけど、家出したときもそっちにメールするの!? だったし、両耳聞こえなくなった真弓さんが弱気になってるときのメールも「お前とことん音楽だな! 娘のチェロ復帰ミニコンサート聞きに帰ってこいや!」と思ったり思わなかったり
お父さん、いやほんとご家庭には向かない人なんだろうけど、娘さんは日本に残って単身赴任だわ、奥さんいきなり出てっちゃうわ(彼女が弾いていたチェロが練習室に残ってるってのが…)で、まあ、うん、ドンマイ、とちっと思った。
「伴奏のピアノ、同い年の男の子だよ」とメール打てば帰ってきた?

真弓さんはそんな好きじゃないのだー
だって、わたし、あなたの過去の苦労話など、全くさっぱり、興味がない!
だけど両耳難聴になったときはちょっとよかった、長いメールの威力
和音(わおん)の友達は文斗(あやと)と朱里(しゅり)
ここらへんの、彼女らと彼の進路も含め、ああうん、だった(笑)、収まる所に収まった
チェロとピアノで一緒に演奏してるときが好きだった、真弓さんへの曲を弾くときも好きだったなあ


偽装結婚だと解ったとき、母親が失踪した理由を知ったとき、あの子は、もっと、怒ってよかった
怒って、怒鳴り散らして、喚いて、大泣きして、なんで勝手に、なんでみんな自分勝手にって、ぶつけてよかった
だって、お父さんも、お母さんも、真弓さんも、あなたのことを思っていて、思いやっていても、あなたの側に立ってものを見てはいなかったもの
3人のことを責めてはいないんだけど。だって「そういうもの」でしょう。
で、だからって、そういうものだから、仕方ない、とあの子が納得する謂れもない。
自分を置き去りにした母親を、家に帰って来ない父親を、いきなり「新しいお母さん」になった真弓さんを、なんでと、無防備に、詰ってよかった。
嫌味なしに、あの子を、優しい子だとも、いい子だとも思うし、言える。好きだなあとも思う。
できるのなら、あの子をもっと好きになりたかった。のかもしれない。

お父さんの傍にいかなかった理由が、あの人の音楽の邪魔になるから、だったのと同じように
どちらにしてもあの子耳はいいし、お父さんが迷わず向こうの音楽学校に誘ったくらいなので彼が見込むだけのなにかはあるんじゃないかなと。娘可愛さに見誤るような人でもねえだろ。

永遠は、それを信じた瞬間にある、
と、誰かが言っていた、のを思い出した
腕時計が自分の寿命を表している世界でのお話だったかな

静かにうつくしい話だった


装丁は大久保伸子さん
装画は河村怜さん

表紙が好きだったので。
と思ったら「カフーを待ちわびて」はなんでか知ってる