メルキオールの惨劇 (ハルキ・ホラー文庫)/平山夢明
¥620Amazon.co.jp

【人の不幸をコレクションする男の依頼を受けた「俺」は、自分の子供の首を切断した女の調査に赴く。
懲役を終えて、残された二人の息子と暮らすその女に近づいた「俺」は、その家族の異様さに目をみはる。
いまだに発見されていない子供の頭蓋骨、二人の息子の隠された秘密、メルキオールの謎…。
そこには、もはや後戻りのきかない闇が黒々と口をあけて待っていた。
ホラー小説の歴史を変える傑作。】
(アマゾンから引用)

■ 感想とか色々

ホラー部分は後半のメルキオールとバルタザールがお互いのことを殺そうと企てる所と、「俺」(12/トウエルブ)が出先(海外)で人体に書かれている文字を読むためにザクザクしていたり、不幸収集のときのさらっと流されてしまうエピソード
海外でのザクザクと不幸収集のエピソードが特に好きでした
勢いよくバックして子供をマンションの壁に塗ったお父さんが車をそのままにして救急車呼んだとか、その車の子どもの血が付いた部分を引き取ったら保存先のとこが細工してたとか楽しかった
血液成分まで調べる12の雇い主すげえな。
海外のザクザクはイスタンブール(トルコ)だったりダッハウ(ドイツ)だったりブーローニュ(フランス)だったり、ダッハウは最初に強制収容所が出て来た!
ブーローニュは作中でも「ブーローニュの森」とあったがwikiにもあるくらいの所らしい、海外で「~の森」といえば「カティンの森」しか出て来ねえ
そして基本殺すのは女性、男殺しても詰まんなそうだからか? 偶然?

ロボトミーはまだ解るのだが、「アイルランドの潰れたパブ」とか「輸入チョコに印刷されているオランダだかフィンランドだかの良い木こりの笑顔」とかは全く解らなかった
多分ちょこちょこそういうのが解らなかった
死に際でプロメテウスの鳥葬が出て来るのは大分凄いと思うのだが! あの女の子!

12は不幸収集のため子供殺して首切断した母親一家に関わる
さざれ(石に楽)と朔太郎の兄弟、殺されたのは澪
警察の捜査時でも発見されなかった「首」を譲ってもらい、子供の殺害前から殺害後までの話を録音するのが、12の当面の目的
ピーナッツバターが大好きな人で基本的に清々しくクズ、いやここまでさっぱり酷いと楽しくなってくるし楽しかったし12は嫌いじゃない。
諸々の不幸や悲劇に全く頓着しない(意識していない)のもよかった。
名前の命名理由(?)もちらっとあったが楽しかった、あれは単純に殺した人数なのか、「辿り着いた」から殺した人間の人数なのか

兄弟同士のいがみ合いで母親放置
さざれが注射2本打って安楽椅子で~のところは好きだったなあ、朔太郎は切り替わりがあったので「お前そこで?」だった。200メートルの穴にさざれが落ちそうになるときも助けちゃうし、「小説」を書き上げてくれたのは嬉しかった。だから家が燃えたときも真っ先に考えたのは小説のこと。
人体ってなぜか煮込むよね、煮込むと諸々溶けてけっこういけるのか?
アメリカでも奥さん4日間煮込んでたりするし、鍋とかシチューとかで食べてるのもちらほら読む気が。ロシアのポテト添えてレバー食べていた(逮捕時の状況)には笑った。

白痴のままの子どもが2人
いきたい、と言ったから、死なずに終わった天才

正確には「ハルキ・ホラー文庫」ですが便宜上角川文庫。「角川文庫」というよりは最早「角川の文庫」の感じがしないでもない

装丁は田淵裕一さん!