雪の翼のフリージア (電撃文庫)/松山剛
¥641Amazon.co.jp

【ここは翼をもつ人々が住まう世界。事故で翼を失った『飛翔士』の少女・フリージアは、再び大空を飛び、生き別れとなった妹と暮らすために“義翼”職人の男・ガレットのもとを訪れた。
ガレットはあくまで代替品である“義翼”で過酷な飛行レースに臨もうとするフリージアに辟易するが、彼女との間に『ある因縁』があったことを知って、力を貸すことを決める。
目指すは飛翔士たちの最高峰『天覧飛翔会』での優勝。
果たして少女の信念は大空を制することができるのか――。
不屈の意思を持つ少女と、それを見守る“義翼”職人の男の、努力と信念の物語。 】
(アマゾンから引用)

よかったー

■ 感想とか色々


不屈の意思を持つ少女と、それを見守る“義翼”職人の男の、努力と信念の物語。
だそうで、おおむねその通り、努力と信念は表紙の女の子
2年前の天覧飛翔会で、優勝直前に墜落、負傷したフリージア
没落貴族のギガンジューム家の長女で、商家へ奉公に出ている妹と一緒に暮し、お家再興の許可のためもう一度優勝を目指す
ガレットは「義翼」職人、グロリア・ゴールドマリーは今回の天覧飛翔会で3連覇をめざし、皇帝陛下は天覧飛翔会が大好き
ガレットに義翼を作ってもらったクローバー少年と、ゴールドマリー、それに獲得賞金の一覧の子達に花の名っぽいのが多かったのが可愛かった

フリージアが
フリージアが好きでした、彼女はとても〝お姉ちゃん〟で、諦めなかったから
けっこうそれだけだった。
あの子の努力が報われればいいと思った、妹が奉公先で辛い思いをしているのに自分だけ食べられないと少ししか食べず、それなのに誰かをもてなすために、或いは誰かのためのご飯を作ったから

グロリア・ゴールドマリーは、グロリア・ゴールドマリーには、怒ってなんていない、芋虫だろうが蝶だろうが、貧富や生まれで決定的に他者を二分する思考も、彼女に金貨を投げつけたのさえ、怒っていない
だけどこれはあなたの物語ではなかった、皇帝陛下やフリージアの妹さんや、かつて天覧飛翔会で六連覇をしたオスカー・ウイングバレットの物語ですらない
わたしにとってこれはフリージア・ギガンジュームの物語で、本音を言えば、ただそれだけでよかった。
彼女にイラついたのは皇帝陛下に命賭けて直訴する所(お前死んじゃったら妹どうすんの)と作ってもらった義翼を置いて出て行く所(完全オーダーメイド)で、お前死んじゃったら妹どうすんのっていうかお前妹と一緒に暮らしたいんだろ!? 死んだら暮らせねえぞ! っていう。
それ以外は基本的に「ああ好きだなあ」と思いながら読んでた、あの子いいなあ、あの子いいなあ、というわけでガレットなどにはやらん
ガレットいい奴だけどな! 「だけど」がついてる時点で察してほしいんだな!
教え子大事にするのも迎えに行くのもよかったのだけど、さすがに病院のアレはなしだろ、なんか気持ち悪かった。なんでだろ。ゲームみたいだ。
ガレットは誤解されたままはっきりさせずに1年間だけ一緒に暮らしてフリージアは来年の大会で優勝してガレットんとこ出て妹と仲良く暮らせばいい
あの子の努力が報われればいいと思う、その上でしあわせに笑っているのであればそれが1番いい
ああ、なるほど、ガレットはもう少し苦しめばいいと思っているのか

今回は大会公式非公式問わずの賭博の話で狙撃手、フリージアのときも墜落ではなく狙撃による負傷だったからガレットの眼には「あえてメスを余分に走らせたような不自然な傷跡」だったのか、てっきり手術した医者もグルかと思った。
皇帝陛下、あなたの大好きな美しいものを無粋なもので汚された気分は? って聞きたかった、美しいものが「翼」だけであるなら美しい翼を標本にでもすれば。
大会用の翼は一般用よりもずっと高価なため資金不足を理由に断られ、腰まである髪を質に入れた、雪の中上手く歩けず這いずってまでお金を届けに義翼屋に来た彼女が好きよ
彼女がしあわせであることがなにより重く、反対側にどんな錘を載せられても、動かないと思うくらいには


けっこうぎゅぎゅっと詰まっていたので(ゴールドマリーの話とか、ちょろっとだけだったけど)それもよかった、妹さんとのエピソードは…、冒頭のカウントすればないこともないが……。

イラストレーターはヒラサトさん!
可愛い! 挿絵可愛いなー 仮翼つけているときのフリージア可愛い。
イラストには出てなかったけどブッフォン(なんか飛ぶ馬。多分馬。鳴き声がそのまま名前)も可愛いかった、アキレス亭はアキレスと亀のアキレスくらいしか知らない