緋色のスプーク (講談社BOX)/ササクラ
¥1,050Amazon.co.jp
【寄る辺ない人間の吹溜まり―――国境基地で男は「死神」に魅入られた。
小国ヒノメの空軍基地で働く整備工のアガヅマは、信頼していた幼馴染の手引きで敵国へ拉致されかける。その窮地を救ったのは黒髪の少女・ニケ。
劣勢のヒノメ軍で敵味方から「赤の死神」と畏怖されるパイロットだった。
「走れ」
新月の闇、ニケの声に縋るようにアガヅマは駆け出す。
日常が崩れる予感を抱きながら。
第5回BOX-AiR新人賞受賞・ササクラ×第1回BOX-AiRアニメイラストコンテスト in pixiv 大賞受賞・マルイノ。
講談社BOXの電子文芸誌『BOX-AiR』、受賞タッグが切り拓く哀哭のミリタリー・スカイ・サスペンス堂々登場!
空軍唯一の女性操縦士が死者棲む空で見た夢は――。 】
(アマゾンから引用)
■ 感想とか色々
>哀哭のミリタリー・スカイ・サスペンス
とあるけど、スパイ率高いなヒノメ国 という結構それだけの話
辺境出身でマークⅠ愛称ニケの整備工・アガヅマ
ニケに乗っているのは赤の死神と呼ばれる少女(機体と同じ名前で呼ばれている)
飛行学校で少女と同期だった次席卒業のハジメ(機体の絵はフェンリル/ニケは彼のことを「イチ」と呼んでた)
アガヅマの幼馴染でヘルティア国側のセラ
ニケの親父さんの監察官
酒屋のマスター、ニケがおばあちゃんと呼ぶ使用人、彼女の死を願った人々
爆撃機の亡霊、交換された時計、首に下げているお守りの双子石
飄々とした軍医、分岐点となった墜落機
ニケと観察官と幼馴染のアクが強いと思ってた
セラは自滅タイプ。監察官は石橋を叩いて渡ってそう。
ニケは… ニケは、最初から、自分の気持ちを知っていたし、言葉にしていた
アガヅマは、酷い男、だったなあ
いや、結構、こいつ、ほんと、酷い男だった、途中までは卑怯な男だと思ってた
セラの死と引き換えに引き留めたはずの信頼が、指の間からこぼれ落ちる音だ。p126
俄然好きになった、この人は、やることなすこと、さくっと酷いのに、好きだなあ
自分を売ろうとした幼馴染が経歴を偽って整備工として配属されたとき、それでも「助けたい」と言ったアガヅマにニケは協力したのに、事実はどうあれニケの死を望んだと思われて、いつも機体を整備する手で幼馴染を殺したこと
セラと引き換えの報酬はあれだけ拒絶反応を示したのに
ハジメの機体に細工をし、ニケの後ろ盾である父親を撃って、かつて助けたパイロットを殺し、老婆にゆっくりと毒薬を飲ませた
なにも選ばず、やり直したいと言ったときでさえ、あんたはそうだろうな、と思った
アガヅマをどうして好きかって、多分あれが、蓋を開ければニケしか見ていない「ニケの整備士」だったからだ
彼女の死を、一度として望まなかった、彼女を生かすために、彼女の拠り所すら殺そうとした
地の文に慣れるまでちょっとかかった
こういう頭の切り替えはもう少しはやくできるようになりたい、というか、だって、もっと〝軽い〟と思っていたんだ!
警察小説の公安よりかはもっとあっさりスパイ、だけど誰がどこのスパイかは最後まで解んない
誰がどの国の味方で、どこ所属か
そういう意味では軍医さんは本人言ってる割にゃ生き残りそう(笑)
国名は全て架空だし、精々ヒノメが漢字圏の国ってくらい
ああ、うん、好き、だなあ
セラを殺したときは「彼女の信頼と引き換え」だったのに、おばあちゃんに毒を盛っていたことは彼の意図しない所で「彼女への裏切り」(それが結果的に彼女の安全となる)だったんだ
あれは、ハジメの、おばあちゃん? はっきりとは誰も言わなかったが。
死んでまで妄想の中で生きたくないと言った少年が好きでした、同じ年が刻まれた揃いのライターや少年が少女のことを「ニイ」と呼ぶのにイラッと来てたり、地味に可愛かった
空を、行く人は、自由になりたい人なのか、自由な人なのか
なにものにも縛られない存在
死んだ数だけ紫煙が薫る
イラストレーターはマルイノさん!
あの終わりでどうしてあんな扉絵になるんだ!? 可愛いけども!
死んでほしくないけどアガヅマあれ死亡フラグじゃないのか