B.A.D. 8 繭墨は髑髏に花を手向けない (ファミ通文庫)/綾里けいし
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【「二人が殺されたからと言って、ボクに困ることは何もない」
繭墨あざかは柔らかく、だが断言する。彼女の言葉は理解できるが、怒りは募る。
ヒルガオを失った嵯峨雄介は、唐繰舞姫と繭墨あさとを殺すと言い、失踪した。
この復讐を止めなければ、今度こそ彼の心は崩壊するだろう。
焦りと後悔に苛まれる僕に、繭墨が告げたのは、あさとが座敷牢から抜け出したという最悪な事態の訪れだった――
残酷で切なく、醜悪に美しいミステリアス・ファンタジー第8弾。】
(アマゾンから引用)

■ 感想とか色々

嵯峨くんが復讐に走って、小田桐くんはそれを阻止しようとし、狐は牢獄を逃げ出して、犬は主人を守るために牙をむき、人形は人形と心中しようとする
条件を満たせば出られる部屋に閉じ込められた三組の夫婦と三つの顏を持った娘が一人
人買いの家でのやりとり、舞姫なりの矜持、死者に死を教えること


「悪者は悪者でなければ困る」だっけか
〝彼女〟が首を吊ったのは記憶を思い出させたあさとのせい
〝彼女〟が首を吊ったのは売られるがままにした実姉のせい
〝彼女〟が首を吊ったのは彼女を買った主人のせい
嵯峨くんに対してちらとも申し訳ないと思っていないので申し訳ないのですが、彼女が死んだのは彼女自身のせいですよ? と言っておく
小田桐くんと嵯峨くんが全くそう思ってない(っぽい)のがむしろ不思議
思い出せない記憶を望んだ彼女の死は彼女自身のものでしょう、彼らが怒っているからわたしが怒ってないのもあるだろうし、あの子好きじゃないから優先順位低いっていうのもあるし、小田桐くん視点だとどうもあれだよね空回ってる雰囲気たくさんで笑える
望みを叶えたあさとを責めるのは筋違い、なんだろうねあの狐をただの天災だとでも思っているのだろうか、「近付く方が悪い」。

嵯峨くん好きだったのになあ、前ほど好きじゃないだろうけど、舞台から降りられると読めなくなっちゃうので、もしそうであるなら少しは残念
壊れた人間がもう1回壊れたら元に戻るかな? と思っていたけどそんなことは勿論なく(笑)

変な話、最低にお人好しでやることなすこと最悪の方向に進む不愉快かつ理解できない塊である小田桐くんの方が、その嫌悪感と苛立ちと不愉快さ入れても〝変わらない〟という一点においては好き
今回、人形の家での久々津と小田桐くんのやり取りは好きだった!
小田桐くんにしか言えないこと、繭さんも綾も七海さんも言わないこと
久々津可愛いよなあ、どうも毎度変わり者の主人でこの人自ら修羅の道を歩いているけど、忠犬好きだなあ

地味に来たのは壁の血痕舐めるシーンだったり
繭さんは今回あんまり出て来ないし出てきても動かない、いつにも増して傍観者だったけど、小田桐くんにチョコ―レートあげていた(笑)

「結局、他人事」だとしても、痛くて淋しくて辛くて悲しいのは自分なんだからいんじゃね?
なににそこまで、なにをそこまで、期待していたんだろう
死の意味が違ったからって、人の痛みを「わかる」なんていう輩になにを期待していたんだろう
自分を殺さないことを小田桐くん自身は「優しい」と言ったけど。「まだやり直せる」「やっぱり間違っていたんだ」って凄いよね、嵯峨くんのこと全否定
嵯峨くんが幸仁や小田桐くんや繭さんと一緒にいるのはかなり好きだった

次巻は短編集だそうで、金魚の双子出て来ないかな、神さまと幸仁もまた出てきてほしい
改行がとても多い、意味はあるんだろうけど多いのでうんざりする、その内うんざりを通り越して「久し振りー」となるのだろうか…

イラストレーターはKonaさん!
嵯峨くんの泣き顔可愛かった、口絵のヒルガオ(花)もよかったけど唐傘開いてただ立っている繭さんも好きー
表紙は花札、題字のB.A.D.も凝っていた
今日B.A.D.が「Beyond Another Darkness」の略だと知った


B.A.D. 7 繭墨は人形の悲しみをかえりみない (ファミ通文庫)/綾里 けいし
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