グロリアスハーツ (富士見ファンタジア文庫)/淡路 帆希
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【シローフォノ軍の研究機関『クレイドル』にて生まれた、怪異の力を持つ人型の生命兵器―『贋人』。
贋人として生まれた少女・ユズカと、ユズカを人間にしたいと願う少年・アルトゥールの二人は、贋人の秘密を知る唯一の人物と言われる研究者・ディニタ・イングリスの行方を探している。
ユズカの冷気を操る能力『氷姫』を利用して、宅配業を営みながら旅を続ける二人だったが、ある日立ち寄った街で贋人の心臓『マテリエ』を狙う『贋人狩り』に遭遇し――。
旅立ちは三人、大切な人を失ったあの日、守りたいと願う激情が、少年の中に眠る7つの龍を呼び起こす本格ファンタジー。 】


■ 感想とか色々

シローフォノ軍はお伽話のような存在、怪精(ファンタズマ)に対抗するため贋人(ギニヨル)を造った
怪物を倒すための怪物は、心臓の鼓動がなく、20歳前後で外見の成長がとまる。
長寿で、治癒がはやい。心臓であるマテリエを抜き取れば死ぬ。
感情がなく能力に優れている一等星(オランピア)
感情はないが戦闘向きの能力でもない二等星(スケアクロウ)
感情がある欠陥品で処分対象の三等星(ペトルーシュカ)
三つの階級のうちユズカは感情がある処分対象。
木霊の力を持つメリッサとは姉妹の様に仲が良く、偶然助けてその後助けられたアルトゥール(心臓に鼓動がある人間)と一緒に3人で旅をしていた。
1年前まで。

メリッサの割られてしまったマテリエを半分ずつ持ちながら、ユズカを人に戻す方法を見付けるため、研究室で三等星を逃がし続けてくれた研究員を探す


メリッサの意志を受け継いで彼女を守り、一緒にいる理由まで明確にして(それを許されて)、次は生きるために理由が欲しいなんて、なんというか、贅沢な奴だなあ、とは思った
アルトゥールは置いて行く側なのに。
孤児院で育ち変な注射をされた彼は〝家族〟でいたいらしい。
アルトゥールの能力は炎龍(ヴィーヴル)、鞘は自分、炎の剣を出す(2つ目の龍は最後の方で出てくる)
ユズカの能力は氷姫(グラス・レーヌ)、お仕事は冷凍便を格安で運ぶ


全体的にハプニングも込みで王道、家族なら家族で良いし、妹なら妹で良いけど、そうじゃないと思ったときに感じるものが嫌悪じゃなければ結構いけんじゃね? と思っている
逆に言えば認識していたカテゴリを変えたときに気持ち悪さが来たら多分無理だと思う
あの情報収集屋の女嫌いなんだけどきっとまた出て来るんだろうなあ…
仲間にならないだけよかったと思うことにする…、あれが仲間(?)としてついてきたらすっげー嫌っていた自信がある
雷か鳥のにーちゃんは仲間になるかと思ったらそうでもなかった

メリッサが死んだときはユズカがわんわん泣いてアルトゥールが宥めてたけど、あの2人、そんなに明るくないので、沈むときはお互い沈みそうで浮き上がって来なさそうだなあ
ユズカはアルトゥールの傍にいることを、自分の意志でいる、と言ったから、じゃあ大丈夫かなーと思っていたら、彼が言った「独りにしないで」の約束のためですか
お互いに望んでいなければ成り立たないものは口に出しにくい、それを拒絶されたら一緒にいる理由も、いられる理由もなくなるから。
〝メリッサの遺志を引き継いで〟守るのは、相手がそう思っていなくたって成り立つから安全。
だけど「独りにしないで」はその言葉を文字通り受け取ればユズカじゃなくても構わない
アルトゥールが好きなのはずっとメリッサであると思っているユズカの拠り所は〝妹〟と〝約束〟。そんな展開にはならんと思うけど、そのどちらも否定されたときはどうするのかな。

ギニョル(指人形)なのに、役に立つ一等星は娼婦で、二等星がカカシ、役に立たない三等星こそが人形(道化?)っていうのはなんなんだろう、指人形目指して作ったんだったら一番と三番逆のような
人の姿をし人と見分けのつかない人とは相いれないものの話、とはいっても徒党組んで人間殺しまわってるわけでもないしなあ

イラストレーターは支倉十さん!
着物はフリルあったので大正・明治あたりっぽいような
花守が完結したようなので読みたいと思います