握りしめた欠片 (角川文庫)/沢木 冬吾
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【東北の都市、海斗市から沖合5キロの泥洞島。
7年前、姉の美花が行方不明になった。高校2年だった。
それ以降、父は休職し、母は新興宗教にすがる日々。家族は崩壊してしまった。
そんなとき、島内にある観覧車から従業員の死体が発見される。
被害者の所有していた小型船から見つかったのは、いなくなった姉の携帯電話だった…。複雑に絡み合う事件の真相とは。失った家族の絆は取り戻せるか。
心揺さぶる、感動の傑作長編。 】

■ 感想とか色々


株式会社アイランド・ガードの社長・杜間長治さん
鞄持ちで父親殺して執行猶予喰らってたリョウさん
ガードは歓楽街〝陣地〟の警備を大庭開発から担っている
大庭開発の代表は大庭直介(入院中)
代表代理、息子孝明
孫で双子の総介。兄。島内うろちょろ。探検と観察が好き。謎。
征介。弟。野心あり。友達を引き連れて遊ぶのが好き。
大庭五人衆のうち生き残ってるのは現役の巻目さん、スパリゾート経営蜷川さん、新海シャトル(定期・観光船)経営犬山さん
元〝兵隊〟は笹岡さん、内村さん、芒父
巻目さんと犬山さんは「ほぼ同期」なのでマッキー・ワンコと呼び合う仲

殺されたのは犬山さんの親戚筋で下っ端の後藤
姉失踪以来アルバイトで学費以外を賄う芒正平
正平が姉を隠したと疑っている姉の恋人、首藤護
文字通り島流しになってやけにやる気を出す別所刑事
一度見た人の顔を忘れない祈祷師みたいなばあちゃん
堅気の杜間さんがトップとなって、ヤクザから足を洗い、綺麗な組織になろうとした
それでも、〝元〟が響いて子供の私立受験は落ちるし、杜間さん自身堅気がトップを務めることを考える


姉の失踪から始まってはいるけど、視点のほとんどは杜間さんか弟の正平
お父さん謎すぎる
あの人喋らないし出て来ないし、休職してビラ配りしてるかと思ったらガード復帰(古株)して首藤を家に招いてる、もうちょっと息子フォローしてやれよと思ったがそういう教育方針ですか
お母さんは出てきません。新興宗教にハマったとあったけど、そのあと鬱になって宮城の実家戻っているらしい。正平が高校出たら離婚するとか(正平17歳)

杜間さんとリョウさん仲良くて可愛かった(笑)
リョウさんが殺したのはお母さんに暴力をふるう父親です
執行猶予中に、美花どこやったと杜間さん拷問しに来て肋骨6本折ってくれちゃった首藤を殴ってます、警察にバレたらダメなのでもみ消してる
にやにやしながら「聞かなくていいんですか」という性格の悪さ
地味に人殺してる人多いけど実刑喰らいそうなの犬山さんと芒(のぎ)父か。
杜間さんがなりたかったのはバーテンダーです、弟さんと仲が良いようなのでよかった
会社の借金8億残ってるはヤクザのレッテルは剥がれないわ内ゲバするわ仕舞にゃ陣地焼かれるわでこの人の人生壮絶だな、しかし社長の椅子に座っていてほしい。

オーバーステイなし、未成年なし、強要なし、銃なし、クスリなし
と言っていた割には最後小さく手錠まで揃ってたり
陣地の中のお店は独立経営、みかじめ料もなし、観覧車だけがアイランド・ガードの経営(正平はここでバイト中)
個人的には警察に強要されたと言い保護された女性が気になる(笑)、警察は保護してくれるけど生活費くれるのかな
別所さん(刑事)も段々憎めなくなってきた、いやなんだあの人どこまでも自己中心的で清々しかったです
特に杜間さんが頭陀袋状態の首藤を保護したあと入って来た所は、
この人ほんとなんなんだ と思った
別所に対する杜間さんの「どこをどうとはなかなかはっきり言い難いが、この男がうらやましくなってきた。」(p313)が好きです、めでたい人だった

途中何回か旧日本軍・旧陸軍の作った隠し穴・抜け道探しをやっていました(この島自体本土決戦なんちゃらがあったとか)
これなにかを思い出すなあ、と思ってたら、ファンタジーものでの「革命時の王族の秘密の抜け道」系だ、あるいは貴族の秘密の抜け道(隠し財産とか肖像画の裏の梯子とかでもあり)

征介はもう名前からして…、征服の征だしなあ
総介さんの諦めっぷりが心底謎です、陣地が全てを奪っていったとあるけれど祖母・母・弟までは解っても、友人・恋人は解らんかったぜっ
大庭の直系ということで色々あったのか、この人病弱設定はどこへ行ったんだ
しかし弟さんは自業自得です

〝家族の絆〟を謳っているので嫌いだったら嫌だなーとか思ってましたが、いやそんな感動系にしなくても楽しかったぜ!!
主人公(?)杜間さんでもよかったんじゃないかくらいに。
視点は杜間さんが多いが、話の中心は芒家と大庭家だった


装丁が写真だと解らない
StockTrek Images はあったんだが、そっから「Corbis/amanaimages」が見付からん
©KEIMUTO/a.collection/amanaimages
カバーデザインは館山一大さん