アクアポリスQ/津原 泰水
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【水没都市Q市の沖合いに浮かぶ人工島「アクアポリス」。
この水上都市が建造された背後には、国家規模の陰謀を封じる仕掛けが隠されていた。
Q市壊滅のため、伝説の牛鬼を召還しようとする政府の要人たち。
その計画を阻止するべく、現われた女設計士「J」、自分の故郷を守ろうと立ち上がる少年「タイチ」。
異能の鬼才・津原泰水が近未来を舞台にはじめて挑む本格ビルドゥングスロマン。 】

カンナが好きでした

■ 感想とか色々

かつて、10メートルを超える牛が暴れて学校を壊したと証言した女の子は、それを原因にして虐められ、不登校になってた
それでも街の危機とあればサンダル履いて駆け出して、携帯電話のデータを残していた、彼女が好きでした
けっこうそれだけ(笑)
カンナちゃんいいな、あの子好きだ
信じてもらえなくて虐められ、目撃者も証言を翻し勘違いか見間違いといい、否定も肯定もしない消極的嘘をついた者もいた
信じてくれなかった人たちのために、信じてもらえなかった人間が、助けたくてもう一度声を上げるのってすげえな
向こう側から切られた糸をちゃんと持ち続けたのもな、正直データ残してるのに関してはカンナじゃなければこんな好意的には考えなかっただろう(笑)
元々、名前が好きだったのと、まだ虐められていない活発な頃の喋り方が好きな子を思い出したのもある

話はそのまま「アクアポリス」設計者のJが表れて銃撃戦
多国籍軍駐屯してたり。多国籍軍駐屯ってよくある(?)けどなんかすげえよな。
でも自衛隊もちゃっかりいたので、おう! となった(笑) 実際多国籍軍いたら駐屯地や演習場や滑走路や空域や港の割り振りってどうなんだろう
冷戦終結してから武器のはけ口、あたりまでは読んだ。
かつてタイチが目撃した少年と、カンナたちが目撃した牛
システムの根幹に関わる話ってのはちょいちょい読んだけど、話がとんとん拍子だったなあと
いきなり、それこそ根幹に関わる人がポンポン出てきて、体憑依(?)したり官房長官一族が妨害して襲って来たり
クローンとは一体なんだったのか(笑)

サクラやタカコさんやお父さんの話も薄れちゃったしなー
特にサクラさんは自分の制服売ったのバレて退学になってから自殺するまでを読みたかった(笑)
あの古本買った時点ではまだ生きていたんだろうか、死んでたのかねやっぱり
タカコさんのお父さんの話は好きだったけど、無抵抗主義者のタイチが父親からの言葉である「進め」にあそこまで動くのか
貢献というキーワード(?)も2回(3回?)ほど出てきていたな、それにしてもタイチはそこまで「街大好き!」って雰囲気じゃなかったから…
まだカンナの方がかつて虐められていたことを考えると、彼女が言った「私、ここの人達が好きなの」は好きだったけど

つーか普通、普通? 陰陽の陰陽表的に言えば「陽」は男担当で、「陰」は女担当だろ!?
あそこでJが陽を担当し、タイチが陰を担当したので、「え? タイチ女だったの?」てなった(笑)
アクアポリスを救う人、と何度も言われていたけど、少年の目撃を除いて特殊な過去があるわけでもない、あれをカウントするなら少年こそ目撃していないけど牛を見たカンナだってもうちょっと活躍してほしかった
カンナちゃん、虐められる前の牛目撃談と、J登場してからカンナに話聞きたいと呼び出したのと、飛んで飛んで最後、危機迫ってるときしか出て来ない(笑)

カバー写真は伊奈英次さん
見返しイラストは寺田亨さん


出版は朝日新聞社さん~