B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる (ファミ通文庫)/綾里 けいし
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【「小田桐君。理由なく人を殺せるぐらいでないと、狂っているうちには入らないさ」
チョコレート片手に、彼女はそう僕に告げた。傲慢で冷酷で我が侭な偏食家。
そして、紅い唐傘を手にゴシックロリータを纏い、僕の絶望に突き放した微笑を浮かべる14歳の異能の少女、繭墨あざか。
けれども、あの満開の桜の下、彼女は言った。
僕の傍にいてくれると――。
第11回えんため大賞優秀賞。
残酷で切なく、醜悪に美しいミステリアス・ファンタジー開幕。 】


面白かったー

■ 感想とか色々~


すっ飛ばしてチョコレートデイズ(短編集)だけは読みました
そのときからあざかさんは良さ気だった、1巻読んだらもっと好き!
いいなーあざかさん
小田桐くんは、なんというかこう、良い人そうに見えるし良い人っぽい行動をしているんだけど良い人になろうと足掻こうとしてことごとく失敗に終わっている感じがとても好きです

StoryⅠは自殺のやり直しをする姉を殺して欲しい妹の話
飲めなかった缶ジュースと入らなかった硬貨のお話
あのものすっごいどうでも良さ気な缶ジュースがほんと好き
小田桐くんの腹の中には「なにか」いるみたい
物語の最初で子宮が落っこちてくるのが好きだった、腕や脚、眼球、脳漿、内臓、膵臓、肝臓、心臓、肺、十二指腸胃とその内容物のどれでもなくて子宮だぜセンス良すぎだろ
あと小説でよくぶちまけてるのなんだ? 吐瀉物? 吐血してるときもあるけど胃液とか
同じように「男」が「孕んでいる」のも好きだった、いいなあこの胸糞悪くなりそうな趣味。

StoryⅡは歌うしゃれこうべ
バット片手に嵯峨雄介くんが新しく登場します、正直こいつそのうち死ぬだろうなーと確信に近く思ってたのにこのあとのお話にも頻繁に登場するので驚きました。
いやマジ出る度に「死にそー」「死ぬだろ」「なかなか死なないなあ」「え? 死なないの?」「…死ななかったよ…」と変化した
でも多分「死んどけよ」がないのでそれなりに好きなんだと思う、小田桐くんとあざかさんは持っていない明るさ(?)だし出て来ると陽気だからサクサク話進んで嬉しい
ちなみに今回の依頼人は雄介の親父殿のお話です
秋ちゃんが男か女か非常に迷いました妹だから女の子(のはず)
自殺した継母とか道連れの子供とか置いていかれた連れ子とか。
わんちゃん撲殺事件☆ とか書いてみるが内容は後味悪いです。(ほめことば)


P161とP162が好きです
StoryⅢは人魚姫のお話
声と引き換えに足を手に入れ、王子を殺せなかったので泡になる
王子役は小田桐くん、魔女役は狐面の男、というと隣国のお姫さま(? 隣国だっけあれ王子が勘違いだかなんかして惚れるもうひとりの姫)はあざかさんになってしまうのだが
ここらへんで小田桐くんの不運というか残念極まりない努力っぷりっていうかいっそのことあきらめた方が楽になるのに「自分は(まだ)一般人」のよすがにするため動いている感じが好きです
そんでなんにもなれないのが(彼の思い描く、望むとおりの結末には全くならないのが)好きです
小田桐くんが苦しんでると楽しい
「泡ぶくぶくパーン」で断章のグリムを思い出した、B.A.D.好きかも
(短編集読んで図書館予約したんだが中々来ないから1巻は新刊、2巻は中古、3・4は借りてます)
p166の
「やあ、妹君」
「やあ、兄上」
も地味に好きだったり。この二人会うとこの会話だな
あ、でも167の小田桐くんの絶叫は嫌いだった。絶叫する意味が解んない

StoryⅣはあざかさんの御実家から『犬』をもらって飼うお話
自分は神だと思う人間を育てたり、自分を犬だと思い込ませるよう人間を育てたり
どうせなら犬に育てさせればよかったのに と思わないでもなかったが。陶酔的な千花さん。

p197は引用しておけと誰かが言った
「ボクができることは、異界に触れることだけさ。ここでは無い彼岸と、ボクは唐傘を媒介にして繋がることができる。死者の声を聞いたり、人の怨み辛みを呪いという形に昇華させることも可能だよ。あるいは解くこともね。条件がそろえば、夢渡りもできるかな。でもね、ただそれだけさ。そんなボクを人で無いと言うのは自由だよ。ただね」

唐傘くるくるしてんなあとは思ってた

StoryⅤは過去編交えて
あさとと小田桐くんがまだ友人であり、まだ腹に孕む前で高校に通っていて、静香という後輩とあさととの3人で仲良く居た頃の話
これは静香さんのお話ではないので静香さんのちょっとアレな具合はアレでよいです 言いたいのは どうせだったらちゃんと連れて行け と
あさとがどっちかと言わなくとも嘲笑する傍観者であって引っ掻き回す快楽主義者(?)なので、まああんなもんだろ

現在進行形としては『あざか』の特徴を備えた死体が乱立中
本家の遠縁の女性が殺されたということで、本家からあざかさんに連絡が入り、本家へお出かけ
鬼が生まれたよ、しかも名前をつけたってことは小田桐くんの方が上じゃね? にしちゃ制御出来てなかったような
そんでチョコーレートデイズでは煙草煙草そんなに言ってなかったように思う

イラストレーターはkonaさん!