竜が最後に帰る場所/恒川 光太郎
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【風を、迷いを、闇夜を、鳥を。
著者はわずか5編の物語で、世界の全部を解放してしまった。
闇の中から一歩、また一歩と光射す方へ誘われる、「夜市」の著者の新たな到達点にして最高傑作。

この世に潜むものたちを、5つの物語で誘い出す――。
――私たちは私たちだけ? ――進むってどこに行くの? どこに行けばいいの? シンは少し考えてからいった。
――<竜が最後に帰る場所>より。】
あらすじは講談社HPから!


風を放つ
学生時代に働いていた印刷会社でお世話になった高尾さんと高尾さんとこにいるマミさんの話。
マミさんが粘着質で気持ち悪かった(笑)
すげえな、よく覚えてるな。>友達いない発言
高尾さんも善人なんだか悪人なんだかわからない人だった。世界一周、いいじゃないか! 絶対にしたくないけど。つか本人としてはただのその場のノリとかかもしれなくなって「人の夢」わらうとか何様だし。
小瓶に閉じ込めた風の話。「箱の中身は開けてみるまで判らない」の小瓶の蓋バージョン。
しかしこの男の子も「嘘」をつくので登場人物の3人全員なんだかなあ。


迷走のオルネラ
割と好きだった!
母の恋人である宗岡、宗岡の妻カキコ、その娘ユキ、彼女であるコジマと、視点のクニミツ。
宗岡は「デザイナー」と名乗ってそのあと「アーティスト」と言った時点で信用しない。
いや自分が横文字苦手なだけかも知れんけど(笑)
別れたコジマさんに「漫画読んで感想書いて」が好きだった。
普通の復讐だったら詰まんなかったと思う、楽しい復讐を読んだこと、あることはあるけど圧倒的に数が少ないし。
本妻の娘であるユキさんと愛人の息子であるクニミツとの間に具体的な接触があっても詰まんなかったと思う、彼女の作品を通して、っていうのも好きだった。(彼女の作品を教えたのは本妻のカキコさん、カキコさん普通に、なんというか、「大人」だった。宗岡の刑期明けを教えてくれるのもこの人)
最初と最後が繋がるよ。ろくでなし退治。

夜行の冬
冬限定の時空渡り、みたいな。「次の街」にいる自分。変わった環境。
後ろから来る黒いものに追いつかれたら終わり。
「1400円のご飯代」は最初三途の川の渡し賃か? と思った。
なんで1400円だったんだろ。
パラレルを歩く。独身だったり、結婚してたり、仕事が変わってたり。
雪の中を歩く。錫の音がする。ガイド。参加は任意。
歩けなくなったものはいなくなる。


鸚鵡幻想曲
擬態している擬装集合体のお話。その集合体を「解散する」人のお話。
初っ端の人間から凄かった。軍艦島って確か、大分、観光客向けに整備されてたな。
携帯電話に化けたアリ、天道虫の郵便ポスト、灰と砂になったお地蔵様、鸚鵡になった人間。
言葉をしゃべり、神さまと呼ばれる鸚鵡。解散させる人はアサノさん。
「もしも、触りたくなるのだとすれば……それは君の業かもしれんな」p161 がすき。
163ページは解散させたものが出てくるのですき。
自動販売機→硬貨→うはうは には笑った。


ゴロンド
竜が最後に帰る場所。
個別の名前を与えられる。それぞれの地に飛び立って。
二つの道、食われるか食われないか、成長できるか成長できないか、空を飛べるか飛べないか、言葉が喋れるか喋れないか、そういう選り分け。
選り分けか? 自分の知らない所で決まっている絶対的な分かれ道。
全滅しても困るし、数が多すぎても困る。
「毛なし猿」が出てきた。火を使ってる。「大陸」の話も出てきたし、名前をくれたシンにももう一度会えた。壁に描かれた翼の生えた大きな生き物。

順位を付けるなら 迷走のオルネラ≒鸚鵡幻想曲≦ゴロンド≒夜行の冬<<<風を放つ

装画はくまおり純さん!
おばけが可愛い!!! シーツおばけみたい。
女の子がお出迎えしてくれたHP、お仕事のページ見たら『ペンギン・ハイウェイ』の人だった。
読むとしたら『アンジャーネ』かなー。