君の嘘、伝説の君 (MF文庫J)/清水 マリコ
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【K中学に通う二年生の男子、浅井操は、授業で読書感想文の音読をさせられ、とんでもなく不機嫌になってしまう。
しかし、その作文を欲しいと言う女の子があらわれた。
色が白く、薄茶っぽい髪と目、卵形の顔、すっきりした目のラインに沿った長いまつげ。
人形のような容姿で語りかけてきた彼女の名前は神鳥智奈。
ここから彼は“嘘”と“伝説”、そして“魔女”を巡る数ヶ月の物語に静かに、そして深く取り込まれていく―――。 】


■ 感想とか色々~

『戦争は悲しく、むごたらしいことだ。僕たちは、決して二度と戦争を起こしてはいけないと思う』と教師が生徒に思わせたがっているのが透けて見える本の感想文を みんなの前で朗読させられたのが始まり。
顔が良く口の悪いクラスメート、高見に付き合って購買まで行ったとき、「作文をください」と言って来た神鳥智奈。
学校に来ないで誰もいない家にひとり住む可愛い女の子。

他に出てくるのは
いつも暗く俯いていたのにパッと見解らないくらい明るくなった斉藤るな、
背が高く料理が上手な大人しい女の子、湧井戸ひな子。


出だしが青くさくて好きだった~!
あそこで教師からの質問に答えられてたら、出来すぎと思うかいっそうワクワクするかのどちらかだったと思うけど、答えられなかったから青いだけで終わっちゃった(笑)
反骨精神は大いに買います、面白いから。だけどあの子のそれはあそこだけだったなー。
高見が全体的に意外と頑張ってくれた。
アイス買う所はよかったよ、いやあれは操の語りも良かった気がする。

しかし女の子が詰まらなかった。
ヒロインの智奈、明るい女の子るな、料理の美味しいひな子さん。
智奈は「お兄ちゃん」で思った痛さも、操自身がそう言ったからまあいっかなあとも思ったんですが、どうにも痛い系の女の子って苦手。彼女の視点があればまだ違ったかもしれない。
わたしがるなを嫌いだから、それを「嘘くさくて気持ち悪い」と言った操を、ひな子が傷ついて引きこもっているるなに謝りに行く件は、なんなんだろうこの子ら(笑) と思った。
男子の言葉で泣いた女子の友達が男子を謝らせに行くのって久しぶりに読んだけどやっぱり嫌い。泣いた者勝ちじゃないんだから。
男と女が喧嘩をするとき、暴力と涙は禁止だといいな。
不幸の拠り所をどこかひとつに集まらせんのも好きじゃないけど。


海を見に行く所もちょいヒくぐらいだったけど、アイドル引っ張り出されちゃったーと思ったら、そのあとはまあ面白かった。
都市伝説のように語られる魔女ウィルス。幸せであればあるほど周りが不幸になっていく。傷ついた女の子。怪我をした男の子。
かかってくる電話。あ、(せえの) は凄い好き!
背景が見えた。ような気がする。ああ、なあ、ああいう子ってわたし笑っちゃうくらい馬鹿馬鹿しくて潰したくなるくらい大好きなんだけど! しかしあっさり終わっちゃった!(泣)
ひな子さんの「嫌な子ですよね」は半々かなあ、許されるために泣くのならやめてほしかった。
往々にして女の子が誰かに相談を持ちかけたり質問をするときは、もう本人の中では答えが決まっていることが多い。と思う。
そういう、話したい、聞いてもらいたいだけならその意思表示をしてほしいの、どう思う?って聞いといて、言った答えを「でもわたしはこう思う」っていうなら、そんな――形式じみたクッションみたいなまだるっこしい会話よりも率直に行こうよ と思う。

「伝説の君」や「君の嘘」あたりはそれまでと比べればまだ楽しかった。
ただ、まあ、順当に落ち着いたかな、と感じたのも確か。
智奈と顔がそっくりのミカさんのオチもだし。生徒手帳ってどうやって作ったんだろ。あ、撮影のときの小道具とか。
最後は綺麗に終わりました。
ああ、だから最初に「古いものが好き」って言ってたのか。
あとがきの「痛い系気持ち押し嘘並べな世界」に思わず納得。


イラストレーターはtoi8さん!
開いてすぐカラー1枚目が誰もいない電車の座席って……!!! 脱帽した。
カラーのが好きだし、モノクロだと好みじゃないのが多かったけど、最後の屋上のシーンはよかったよー! あれは…いい、凄いいい。
本文でその描写がある前にイラストで描かれるのはアウトですが、全部終わった後に見開きであれは、凄い。浸る。