キャメロットの鷹―アーサー王宮廷物語〈1〉/ひかわ 玲子
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【ぼくたちは、ぼくたちに出来ることをしよう。
不思議な力を持つ双子の兄妹が見た、宮廷の光と影。
日本を代表するファンタジー作家が、満を持して発表する書き下ろし長編三部作。
第1巻は、王暗殺の陰謀をめぐる物語。 】



■鷦鷯と鷹の双子
アーサー王は剣を抜くまでをディズニーの映画で見ただけで、その後のお話とかは全く知らなかったんですが、この泥沼試合を汚く思わせない語り手は凄かった…。
だってアーサー王と異母姉との子供って! それだけでもう昼ドラだろ。
王位簒奪ならよくあるよねで笑って済ませるけど、仕掛けた罠とか口八丁な所とかやっていることはえげつない。


登場人物が多いのも大変でしたが、最初に一覧あるのでまあ頑張りました。
アーサー王に異母姉4人に夫に子供+アーサーとギネヴィアそれぞれに仕える鳥に変身できる男女の双子+α。
従兄弟とか言われても判らんのでそこらへんスルー。とりあえず彼らの仲が良いことは嬉しかったです。


視点はギネヴィアに仕えるメイウェル。ミソサザイ。
兄のフリンは表題にもなっている鷹。
親友エレインが塔の中でひっそりと織るのは未来を描いたタペストリー。
メイウェルはなんというか、“可憐な女の子”でしたなあ。
健気というか一途というか。この言葉を含みなしのほめ言葉で使うのも珍しい。
好きな人のために一生懸命で、頼れるお兄さんもいて、弓で射掛けられそうになって拗ねたり。(拗ねるとか拗ねないとかの問題じゃないけど)

ギネヴィアと騎士のお兄さんについてはほぼスルーでしたが、アーサー王はそれでいいのかねえ。
いいんだろうけど、お妃さんはもうちょい大人だったらもっとよかったなと思いました。
一応簒奪を阻止して失いがたいものを失って、お兄さん’Sが旅立っちゃって(こっちのお話も読みたいなあ)、それでも気持ちのいい終り方でした。
表紙含めイラストが物凄く素敵。扉絵の双子から惚れるわ。


筑摩書房。
あとでカテゴリ変更するかも。