魔法使いが落ちてきた夏 (ファンタジーの冒険)/タカシ トシコ
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■あらすじ
ママさんが買って来た一枚のポストカードが始まり。
魔術師と、石版と、濃い青色の広がる空。
呼び誘われて出会うのは、石に飲み込まれ、今にも死にそうなひとりの魔術師。
“呪”<エナジ>と呼ばれるキラキラ光るものを受け取り 、呪文を正確に発音することで起動する“魔法”。
青い顔をした、けれど稀有な才能を持つ彼女の名前は阿修羅。
魔法物語が大好きなカナは、体力と魔力を失い“こちら”の世界仕様に小さくなってしまった阿修羅を家につれて帰る。

黒(ダーク)と白(セント)と中立(ノンカラー)の三派に分かれていた彼女達の世界で、突如牙を向いたセントは、彼らが信じる「唯一神」に歯向かうダークを邪教とし、一方的な攻撃を仕掛けていた。


■阿修羅と伊邪那美がカッコいい……!
同じダークであり治癒系魔法を担当するイザナミは中盤くらいからの登場なのですが、いやいやもう2人ともカッコよすぎですっ!
阿修羅なんてその男前っぷりとか粋な行動は反則だ。
ラストの方でのイザナミとの皮肉まじりの会話なんて素敵だ。


阿修羅の身の上話である旅の途中湖で出会った変なおじいちゃんとの修行。
十日間の高熱の後見えるようになった“きらきら”がなんであるか。
水から龍を作り出し、風を生み出し、炎を操る魔術師。
手探りの、修行と呼べないような放任過ぎる教えに、世界の仕組み、与えたローブと新たな名前。
別れの日、置いて行ったのは、老人お気に入りの青い薔薇。


■司祭長カルティーヴォ
敵さんなんですが―――どこまでも解りやすく救いたくなくなるほどの悪役でした。
あまりにも爽やかに敵方だったからむしろ微笑ましい。
セント特有の階級制に、こじつけの理論、唯一神のためであれば太古からの掟まで破る。
最期の最後まで頑張った人でした。最期人じゃないけど。


■旧知の敵
カルティーヴォが上司の(多分)おじーちゃん達から借りた兵士3000人+忍。
兵士はざっくざっくなぎ倒しちゃうのですが、忍がなぁ。
自由な流派であったにも関わらず、長いときの中で変容し、再び見えたときは敵同士。
彼らの頭目に、口伝のみで伝えられる奥儀に付き合った若い頃の阿修羅。
魔法らしく、エレメンタルだったりシールドだったり出てくるのもワクワクの要素。


■擬音がちょっと…
それどうよ。な所もあったりなかったり。逆にそれがワクワクするときもあるんですが。
イザナミがカナと出会ってから素性バレた白の兵士をひとりでのしちゃう所とかねー。
ごごごごごごごごごっ とか ごろごろごろ かかっ どーん とかたまにある。
あとは。
まぁ仕方のないことなんだけど、やっぱり、“またね”というのが物悲しい。
置き土産が阿修羅らしい。猫のワイン。