大おばさんの不思議なレシピ (偕成社ワンダーランド (8))/柏葉 幸子
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【美奈がみつけた大おばさんのレシピは、その通りに料理や小物を作ると別世界へスリップしてしまう不思議なレシピでした。
そのレシピどおりにお料理や小物を作ると、美奈はたちまち不思議の世界へ―――】

■星くず袋
母親の家事の腕をそのまま引き継いだ美奈は、数々の武勇伝を残すほどの不器用娘。
そんな自分でも、少しずつ練習していけばきっと出来るようになるんじゃないだろうか、と思ってお母さんに尋ねた料理や手芸の本。
お母さんが思い出したのは家庭に根付いた手作りのレシピ。
最初に作るのは黒のベルベットの巾着型の袋。両面に大きく銀色の糸で星が刺繍された簡単そうな。

最後の最後に手を抜いて完成した袋に手を引っ張られて行った先で出会ったのは、
薄暗い部屋で羽ペンを握りずり落ちそうなメガネをかけたドクムマ。
違う世界で作られたものに宿る力、心地のいいお節介と負けん気、訪れた村と受けた歓待、夜空を舞うのは文字の星。


■魔女のパック
クリスマスパーティーに持っていくためのお菓子を作ろうとしても、スポンジは丸焦げ。
仕方なくあのレシピから簡単そうなものを作ろうとして選んだのは、これならできると思ったクレープ―――だったはずなのに。
呼ばれたドクムマの薄暗い部屋。謝りに行く為告げられた先はヘビ沼の魔女。
怖ろしいものを想像していたのに、そこで出会った“魔女”はキレイ好きで清潔な女性。
魔女らしくない魔女に渡したのはクレープのタネ。名付けられる為に行った先と、他にいるたくさんの魔女。
助けた子供とお父さん、どちらとして生きるかの選択肢。


■姫君の目覚まし
薬嫌いのお母さんが風邪を引いて作ったのは、お父さんが材料を買ってきてくれた我が家でよく出る生姜湯。
今回はレシピを見ていない。それなのに呼ばれたドクムマは、強制的に配達先へ美奈を送る。
物語、お伽噺、童話と絵本の舞台裏。
バッドエンドに泣き暮れるお姫さまと、やる気のある脇役達。
騎士と継母の娘良いよ、素敵だよ! 主人公より脇役の方が素敵なのはよくあることさっ。


■妖精の浮き島
友達が教えてくれた好きな人が、自分と同じであったそんな日。
この気持ちをどうすればいいと悩む美奈が出したのは、そのままにしておくこと。
誰にも告げず、言わず、なにもしないこと。

両親が仕事で出かけた夜、自分でご飯を作ろうとして開いたレシピ。
家の材料をかき集めて出来たピザは、向こうの世界の妖精達の背中を押す、重要な浮き島。
臆病者の恋と繋ぎ合わせる矢、女当主の胸元の指輪と、言わなければ書き足されない言葉。