いしのはな

石の花 (岩波少年文庫 (3111))

【民話の宝庫といわれるウラル地方を舞台に、さまざまな幻想的人物がくりひろげる物語。
そこに住む人々の哀歓や知恵をおりまぜつつ描く、伝説の石の花をめぐる愛の物語などの8編。】


■山の女王
クラスノゴールカ鉱山に辿り着くまでに疲れ切ってしまったスチェパーン達は木陰で一休みをすることに。
しかしそこで彼が見たのは青色のおさげ髪をした女の子。
くるくる動き、よくよくみればそれは絹のようなくじゃく石の服。
誘われて行ってみた所、色とりどりのとかげを兵隊と呼び、怖いものはないといった問答を。
孤児の許婚、くじゃく石の小箱、豊富な鉱石と、自由になったあとの顛末。
明るくあんはっぴー。


■くじゃく石の小箱
亡きスチェパーンの妻、ナースチャ。
「記念」と言う意味で名付けられたパーミヤトカ――ターニャは、父親が遺した宝石箱が大のお気に入り。
美しく、親に甘えず、どこか違う雰囲気の幼子。誰も寄せ付けない飾り物。巡礼のようなおばあさんと教えてもらった刺繍。
見せられた光景と、父親が掘り当てた柱。大人のどろどろ。
最後消えちゃったけどこれはなんだ山の女王様の子供オチ?


■石の花
見習い候補として管理人が連れてきた子供を容赦なく鞭打つプロコーピィチ親方。くじゃく石から細工物を作る。
みなしごで我慢強いダニーロは、数えるのも億劫になるくらいの見習い候補としてプロコーピィチ親方の下へ。
天性の才能と、石を見る能力。親子の愛と親方の優しさ。
管理人を誤魔化す為にしてきたことと、見破られた実力。
大杯を作れと命じられたが、その下絵がどうも気になるダニーロ。
ヘビ山へと誘う声、魅せられた「石の花」。想い合うのはカーチャ。


■山の親方
山へ入ったっきり戻ってこない夫を待つのはカーチャ。
世間体を気にして姉や兄が煩く言うが、そんなのは気にしない。
仏の花嫁という不名誉なアダナと、親方に教わったくじゃく石の飾り板。
カーチャのこの強さが大好きです…! 一途で強靭。真っ直ぐな気持ち。
迎えに行った山で出会った人。「一分たりとも忘れなかった」と言ったのは誰?


■細い小枝
ダニーロとカーチャの子供、上から3番目のミーチャが主人公。背中が曲がっているけれど、頭がよくて手先が器用で思慮深い。
財政が厳しい領主が目に留めたのは長靴。不当な年貢の取立て。
石の果実を習いにいったミーチャと、小枝を挙げたかった娘。


■たき火っ子おどりっ子
ある日一緒に山に行った人達と見たのはたき火の周りで軽快に踊る女の子。
その子のいた場所には金があるといって各々違う場所を探してしまう。
笑う大ミミズク、居辛い自宅と、変なアダナ。三度目の正直?


■水いろの小ヘビ
家が隣り合い、末っ子であることも貧乏であることも、年から一緒なランコとレイコ。
大の仲良しである2人がイタズラしたのはマーシャの占い。
二人で見ると争いごとをする水色のヘビ。消えた場所が違うに引き。
黒の輪から守る金の輪。


■「青い霧」の井戸
イリューシカは祖母の形見である三枚の羽を帽子に縫いつけ、日々彼女が言った教訓を思い出す。
仲間内からさえ嫌われているクジカの尾行、ルケーリヤおばあさんの挑発、井戸の下にあるものとそれに必要な力、本当に欲しいもの。

岩波少年文庫。