紫鳳伝II 神翼秘抄 (TOKUMA NOVELS Edge)/藤野 恵美
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【極寒の地、冰心山。魔女が棲むと恐れられている山に向かうひとりの少年がいた。その名は蓬己。
山の頂にあるという伝説の名刀「月家刀」を手に入れ、両親の仇を討とうとしていたが、あと少しのところで謎の黒装束の男に奪われてしまう。
しかし、そこには永い眠りから目覚めた柳紫鳳が立っていた。
月家刀の行方と共に明らかになる、腐敗した王政。再び、紫鳳が動き出す──。】


■登場人物
柳 紫鳳(りゅう しほう)
1巻で王・仰昭(ぎょうしょう)を殺したあと、月家刀と共に永久凍土の冰心山で眠りにつく。
しかし父母の仇を討つための刀を求めに蓬己が現れ、永い眠りから目覚める。

蓬己(ほうき)
両親の仇を討つために月家刀を求めて冰心山へ登る。純粋で優しい少年。
足腰が強く、戦闘の勘も良いのか、武芸を知らないのに意外と戦える。作中で紫鳳から武芸を習う。

桐青(とうせい)
冰心山を守る毒手を持つ少女。山への侵入者を追っている途中、蓬己に助けられ、ひょんなことから紫鳳と行動を共にすることに。

薄墨(はくぼく)
後宮に送られる途中で蓬己が出会った美しい少女。

丁花景(ていかけい)
河北一帯を取り仕切る大商人であり「万華会」の当主。

霍連定(かくれんじょう)
緋色の覆面をした大盗賊。強い相手と戦い、勝った暁には剣を頂く。


■1巻読了の方が……
前に登場したコトウカクや陸松、戚世震(せきせいしん)や先代の王ロカなど、こっから読むと「あれ?」な人が物語と紫鳳に影響していました。
いきなり 1巻の100年後 という設定だったので、もういなくなってしまった彼らの名前が受け継がれたり語り継がれたりして残っているのを見るのは、淋しい反面、とても嬉しかったです。
故事成語になっていたりお芝居になっていたり。毎回これだったら紫鳳辛いだろうな。
特に、紫鳳が目覚まし役を頼んだ青年と、同じ名を名乗る連定に戸惑う所なんて。


■長い復讐と気弱な王
不当な扱いを受けた後宮の姫の一族と、なぜ選ばれたのかが解らない、いつしか王殺しの刀を待ち望むようになった国王。
その一方で、ハクボクとホウキのちょっとしたあれこれもあったりして、えぇちょっとトウセイは!と想わないでもなかったですが、前巻の身分差恋愛がとんでもない終わり方だったので、それはよかったかなと思います。
忠臣と流民狩り。賄賂と差別。紫鳳の出自。解決の手立て。コトウカクはやっぱりイイ男でした!!
女を政治に入れたら混乱するというのはよく聞きますし、逆もまぁあるでしょうが、その程度で左右されるようなら、既に王の器じゃないのでは。
身内をひいきするのも、お気に入りを作るのも構わないけど、評価すべき所を評価できず、人の言葉に甘えたのが今回の失敗か。
ああ、あとは先代が有能すぎたから。これは気の毒だと思うよやっぱり。


■やっぱり苦手な所
・漢字と読みが難しく、どうでもいい人にまで名前がついているので把握するのがキツい
・設定と名前がついている割にはすぐ殺される/死ぬ(あの努力はなんだったんだ)
・~流派/技名が多くてだから漢字の読みが難しい
・本筋でない情報が多いので、凝るのは解るがもうちょい緩めて…!



紫鳳伝―王殺しの刀 (TOKUMA NOVELS Edge)/藤野 恵美
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