相場は底打ち? | 紺ガエルとの生活 ブログ版日々雑感 最後の空冷ポルシェとともに

相場は底打ち?

いつものことですが、筆者の個人的な意見なので。

ご利用は、計画的に。



週末、ここしばらくの相場について、思いを馳せていたのだが。
もしかして、相場はここで反転したかも知れない、という気がしてきた。


というのも。


Fed Fund金利からコアCPIを引いた、実質金利では、既にマイナス金利に。


Term Securities Lending Facility(TSLF、証券貸しファシリティ)では、2000億ドルを上限にエージェンシー債、エージェンシーMBS、AAA格のノンエージェンシーMBSを担保として受け入れ、米国債を借りられることに(もちろん時価換算で)。

http://www.ny.frb.org/markets/tslf_faq.html

Primary Dealer Credit Facility(PDCF、プライマリーディーラー向け担保貸しファシリティ)では、上限なく投資適格の社債・地方債・MBS・ABSを担保に金が借りられるようになる。一応、NY Fedに口座持っているClearing Bank(JPMとか)が値付けできるものに限る、ということになってはいるが。
http://www.ny.frb.org/markets/pdcf_faq.html


この上記の三点で、以前「終わりの始まり」で指摘した金融機関のファンディング問題 は、急激に改善。

さらに。


木曜日のFannie MaeとFreddie Macの自己資本比率緩和で、2000億ドルのモーゲージ買い余力が。
20兆円規模の、買い余力の創出。


そして昨日のWSJでは。
ポールソンが、FannieとFreddieに、それぞれ100億ドル規模の増資を促した、との記事が。
レバレッジをざっくり30倍だとすると、60兆円規模。

加えて、FHLBに1600億ドルを上限に、モーゲージを買うように促した、とも。
16兆円。


これで、金融機関のバランスシートから。
モーゲージ資産が、切り離され。
エージェンシーに、移転される。

それも、100兆円規模。


実質、公的資金による買いきりオペ。


今回の危機の大きな原因だった、資金コストの上昇と、過剰レバレッジ/過小資本の問題が。
急速に、収束する可能性が。


ベアの破綻で。
政策を小出しにすると極めてリスクが高いことを認識し。
大胆な政策を、まとめて取り始め。
流石GS出身のポールソン、バーナンキよりも市場心理を熟知している。


異常なリスクプレミアムの高まりで、異常に値下がりしていた金融商品は。
とりあえず、値を戻すだろう。
金融市場発、の恐慌は、とりあえず避けられる方向なのでは?
もちろん、実物経済のファンダメンタルズは、今後悪化する可能性が高いが。
デフレに堕ちるよりも、インフレのほうが、まだまし。


ファンダメンタルズの悪化に加え。
バランスシートから資産を切り離す時点で。
損出しに耐え切れない金融機関も、出てくるかもしれないが。
自己実現的にコンフィデンスが悪化して、金詰りになる状況は。(典型例:ベア)
ひとまず避けられるかも、知れない。


高格付、例えばAAA格の資産の値段が平静を取り戻せば。
ファンダメンタルズの悪化で、格付が低い資産の値段が下がっても。
クレジットクオリティが低い資産を証券化して、AAA格を作り出す形で。
アービトラージが働き始め。
中期的に、証券化市場が復活する可能性あり。
そうすれば、またレバレッジが戻ってくる。


エージェンシーの増資が成功するかどうか。
(これ、失敗したら本当に「終わり」ですから。)
金融機関のクレジットスプレッドが本当にタイトニングするかどうか。


ここは、超注目です。




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