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 国際スケート連盟(ISU)は6月30日、この秋のGPシリーズの各試合の出場メンバーを発表した。

 GPシリーズの出場は招聘制度で、前年の世界選手権のトップ6位までがシード選手となり、12位までが2試合に出場できる。

 それ以外に、前年にもっとも高いスコアを出した上位24人、世界ランキング24位までの選手にも招聘される資格がある。またジュニアからは世界ジュニア選手権メダリストとジュニアGPファイナルの優勝選手らが招聘の対象となる。

宇野昌磨、浅田真央らが出場するスケートアメリカ。

 初戦のスケートアメリカは、2年前と同じくシカゴ郊外で10月21日から開催される。男子シングルでは昨年2位だった宇野昌磨と、2016年世界選手権・銅メダリストの中国のボーヤン・ジンが顔を合わせることになる。どちらも現在18歳で、次の世代を担っていく若い2人の対決に焦点が当てられそうだ。

 村上大介、デニス・テン、アダム・リッポンなどベテラン勢も充実した顔ぶれである。怪我で昨シーズンの世界選手権出場を逃したジェイソン・ブラウンも復帰する。

 女子では、日本からは浅田真央、村上佳菜子、シニアGPデビューの16歳、三原舞依が出場する。米国女子はグレイシー・ゴールド、アシュリー・ワグナーのトップ2人が早々にこの試合で顔を揃える。またロシアのユリア・リプニツカヤ、ジュニアから上がってきたセラフィマ・サハノヴィッチらにも注目だ。

羽生結弦とP・チャンが顔を合わせるスケートカナダ。

 2戦目スケートカナダは、初戦の1週間後の10月28日から、今季はトロント郊外のミシサーガで行われる。

 この大会の見どころは、羽生結弦とパトリック・チャンのシーズン初となる顔合わせだろう。左足の靭帯を痛めて全治2カ月と診断された羽生だが、現在少しずつ氷上での練習を再開しているという。

 チャンはボストン世界選手権でメダルを逃した後、心機一転デトロイトからバンクーバーに練習拠点を移すことを発表。GPシリーズからフルシーズンで出場が予定されている。

 その他のメダリスト候補は無良崇人、中国のハン・ヤン、この春にコーチをラファエル・アルトゥニアンにかえたチェコのミハル・ブレジナなど。また世界ジュニアチャンピオン、イスラエルのダニエル・サモヒンがこの大会でシニアGPデビューする。

 女子は日本からは宮原知子、本郷理華、昨シーズンこの大会でサプライズ3位入賞を果たした永井優香が派遣される。ロシアからは世界チャンピオンのエフゲニア・メドベデワ、2015年世界チャンピオンのエリザベータ・トゥクタミシェワと2人の世界チャンピオンが顔を並べ、激戦になりそうだ。アメリカからは長洲未来も出場する。

世界王者フェルナンデスが登場するロステレコム杯。

 3戦目、ロステレコムカップは11月4日からモスクワで開催され、男子は2シーズン連続の世界王者、ハビエル・フェルナンデスが登場する。

 ここが2戦目となる宇野昌磨は、ここの結果でファイナル進出の可否が決定する重要な戦いになる。その他のメダリスト候補は、ロシアの新星ミハエル・コリヤダ、アメリカのマックス・アーロン、イスラエルのアレクセイ・バイチェンコなど。田中刑事、元ペア五輪チャンピオンの息子であるアルトゥール・ドミトリエフ・ジュニアらも要注目だ。

 女子はロシアからエレナ・ラジオノワ、アンナ・ポゴリラヤ、ユリア・リプニツカヤの3強豪が顔を並べる。村上佳菜子、アメリカのポリーナ・エドモンズらがロシア女子の表彰台独占を防ぐことができるかどうかが見どころになるだろう。

浅田、フェルナンデスらのファイナル進出かかる。

 4戦目、フランス杯は11月11日からパリで開催される。

 フェルナンデスはロシアに続いて2週連続出場となり、ここの結果でGPファイナルの出場が決定する。彼に対抗するのはやはり2戦目となる無良崇人、デニス・テン、アダム・リッポンら。

 また全日本ジュニアチャンピオンの山本草太、ジュニアGPファイナルチャンピオン、アメリカのネイサン・チェンは、いずれもシニアGPデビュー戦である。2人とも昨シーズンは大きな怪我をして、リハビリを経てのシニア挑戦となる。

 女子は浅田真央、エフゲニア・メドベデワ、グレイシー・ゴールドらがこの試合を2戦目に選び、ファイナルへの切符をかけて競うことになる。

 ジュニア世界選手権2位だったロシアのマリア・ソツコワ、同大会で2年連続3位だった樋口新葉はいずれも注目のシニアGPデビューとなる。

チャン、ワグナーら実力派が楽しみな5戦目中国杯。

 5戦目になる中国杯は11月18日から開催され、男子はパトリック・チャン、ボーヤン・ジン、村上大介らがメダル候補である。

 昨シーズン後半で調子を崩したハン・ヤン、マキシム・コフトゥンなども本来は実力のある選手で目が離せない。

 アメリカからはマックス・アーロン、ロス・マイナー、ロシアのセルゲイ・ボロノフなどベテラン勢も顔を揃える充実した大会になりそうだ。

 女子はアシュリー・ワグナー、エレナ・ラジオノワ、エリザベータ・トゥクタミシェワ、そして本郷理華らがファイナル行きをかけて白熱戦を繰り広げてくれることだろう。

最終戦NHK杯は、圧倒的優勝候補の羽生への挑戦に。

 そして最終戦のNHK杯は11月25日から札幌で開催される。

 男子は圧倒的な優勝候補である羽生結弦に、ロシアのミハエル・コリヤダ、アメリカのネイサン・チェン、カナダのナム・グエン、そして山本草太ら若手たちが挑戦することになる。

 女子は宮原知子、樋口新葉、そして今季シニアGPデビューの松田悠良がロステレコム杯に続いて出場予定だ。アンナ・ポゴリラヤ、マリア・ソツコワのロシア勢、ポリーナ・エドモンズと長洲未来のアメリカ勢らとメダルを競う。

ペアでは川口悠子&アレクサンドル・スミルノフが復帰。

 ペアでは昨シーズン靭帯の負傷でシーズンを半ばに終えた川口悠子&アレクサンドル・スミルノフの復帰に注目したい。彼らはスケートカナダと中国杯に出場が予定されている。

 またこの春に中国のペア、ユウ&ジンとペン&ジャンの2組がパートナーを入れ替えて、ユウ&ジャン、ペン&ジンの新ペアが結成された。中国杯ではこの新ペア2組と、2年連続世界銀メダリストのスイ&ハンが勢ぞろいする。

アイスダンスはバンクーバー五輪王者の復帰に注目!

 昨シーズン欧州選手権を制しながらも世界選手権で失意の6位に終わったソチ五輪王者ボロサジャル&トランコフは、今シーズンGPシリーズには出場予定されていない。

 また今シーズン、世界王者のデュハメル&ラドフォードにドイツのサフチェンコ&マッソがどこまで迫るかもハイライトの1つとなるだろう。

 アイスダンスでは、バンクーバー五輪王者、カナダのテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイアの復帰に要注目。

 NHK杯では、現世界チャンピオン、フランスのパパダキス&シゼロンと彼らが初の対決を果たす。現在同じコーチの元でトレーニングする新旧アイスダンス世界王者の戦いにどのような判定が出るのか、ファイナルに先駆けて見ることができる。

 今シーズンのGPファイナルは12月8日から、南仏の港町マルセイユにて開催される予定だ。