この度フランスフランスは新しいユーロ硬貨のデザインを発表。

この10セントに描かれることになったのがシモーヌ・ヴェイユです。

 

残念ながら、私はこのかたを存じ上げませんでした。

おそらくヨーロッパでは知らない人はいないのでしょう。

2017年に89歳で亡くなられました。

マクロン政権下、もちろん国葬です。

 

 

2022年

1974年、パリ。保健大臣のシモーヌ・ヴェイユ(エルザ・ジルベルスタイン)は、レイプによる望まぬ妊娠の実態や違法な中絶手術の危険性などを訴え、人工妊娠中絶の合法化を目指す。ヴェイユは周囲の反対をはねのけて中絶法を成立させ、1979年には女性初の欧州議会議長となって「女性の権利委員会」を設置する。以降も移民、エイズ患者、囚人などの人権のために戦う彼女だが、その不屈の闘志はアウシュビッツ収容所での体験で培われたものだった。シネマトゥデイより

 

シモーヌの書いた回顧録を中心とした作品。

 

映画の冒頭は1994年、シモーヌが厚生大臣として、

フランスの中絶禁止法を改正させた場面。

頭の固い古狸たちとの激しい戦いでした。

 

その後映画は彼女の人生をを行ったり映し出します。

パリ政治学院に入学、卒業。

彼女は在学中に結婚出産していますが、

卒業後、渋る夫と交渉の上、治安判事として働き始めます。

 

政治家になってからもフランス国内での人権問題に取り組み、

次に彼女が目を付けたのが、ヨーロッパ全体における人権問題。

アルジェリア、ユーゴ、ルワンダ、エイズ患者等。

女性のみならず、人間の権利のため戦います。

 

そしてついに1979年。

フランス人女性として初めてEU欧州議会議長に選出されるのです。

 

後半は、彼女が若い頃の体験の回想。

ユダヤ人だったため、彼女は家族もろともアウシュビッツへ。

そう、シモーヌはアウシュビッツの生き残りだったのです。

当時のユダヤ人たちの体験は他の映画でも度々見られる光景です。

 

戦後、ドイツは大戦の罪を償うことを命じられましたが、

ユダヤ人を収容所に送り込むことに加担したフランスは、

「あの時のことは黙ってろ」風潮だったようです。ダウン

 

でも印象的だったのは、

戦後、ユダヤ人たちがイスラエルに誘ったものの、

彼女は「私はフランス人、私の中身はフランス」と断ったこと。

どうやら両親からはユダヤ教の教えは受けておらず、

ヘブライ語も話せない彼女はフランス人としての意識が高かったようです。

 

映画は時代を行ったり来たりしますが、

wikiでは年代順に書かれています。

彼女の人生を文章で知るならそちらの方がより詳しいです。

 

シモーヌが不条理な風習や法律と戦う力、

その原動力はやはり強制収容所の体験があったからと、

収容所で命を落とした尊敬する母親から

「女性も仕事を持つように」と言われていたこともあるでしょう。

 

世界で活躍する政治家、人権活動家のシモーヌ。

彼女によって、「人生」「人間」を取り戻せた人々は多い。

こんなにたくましい女性は日本ではまだ見られないかも知れません。

 

 

因みに似ている作品として「RGB」が上がっていましたが、

あちらも、理解があり且つ自身も優秀な夫が、

妻を支えたところが同じだと思います。